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祐太郎さん
祐太郎
レビュアー:
昆虫を、草木を本当に愛する著者が津波後の海岸を歩き、絶望と希望をそして人間の開発の不条理を伝えてくれる1冊。
図書館の新着本に並んでいたのを手に取りました。

瓦礫の中に1本のヒマワリの花が咲く表紙が印象的です。

でも、本の内容はそんな情緒的なものではありません。
もっと深刻です。

東北は「自然が豊か」というのを売りにしてきましたが、
実際は、大規模農業により里山や湿地を壊しながら進めてきたなかで
かろうじて残されてきたものだということが
今回の津波で如実に表れました。

希少種(トンボやハンミョウ)の
小さな保護地区となったいた湿地や池は、
津波で根こそぎ海水に浸かりその姿がこの1年見えない
(見えないからといって直ちに絶滅とはいえないが)
状況が続いており、
復旧の土木工事が続くなかで、
荒れ地には「外来種」がばっこし、
在来種はますます隅に追いやられているようです。
そして、「復旧」の名の下に環境アセスメントなきままに
土木工事は進められていく。
著者は人間の生活復興ということを理解したうえで
人間のこれまでの開発の在り方への一定の反省を求めています。
動植物の自然環境の変化への適応力は素晴らしいのですが、
人間の人工的な破壊的変化への適応力は限界があるようです。

著者の、昆虫や草花への愛情は半端ではありません。
まるでムツゴロウさんの動物への愛情シーンを
見ているような暖かさを感じます。

だからこそ、今回の津波が生態系に及ぼした
もはや完全には元の姿には戻らないであろう
東北の沿岸部の自然への愛惜の念が
著者の胸を打ってきます。

非常にたくさんの写真が掲載されています。

私も仙台市荒浜や七ヶ浜町の沿岸部に行きました。
そのとき、昆虫や植物への関心はまったくありませんでした。
そんな人間中心な考えをしていたことを
少々恥ずかしく思えました。
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祐太郎
祐太郎 さん本が好き!免許皆伝(書評数:2376 件)

片道45分の通勤電車を利用して読書している
アラフィフ世代の3児の父。

★基準
★★★★★:新刊(定価)で買ってでも満足できる本
★★★★:新古書価格・kindleで買ったり、図書館で予約待ちしてでも満足できる本
★★★:100均価格で買ったり図書館で何気なくあって借りるなら満足できる本
★★:どうしても本がないときの時間つぶし程度ならいいのでは?
★:う~ん
★なし:雑誌などの一言書評

※仕事関係の本はすべて★★★で統一します。

プロフィールの画像はうちの末っ子の似顔絵を田中かえが描いたものです。
2024年3月20日更新

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