八月の御所グラウンド



京都で起きる、幻のような出会いが生んだファンタジー。草野球という小さな日常で、平和のありがたさを感じる。夏は、故人を偲ぶという空気感がある。彼女に「あなたには、火がないから」と別れられた彼はいかに。
表題作『八月の御所グラウンド』と「十二月の都大路上下ル」の二篇からなる、愉快で、不思議で、すこし切な…

本が好き! 1級
書評数:726 件
得票数:3891 票
50歳代
好きなこと:ランニング、読書、映画鑑賞、献血
好きな作家:伊坂幸太郎



京都で起きる、幻のような出会いが生んだファンタジー。草野球という小さな日常で、平和のありがたさを感じる。夏は、故人を偲ぶという空気感がある。彼女に「あなたには、火がないから」と別れられた彼はいかに。
表題作『八月の御所グラウンド』と「十二月の都大路上下ル」の二篇からなる、愉快で、不思議で、すこし切な…





あれは立派な仇討ちでしたよ。語り草となった大事件。二年の後、縁者だというひとりの侍が仇討ちの顚末を知りたいと、芝居小屋を訪れて、真相を嗅ぎ回る。秘められた真相に、ミステリーの驚きと人情の感動を知る。
袖振り合うも他生の縁 悪所育ちだからこそ、人の情が厚かった。 ある雪の降る夜に芝居小屋のすぐ…




ある公園のカバのアニマルライドには都市伝説があった。自分の治したい部分と同じ部分を触ると回復する効果があると。人々はそれぞれの悩みをカバヒコに打ち明ける。誰もが抱く小さな痛みにやさしく寄り添う物語。
病は気から そんなことわざを思い出させた。 表題は、謎の人名を想像させる。 外国人? あ…





「自分の子どもに会いたい」そう願うのは、間違っていることなのか?人生は、七転八倒、紆余曲折、波乱万丈。まして、主人公は、独身で、収入不安定。それでも、産みたいと願う彼女の結末は、いかに!?
筆舌に尽くしがたい、とはまさに、この小説だった。 タイトルから、てっきり、青春物語と思い込んでいた…





ファンの心をつかむのはどちらのアニメか?伝説の天才アニメ監督を口説いたプロデューサーに対する、気鋭の監督と敏腕プロデューサー。ドタバタな毎日、ハラハラする展開。意外な結果で、アニメ業界の愛を思い知る。
謎のタイトルだった。 ハケンアニメ。 装丁もなにか、手に取りがたかった。 しかし、食わず嫌…





人はなぜ、金に狂い、罪を犯すのか?インタビュー「人間のどうしようもないエネルギーを物語にしたかった」2000年代、理不尽で不平等な社会の中で、精一杯生き抜いてきた少女の物語。最後に気づいたのは・・・
読み終えて、衝撃が大きすぎて、頭がボーっとした。 生まれは、選べない。 伊藤花 中学生…





「今日こそ辞めてやる」そんな人は読んでみては。谷原京子、本好き書店員。店長がバカすぎる。さらに、後輩や客、版元に振り回される毎日。はたして、本当に店長はバカなのか?驚愕のラストが待ち受けている。
本に救われることがある。 書店員のおすすめで出会った本で。 現に私がそうだった。 そんなことを…





教科書にはのらない戦国時代の裏ドラマ。どんな攻めをも、はね返す石垣。どんな守りをも、打ち破る鉄砲。「最強の楯」と「至高の矛」の対決を描く。大軍に囲まれ絶体絶命の大津城を舞台に、宿命の対決が幕を開ける。
戦国時代のプロジェクトX 戦国時代、石垣造りの特殊技能集団がいた。 その名は、穴太衆(あのう…





高校球児の母親の熱闘甲子園。不慣れな土地での暮らし、父母会の厳しい心得、激痩せしていく息子。果たしてふたりの夢は叶うのか!?高校野球だけではなく、様々な部活動に関わる人たちに共感されるはずだ。
表題通り、主人公は高校球児ではなく、その母親。 高校球児の母親の成長物語。 秋山航太郎 母…




何者かに攫われたユナを追うヴァン。医術師ホッサルは、謎の病の治療法を探していた矢先、何者かに囚われた。何者かが、糸を引いている。思惑は何なのか?複雑な事情が、絡み合った展開になっていく。
上巻の終わり 主人公は、さらわれたユナを助けるため、何者かを追う。 もう一人の主人公・ホッサルは…



みんなには隠している、少しだけ特別なチカラ。 それぞれの“かくしごと”が織りなす、もどかしくも切ない物語。5人の男女、それぞれの秘密。悩んだり、傷ついたり、助けられたり、救われたりの青春小説。
青春とは、友達と恋愛。 抱く感情。 それが、隠し事。 高校同級生5人たちの青春小説。 …




歴史ファンタジー&医療ミステリー。岩塩鉱で奴隷として働くヴァン。黒犬の群れにおそわれるが、病気から生き残る。一方、若き天才医術師ホッサルは、その病気を治す方法を見つけるため、ヴァンを探そうとする。
主人公 ヴァン。 奴隷として、岩塩鉱で働かされていた。 ある日、岩塩鉱は、黒犬の群れにおそわ…




「君は満洲という白紙の地図に、夢を書きこむ」日露戦争前夜から第2次大戦までの半世紀、満洲の名もない都市で繰り広げられる知略と殺戮。太平洋戦争とは何だったのかを考えさせる、歴史×空想小説。
単行本の厚さ 約5cm 600ページ以上の大作である。 手に取ったとき、一瞬、ためらう。 読み…




多様性を連発する現代社会への問題提起なのか?想像を絶するほど理解しがたい性癖があったとしたら?マジョリティ側のおめでたさに警鐘を鳴らすようだ。マイノリティにもあてまらない人たちの繋がりの結末はいかに?
多様性=ダイバーシティという言葉を、耳にするようになった。 2019年5月1日 改元。 令和…




『誰の人生だって、激動だよなあ』描かれる短編は小さな世界。しかし、世の中を描いている。まるでネオンテトラ。ぴかぴかに光る。しかし暗闇では光らない。主人公たちが抱えている葛藤は、読者の感情に寄り添う。
「平凡な人生」ってあるのだろうか? 『式日』で、後輩が言う。 『誰の人生だって、激動だよなあ…





誘拐事件から30年。当時警察担当だった新聞記者は、被害男児の「今」を知る。新聞記者が過去を追う中で、ある写実画家の真実を知る。存在のすべてをとは、何か?読者へ、世の中へ、存在の大事さを訴える物語。
人には事情がある。 それでも、ブンヤが伝える意義とは? 事実の先にある真実を知り、感動の結末を知…





「人の幸せはどこから来るのか」ゴールは死亡診断書。治らない病気にどう付き合っていくか。主人公は信じる。たとえ病が治らなくても、仮に残された時間が短くても、人は幸せに過ごすことができる。
「人の幸せはどこから来るのか」 雄町哲郎の関心事である。 京都の町中の地域病院で働く内科医。…





見えない存在に気づいたとき、リスタートできる。それは、新月。それは、竹林。つまずいてばかりの日常の中、それぞれが耳にしたのはタケトリ・オキナという男性のポッドキャスト『ツキない話』だった。
僕たちは、見えない存在に、どれだけ気づけているだろうか? 例えば、新月のように。 つまずいて…





「一緒に来る?」義父から独立した姉妹が出会ったのは、しゃべる鳥ネネだった。「自分は出会ったあらゆる人々の良心でできあがっている。」助け合い支え合う人々の40年を描く長編小説。優しい気持ちになれる。
「静かに、いつまでも、読み続けたい」 そんな気持ちだった。 序盤から、ソワソワ感。 10歳…





問題が読まれぬうちに正答した!?生放送クイズ番組の最終問題で事件は起きた。いったい彼はなぜ、正答できたのか? ヤラセだったのか?主人公が謎解き、真相に迫る姿に、一気読み間違いなし。クイズとは人生である。
惹き込まれるように、読んでしまった。 面白い。 人生とはクイズなのかもしれない。 生放送の…