システィーナの聖母――ワシーリー・グロスマン後期作品集

言葉を失うほどのすばらしさ
グロスマンの後期作品集はスターリンの死後の短編、随想、旅行の手記などを集めたもの。 人間・人間…

本が好き! 1級
書評数:161 件
得票数:1136 票
猫と本が好き。海外文学と人文系の書物を読みます。星はつけていません。

言葉を失うほどのすばらしさ
グロスマンの後期作品集はスターリンの死後の短編、随想、旅行の手記などを集めたもの。 人間・人間…

「壁と卵」の卵に寄り添った小説
笙野頼子版ディストピア的「女の一生」。リアルすぎて怖いけど、テンションの異様に高い独特の文体はクセに…

心地のいいつかみどころのなさ
「わたし」が散歩する10の人の名前にちなんだ通り。 散歩といってもするっと歩いてしまえずに、ふ…

新しいカフカ像が提示される一冊
文庫とはいえ、短編、書簡、公文書のほか、詳細な解説、解題、年譜、関連書紹介なども収録されていて、もの…

最愛の妻を亡くした作家の胸を打つ回想録
最愛の妻を亡くした作家の胸を打つ回想録である。 第一部では気球に入れあげた人々についての歴史的…

普遍的な悲しみと祈りの物語
70年代の韓国、急激な経済成長の陰で貧富の差が激化し、その犠牲者とも言うべき底辺の労働者たちの暮らし…

決して綺麗事ではなく
イギリスの湖水地方で羊飼いとして暮らす著者がその一年間を綴る。何世代にも渡って繰り返されてきた暮らし…

「全ては今と変わらない ただ、ほんの少し違うだけで」
それぞれのエピソード、特にクリスチャン・マークレーの"The Clock"や全損美術の話、生協でボラ…

バルザック時代のパリ
第二帝政期、セーヌ県知事オスマンによってパリは大きく変わる。バルザックやユゴー、フロベールに導かれて…

残酷と美しさ、予想を裏切る読み応え
どことも知れぬ亜熱帯の街サンクリストバルに32人の子供たちがあらわれる。理解できない言葉を話し、盗み…

現代の私たちにも強く訴えかける
映画「セールスマン」に劇中劇として出てくる「セールスマンの死」。 昔は優秀なセールスマンで鳴ら…

予想を裏切る衝撃的な展開!
いじめられている二人がシニカルに淡々と(でも涙をこらえつつ)自問自答を繰り返しながらピンポンに出会い…

鋭い観察眼による引き算の魅力
ウィリアム・トレヴァーの魅力は抑制の効いた静謐とも思われる筆致で、皆まで言わずに、ある人の人生の一瞬…

いかにもクストリッツアらしい短編集
映画監督エミール・クストリッツァによる短編集。 アレクサ・カリムとその両親を主人公とするいわゆ…

思わず唸るほどの巧さ
母を殺したとして服役した父の冤罪が娘マリ・エレーヌの努力ではらされる。しかし、無罪を勝ち取った父はど…

図書館をめぐるアンソロジー
図書館をめぐるアンソロジー。 菊池寛「出世」、宮本百合子「図書館」を読むと、かつて図書館では…

時は積み重なり、決して過ぎ去らない。

かき消されそうな声に耳を傾けること
女性ジャーナリストが内戦が始まったばかりの2012年のシリアを取材したルポルタージュ。 いかに…

作家を作った「反対方向」の二重生活
自伝的小説5部作の2作目だが、単体でも読み応えは十分だ。 『地下』の語り手は16歳ぐらいで、さ…

有名な「悪の陳腐さ、凡庸さ」を提示した著作
何一つないがしろにせず厳密に検討する姿勢に深く感銘を受けた。ジェノサイドの犠牲者が「無国籍」状態にあ…