臆病な都市【Kindle】



コロナに対する日本の対応は世界を驚かせ賞賛された部分もあるが、裏返せば凄まじい同調圧力のなせる業とも言える。無知な大衆と無責任な役所の化学反応により顕在化する日本社会の脆さについて納得感のある作品。
首都庁に勤めるKは特に出世欲があるわけでもないが優秀ではあるため係長から頼りにされている。巷では鳥の…

本が好き! 1級
書評数:337 件
得票数:11607 票
昔からずっと本は読み続けてます。フィクション・ノンフィクション問わず、あまりこだわりなく読んでます。フィクションはSF・ホラー・ファンタジーが比較的多いです。あと科学・数学・思想的な本を好みます。



コロナに対する日本の対応は世界を驚かせ賞賛された部分もあるが、裏返せば凄まじい同調圧力のなせる業とも言える。無知な大衆と無責任な役所の化学反応により顕在化する日本社会の脆さについて納得感のある作品。
首都庁に勤めるKは特に出世欲があるわけでもないが優秀ではあるため係長から頼りにされている。巷では鳥の…



中年の本棚とは中年の萩原魚雷さんの本棚にどんな本があるかということではなく萩原さんの本棚にある中年に関する本を元にしたエッセイ。
本書は文筆家である萩原魚雷さんが所有する主に中年に関する様々な人のエッセイを元に中年に関して論考した…




現実と虚構のあわいをテーマにした小説は沢山あるがこの小説の構造には驚いた。なにが現実で誰が語っているのか、入れ子構造も単純ではない。
本書は短編集の形を取っていますが実質的には一つの話です。大きく6つの短編、そのうちの1つは掌編集とし…





一級の本格SFでありながら社会学・哲学・歴史学を重層的に盛り込み、かつリーダビリティ溢れるエンターテイメントとしても両立させているという稀有な作品。
上下巻まとめての書評となります。 科学技術が人類よりも圧倒的に進んでいる太陽が三つある三体世界文明…




19世紀に書かれた荒唐無稽なディストピア小説であるが、作者の天才的な直観はおそらく作者も意図していないほど現代に符合する世界を創り上げており驚愕に値する。
主人公のイギリスの青年は新天地での活躍を夢見て開拓地で羊飼いの仕事につく。さらにビッグになろうとその…



花村萬月による従来の決定論的世界を元にした神話から偶然が支配する量子的世界における新しい神話創造の試みである。
約3億年前、パンゲア超大陸に南北2万キロ東西幅5キロの細長い国があった。国の名前はミスボラ帝国、治め…




童話作家のイメージが強い小川未明であるが童話以外でも二千を超える作品を生み出した。 本書はその作品群の中からの怪異作品アンソロジーであるがその味わいは多岐にわたる。
本書は童話作家として有名な小川未明の作品からアンソロジストの東雅夫さんがチョイスした怪異作品集となっ…



「皆勤の徒」デビューした酉島伝法さんの初短編集。「皆勤の徒」を読んで数ページで挫折した方も多いかと思いますが、最後まで読まれた方にはお薦めします。
「皆勤の徒」でぶっ飛んだSFを書いた酉島伝法さんの短編集。本としては3作目になります。2作目の長編「…




今では心の病ではなく風邪と同じように普通の病気といわれるうつ病。鋼のメンタルをもつプロ棋士のうつ病体験記だからこそ説得力がある。心が弱いから情けないからなるのだと引け目を感じるのは間違いである。
本書は将棋界の第一人者である先崎学九段がうつ病を発症し、その症状、治療、療養中に考えたこと、将棋や人…




意図せず集まってしまったTシャツに関するエッセイで一冊の本を書くとはさすが引き出しが多いですね。
本書は村上春樹さんが意図して集めようとしたわけではないが、集まってしまったTシャツについてカテゴリー…




虐待を主題としながら今日的な社会問題を織り込んだ短編。誰しもがステレオタイプとなりそうな話題でありながら物語はストレートではなく考えさせられる内容である。
勇輔はバツイチの宅配ドライバー。現在は同じくバツイチの奈桜とその息子の晴真と住んでいる。交際当初は勇…




小説を貫く利他精神。それはチャップリンが好きだった日本人のおもてなしの精神に通ずるものがあります。
一流の喜劇役者であったカルヴェロはすっかり落ちぶれ酒浸りであった。ある日、彼がアパートに帰ると下の階…



自分では偏見はあまりないと思っていたが無知であった。無知が偏見を生むのだからこの本を読んで良かったと思います。 #カドフェス
カドフェス制覇の終盤、残った作品の中から題名からして最も読まなさそうな作品を読もうと思いまして本書を…




理論物理学者の佐治晴夫さんとその主治医の堀江重郎さんによる科学、医療、芸術、性差、社会などお互いの専門はもちろんそれ以外の分野においても博学ぶりをいかんなく発揮された対談集です。
本書は理論物理学者で宇宙創成時の「ゆらぎ」研究で有名な佐治晴夫さんと彼の主治医でもある泌尿器科医の堀…



近未来SFチックな設定に「実在」という哲学的な思想を練りこんだ幻想小説というのが私の受けた印象です。
動物のレプリカを製造する工場に勤務する往本は深夜の社内で絶滅したはずの本物のシロクマに遭遇する。同僚…





明治時代における経済界の偉人の中でも桁違いにスケールの大きい渋沢栄一の人生訓。今でも十分通用するその思想を渋沢栄一の慧眼と見るのか、日本人が進歩していないだけなのか。
日本における資本主義の父と呼ばれる渋沢栄一による自筆の扁額が私の会社の研修所には飾られています。「信…



山口県の山村で起こった惨劇。殺人放火事件であったが、放火はその前からあった。だがそれは殺人事件の犯人がおこしたものではなかった。
松山在住の私が福岡県に車で訪れる場合、三津浜からフェリーで柳井港に渡り田舎道を北上して山陽自動車道に…




短歌を読んで、エッセイを読んで、イラストを見て、三度こみあげます。
本書は見開き2ページで一つの話となっており右が猫歌人こと仁尾智さんの短歌とエッセイ、左が小泉さよさん…



ミレニアムシリーズ第6弾。スウェーデンが生んだ魅力的なダークヒーロー、リスベットは宿命の対決に挑む。
「ミレニアム5 復讐の炎を吐く女」に続きダヴィド・ラーゲルクランツが作者であり、彼のミレニアムシリー…




知の巨人と言われる立花隆さんの半生を自身の著作を絡めて語った回顧録。読んでいない面白そうな本がまだまだいっぱいあります。
本書は立花隆さんの半生をベースに社会人になるまでに読んだ本そして文芸春秋に勤め始めて現在に至るまでの…