家族の痕跡 いちばん最後に残るもの

諸悪の根源ではあるが、ほかのいかなる人間関係よりもマシな形態。
便利であって不便。親密にして疎遠。多様にして単純。単純にして複雑。深淵に通ずる浅瀬。個別にして不変…

本が好き! 1級
書評数:1073 件
得票数:19944 票
文学作品、ミステリ、SF、時代小説とあまりジャンルにこだわらずに読んでいますが、最近のものより古い作品を選びがちです。
2019年以降、小説の比率が下がって、半分ぐらいは学術的な本を読むようになりました。哲学、心理学、文化人類学、民俗学、生物学、科学、数学、歴史等々こちらもジャンルを絞りきれません。おまけに読む速度も落ちる一方です。
2022年献本以外、評価の星をつけるのをやめることにしました。自身いくつをつけるか迷うことも多く、また評価基準は人それぞれ、良さは書評の内容でご判断いただければと思います。
プロフィール画像は自作の切り絵です。不定期に替えていきます。飽きっぽくてすみません。

諸悪の根源ではあるが、ほかのいかなる人間関係よりもマシな形態。
便利であって不便。親密にして疎遠。多様にして単純。単純にして複雑。深淵に通ずる浅瀬。個別にして不変…

技巧にあふれたストーリーを操る作品も、もちろん楽しいのだが、時には次々と読み進むのをためらわせるような余韻にあふれたこんな作品を読むのもいいものだ。
ストーリーは不要なのか。 事の起こりも、その理由も、突如訪れる結末も、 納得などできる…

先日読んだ上野千鶴子著『女ぎらい』の具体的エピソードが満載に思えてしまう。もちろん、それは読み手の側の事情であって、ミソジニーがテーマかどうかは別問題だが。(1巻と2巻を読んだ感想になります)
いつも「空気を読まなきゃ」と、嫌な頼まれごともことも断れず、いいように使われながらニコニコとしてば…

「本書は多くの読者にとって(中略)不愉快な読書経験をもたらすだろう。なぜならそれは多くの男女が目をそむけていたいことがらのひとつだからだ。」
概念は概念であって現実ではない。 だが、概念は現実を説明し解釈する強力な武器になる。 …

ワイルドの私生活との暗合を想像し過ぎるだろうか。彼の、世間とは異なる言動に魅せられ、崇拝の目を向けてくる若者。その相手に自分の毒を注ぎ込み、少しずつ変化していく様を観察してほくそ笑む。
美貌の若者が、歳を経ても美しさと無垢さをそのままに、代わりに肖像画が老いと罪を重ねた姿に変貌し…

俳句の良し悪しなど分からない。だから、すべて理解することなど諦めて気に入ったものだけを書き出してみる。読み急いで、大量に消化しようとしてしまう、普段の読書と同じようにならぬよう。
明治23年 朝顔にわれ恙なきあした哉 書き出した句を振り返ってみると、読み終…

男子のいない世界。『ゆるキャン△』に見るイマドキ女子の恋愛事情。
ドラマ版で志摩リンを演じた福原遥は少し美人過ぎたかもしれない。 スクーターにキャンプ…

日本文学に強い影響を与えた中国の怪奇小説。しかし、それ程の印象を覚えぬのは影響を受けたものから遠ざかったためか、単に読み込みが足りないためか。
中国の小説の類いは、古来より日本に取り入れられ、強く日本文学に影響を与えてきた。今昔物語を始め…

『ゆるキャン△』に登場する大人たちは彼女たちの行動にあり得ない程に寛容だ。それを非現実的と見るか、それが現実の裏返しと見るか。
アルバイトの手すき時間。三々五々集まって談笑する仲間たちと少し離れて、ポケットから出した文庫本を開…

ジローの思い違い。良心を育てただけでは人間にはなれない。ピノキオに擬せられた人造人間の「人間になりたい」という想いは、「人間性とは何か」という問いを突きつけ結末を迎える。(全5巻の書評となります)
善悪両面を持っているのが人間という奴じゃあないのか。 陳腐過ぎ、言い古された言葉だけに、最…

細かな描写にカブ愛を感じる。そして自分のカブ愛も刺激される。
山梨が舞台。そして女子高生が主人公。 『ゆるキャン△』との共通点が多い本作品。数年前にアニメ化さ…

ヴィクター・フランケンシュタインはショッカーの首領となったのか。
自ら「新人種」として創り上げた人造人間を、社会に紛れ込ませ、いずれ「旧人種」を滅ぼして乗っ取ろ…

また、バイクでキャンプしたくなるよ。『ゆるキャン△』に見る当世の距離感。あるいは程よい自由を伴った冒険。
帯状疱疹の痛みに耐えながらじっとしていた連休。利き腕が痛いので、できることも少なく暇に任せてスマホ…

「司令部の無策が、無意味に兵を殺している。貴公はどういうつもりか知らんが、貴公が殺しているのは日本人だぞ」
理屈ではなくトップの好き嫌いでものごとが決まる会議。 お気に入りの者の意見だけが採用され、反対…

上巻に登場した「社会的無責任」という言葉のイメージが逆転する。社会の方におかしな部分が多いのだ。それに対して責任など感じず、自分の思う通りに行動する。そういうこと。
テレビでやっている、有識者たちが集まって行う討論会のようなものを見ていられない。それぞれが好き勝手…

ノーベル賞科学者は金庫破りの名人でもあった
ファインマンは好奇心旺盛で、どんなところにも首を突っ込む。 催眠術にかかる被験者に手を…

最新科学の情報は、SF的空想の世界を呼び起こす
「はじめてではない」超ひも理論に関する読書は、さすがに理解の蓄積を、ほんの少しではあるが感じさ…

ウィムジイの行動や人物設定にセイヤーズのミステリーに対する態度を考察する。
ウィムジイは殺人を楽しんでいる。 もちろん、殺人を犯すことではない。殺人事件と関わることを、で…

愚かさを否定するのではなく、受け入れた上で前へ進もうとするのは開き直りと言えばいいのか。それとも勇気だろうか。
プロメテウスから火を与えられた人間は、ゼウスの怒りを買った。 それは人間が逃れることのできぬ「…

最近パセリを見ないが、外食しなくなったせいかな。考えさせる主題の他に、行き詰る緊迫感あふれる描写など傑作と言うのは憚らないが、「友人の医師は必要だったのか」と疑問を抱きながらパセリを思い起こしていた。
女性解放をテーマとしていると語られることの多い本作。書かれた当時のインパクトも今の時代ではその…