ておくれの現代社会論




多くのテーマを扱っている故に、ひとつひとつはもう少し深い掘り下げを期待したくなるのも確か。しかし、誰かが書いた著作に答えを性急に求める行為で得られるのは、使い捨ての情報ぐらいのものだろう。
集合写真を見る時、まず自分のことを探してしまう。 よく言われることだが、無意識にそうしてしまう…

本が好き! 1級
書評数:1073 件
得票数:19943 票
文学作品、ミステリ、SF、時代小説とあまりジャンルにこだわらずに読んでいますが、最近のものより古い作品を選びがちです。
2019年以降、小説の比率が下がって、半分ぐらいは学術的な本を読むようになりました。哲学、心理学、文化人類学、民俗学、生物学、科学、数学、歴史等々こちらもジャンルを絞りきれません。おまけに読む速度も落ちる一方です。
2022年献本以外、評価の星をつけるのをやめることにしました。自身いくつをつけるか迷うことも多く、また評価基準は人それぞれ、良さは書評の内容でご判断いただければと思います。
プロフィール画像は自作の切り絵です。不定期に替えていきます。飽きっぽくてすみません。




多くのテーマを扱っている故に、ひとつひとつはもう少し深い掘り下げを期待したくなるのも確か。しかし、誰かが書いた著作に答えを性急に求める行為で得られるのは、使い捨ての情報ぐらいのものだろう。
集合写真を見る時、まず自分のことを探してしまう。 よく言われることだが、無意識にそうしてしまう…

箱こそかぶってはいないが21世紀においてもなお「箱男」は存在している。我々の身近に。箱を「 」に変えて。「 」には何を入れるべきか。
自らの姿を見られることなく、他人を覗き見ることは快感である。 「箱男」は箱の中に身を隠し、存在…

最新のSF映画にも通ずる舞台でつぶやかれる絶望から生まれた防御呪文
未来を知り得たとして、 それが不幸な未来だとして、 人はその人生を選ぶのだろうか。 …

折口は源氏物語を理想的に考え過ぎている。そんな気がする。
源氏物語の現代語訳を読もうと考えた理由の何分の一かは折口信夫を理解したいがためだった。折口を探ると…
紀行文として、そしてストロース自身を知るための手がかりとして楽しむ上巻
レヴィ=ストロース自身、一つの社会とそれを構成する個人をあらゆる角度から徹底して理解しようとい…

「神の子」、もしくは「やんちゃ王子」としての光源氏
第二巻は第十帖「賢木」から第二十帖「槿(あさがお)」まで。とうとう須磨行きとなる。 前巻で…

物語に触れて人はなぜに涙するのか考察する
人はなぜ涙するのだろう。 映画を観て、 小説を読んで、 音楽を聴いて、 涙が流…

薄暗い蔵の中の鉄格子。鞭を振るう淫靡な美女。それに打たれながら一言も発せぬ美少年。乱歩作品を思わせる場面が次々と現れる。
美男の死刑囚、それを救うために破獄をも辞さぬ稀代の美女。かれらをめぐって狐のような面相と狡猾さを具…

遠くから帰ったような強い印象だけが残り、言葉にすることがむずかしい作品。
未知の土地は、慣れた地とは違った自分を顕わにする。 まして、文明とかけ離れた未開の地では日常の…

生命とは動的平衡にある流れである。 秩序は守られるために絶え間なく壊されなければならない。
「生命とは自己を複製するシステムである」 20世紀の生命科学が到達した生命の定義。DNAの解析が…

きみやぼくぐらいの仕事をこなせるR(ロボット)は結構いるんだ。そうなれば、われわれは降等だ。それ以外あるなどと甘いことは考えない方がいい。ぼくらの歳になって、日雇い人足の溜まりに出かけるのは・・・。
石ノ森章太郎の『ロボット刑事』を読んですぐに思い浮かぶのが本作。石ノ森の作品の中でも触れられている…

平安のガールズトークの小説化か。理想の男性を狂言回しに据えた少女マンガの雰囲気も感じる。
円地文子の訳のせいだろうか、それとも現代語訳とは言え二度目となるせいだろうか、瀬戸内寂聴訳を読んだ…

ゴジラについての生物学ではなく、ゴジラを通じて生物を学ぶ。
「例えてみよう」 何かをよく理解するために、例えを持ちだすのはよくあること。より身近な、よ…

機械として―——機械の誇りをもって機械らしく生きることにきめたんだ!! ・・・いままでいちばんあこがれていた・・・人間のもつ”感情”と戦うために・・・!
ロボットを描くということは、人間を描くことになるのだろう。ことに現代程ロボットが身近ではない時代に…

ある本なり映画なりのさまざまな解釈がその作品のいろいろな側面を理解するうえでなにがしか役立つと感じられることがあるが、量子力学へのさまざまなアプローチにも同じことが言える。
アインシュタインの胸を打つ言葉を人類の科学における奮闘の表現として紹介している。 …

『ゆるキャン△』キャラクター同士の「ゆるい」違いの魅力について考える。
ソロキャン(ソロキャンプ)にはソロキャンの良さがあり、グルキャン(グループキャンプ)にはグルキャン…

スクリーンのボンドを思い浮かべるとそのイメージのギャップに驚くだろう。
いまあいつがここにいたら、あいつを殺すのにわたしはためらいもしないよ。しかし、私的な復讐という…

「鉄のクラウス」を産んだ作者の幼少期の体験も知ることができるファン必携の書。
ドリアン・レッド・グローリア伯爵。金髪巻き毛の美形にして、美術品専門の怪盗。 伯爵の…

様々な幸福と、同じ数だけの不幸せ。誰の人生にもあるそれらは、しかしながらことに若い女性にとっては切実なものと感じられるのかもしれない。
よく晴れた、ガーデンパーティーにはうってつけの日。料理を手配し、衣装を決め、天幕を張る位置を考…

『対決』というタイトルを真に受けない方がいい。期待は裏切られる。続巻の邦訳はされないのか。
現代まで生き延びたフランケンシュタイン博士と、彼のショッカーじみた野望。ショッカーの改造人間のごと…