大統領のミステリ (1984年)




F・ルーズヴェルト大統領は、「現実生活に倦んで自分の財産と共に蒸発したい金持ちを主人公とする小説」を構想した。それを受けて有名作家がミステリ的な筋書きを考え出す楽しい連作推理小説。
これも連作ミステリ。きっかけは、1935年5月のF・ルーズヴェルト大統領の非公式の夕食会。出席者の中…

本が好き! 1級
書評数:1690 件
得票数:37757 票
神奈川県に住むサラリーマン(技術者)でしたが24年2月に会社を退職して今は無職です。
読書歴は大学の頃に遡ります。粗筋や感想をメモするようになりましたのはここ10年程ですので、若い頃に読んだ作品を再読した投稿が多いです。元々海外純文学と推理小説、そして海外の歴史小説が自分の好きな分野でした。しかし、最近は、文明論、科学ノンフィクション、音楽などにも興味が広がってきました。投稿するからには評価出来ない作品もきっちりと読もうと心掛けています。どうかよろしくお願い致します。




F・ルーズヴェルト大統領は、「現実生活に倦んで自分の財産と共に蒸発したい金持ちを主人公とする小説」を構想した。それを受けて有名作家がミステリ的な筋書きを考え出す楽しい連作推理小説。
これも連作ミステリ。きっかけは、1935年5月のF・ルーズヴェルト大統領の非公式の夕食会。出席者の中…



ホウィン川の港に比較的近い場所でペニストーン提督の死体を乗せたボートが発見された。クリスティーら「探偵クラブ」に所属する作家たちが互いの構想を打ち明けぬまま書き継ぐリレー小説。事件は解決するのか?
本書は1932年、おそらくイギリスで結成された「探偵クラブ」というクラブに所属する何人かの推理作家が…





イタリアの作家ブッツァーティの短編集。カフカの再来と言われるがそんな作品はごく僅か。ふんだんな現実描写がありながら、妙に幻想的と言う稀な作風。
このサイトでもたくさんの書評があるブッツァーティの短編集。本書のうちの5編をラジオドラマで知ったのが…



お互い愛し合って暮らしていたエドアルトとシャルロッテの夫婦。庭園の整備の為にエドアルトが呼んだ大尉、学校生活が不遇でシャルロッテが呼び戻したオッティリエ、新しく加わった人間により夫婦の親和力が試される
題名の親和力とは科学用語である。 「物質間で化学的な相互作用をする能力、あるいは、その際に得られた化…




人生論と題されているが、生命とは何かを論じている。トルストイ流の議論ではこれを突き詰めて行けば、本能を理性で導き、万人への愛を持った生き方となるようだ。確かに人生論的な結論だが、生命の在り方とも言える
トルストイが病気で瀕死の状態になり書いた論文とのこと。日本では「人生論」という名で長い間訳が出ており…





ハーストウッドとキャリーはニューヨークに駆け落ちする。最初はハーストウッドの酒場経営で何とか生活していたが、そのうち失業する。貯金も底を尽き、キャリーはとうとう舞台の仕事する決意をした。
主人公のキャリーは、姉夫婦を頼り田舎のコロンビア・シティからシカゴに出てきた若い女性。姉夫婦のしみっ…




アメリカの田舎町からシカゴに上京したキャリー。女工として働くのにすぐうんざりし、ドルーエと言う男と同棲する。ドルーエが何の気なしに紹介したハーストウッドと言う男に惹かれてゆくが、彼は既婚者だった。
ドライサーの代表作。田舎から出てきた若い女性キャリーの出世物語である。 キャリーはコロンビア・…




アシモフの連作短編集「黒後家蜘蛛の会」へのオマージュ作品。明治時代のそうそうたるインテリが集う会に謎が提出されるのだが、それを解き明かすのは、いつも女中のあやのであった。
朝日新聞の書評で知った本。この書評欄で興味を持った本は、自然科学や人文科学系の本ばかりだったが、本書…




婚約者の父の要求で出自を知ろうとする主人公バルタザール。だが彼の父親なるものは4名も現れ、混乱する。家政婦コロカントの助けで、常々否定している冒険にも出る羽目になった。だが結末である大事なことに気づく
創元社が1980年代末に刊行したルブランのルパンもの以外の作品。本書が4冊目で最後の様だ。 タ…


語り手のボーグランの伯父は発明に熱中している。ある日、迫真的な映像を浮かばせる手段を見つけた。伯父はそれを秘密にしていたが、何者かがそれを奪おうとする。ルパン・シリーズの著者が書いたSF作品。
ルパン・シリーズの作者のSF的小説。 語り手は、大学のポストを求職中のヴィクトリアン・ボーグランと…



20世紀初めのある日、大地震と共にドーヴァー海峡が陸で繋がってしまった。この驚天動地を背景に、主人公シモンが婚約者のイザベルとその父親を、無法地帯と化した新天地を探して歩く物語である。
原題はLe Formidable Evenement(とんでもない出来事)。過去の訳では「驚天動地」…



ドロテは若きサーカス団の女座長。美人で万能であり、ルパン・シリーズのルパンとヒロインを合わせたような存在。財宝の隠し場所を巡って、彼女と悪漢の戦いが繰り広げられる。ルパン・シリーズの外伝とされる作品
ルブランは、ルパン・シリーズ以外にも冒険小説を書いているが、その中でも比較的知られているのが本書であ…




夫に不満な新婚の妻レベッカはハーレー・ダヴィッドソンでハイデルベルクの恋人ダニエルに会いに行く。その途中での彼女の四つの回想場面が挟まる。疾走感、躍動感と同時に幻想的でもある不思議な印象の小説。
こちらもラジオドラマで知った作品。本書を読んで検索するまで知らなかったが映画(邦題:あの胸にもう一度…




第一次世界大戦後、復員したシェリは自分の居場所探しに失敗する。妻は病院で活躍し、母は投資に熱心だった。レアは醜怪な老女に変わり思い出を汚す。シェリは騒がしい自宅を離れ静かに過ごせる場所を見つけるが・・
「シェリ」 の続編。「シェリ」では、24歳の美青年シェリが、49歳の元高級娼婦レアに囲われていたが…




もう老境に入りかけていると言ってよい元高級娼婦レアの恋人は20代の美青年シェリだった。シェリの結婚を巡り揺れ動くレアを描き出した恋愛小説。
レア・ド・ロンヴァル(源氏名)ことレオニー・ヴァロンは49歳の元高級娼婦、24歳のシェリことフレッド…





遠い未来、怒りや憤りと言った過度な感情の振れが、制度によって抑制された世界。その「すばらしい新世界」に疑問を持つ者が居た。果たして彼の主張は正しいのだろうか・・。真の幸福とは何かを論じたSF的小説。
「すばらしい新世界」とは今から約500年後、2540年の頃の世界である。この世界を築くのに大きな影響…




マコンドと言う町を作ったブエンディア一族の7代、150年くらいの物語。内容は錯綜しており、意味不明の逸話の連続であるが、何か惹きつけるところのある魅力的な物語でもある。
本書を読むきっかけとなったのはお酒である。友人宅に伺った時に「百年の孤独」という銘柄の焼酎が登場した…





ウィリアム師が僧院で起こる連続殺人事件を解決できないまま教皇の使節が到着する。清貧論争は決裂し、所属の僧2名が事件の犯人と教皇使節にしょっ引かれる。果たしてウィリアム師は真犯人に迫れるのか。
1327年11月、ロジャー・ベーコン流の科学的思考能力を持つウィリアム師とその弟子の見習い修道士アド…

14世紀初頭の僧院で殺人事件が起きる。そこにカトリック内部の宗派対立と教皇と神聖ローマ皇帝の仲介交渉のためウィリアム師と弟子のアドソがやってきて、事件の捜査を頼まれる。
30年以上前にショーン・コネリーが主演で話題になった中世の僧院を舞台にした歴史ミステリ映画の原作。イ…





クリスティーが夫の考古学者マローワン氏に同行したシリアでの生活体験記。シリアでの彼女は、文明から隔絶した世界に暮らしているにもかかわらず、とても楽しそうだ。異国体験とはこのようにありたいものである。
考古学者マックス・マローワン夫人としても知られるアガサ・クリスティーの発掘現場での生活雑記・見聞録で…