百二十歳の少女 古美術商・柊ニーナ
「呪われた人形譚」なんていう古典的なモチーフですが、大石にかかると小児性愛がらみのエロティックホラーとなります。
美貌の古美術商の柊ニーナは、パリでビスクドールの最高峰ブリュ・ジュンを買い付けます。ビスクドールとい…
本が好き! 1級
書評数:2212 件
得票数:30076 票
「本を褒めるときは大きな声で、貶すときはもっと大きな声で!!」を金科玉条とした塩味レビューがモットーでございます。
「呪われた人形譚」なんていう古典的なモチーフですが、大石にかかると小児性愛がらみのエロティックホラーとなります。
美貌の古美術商の柊ニーナは、パリでビスクドールの最高峰ブリュ・ジュンを買い付けます。ビスクドールとい…
ローマ教皇から異端とされ十字軍の攻撃で消滅させられたカタリ派についての真実を追求する物語。江戸時代の隠れキリシタンと重ねああせて日本人にもなじみがある歴史サスペンスラブロマンスとなっています。
ずばり異端と言われている「カタリ派」擁護でストーリーは展開しており、キリスト教の暗部・恥部を暴き出す…
妊娠っていうのは一般に目出たいとか嬉しいとか祝福というイメージなのですが、そこにネガティブなイメージをブッコむ小川さんは天才。しかも文章が静謐なだけに説得力十分で怖い。
第104回芥川賞の受賞作。当時彼女は28歳だったそうです。選考委員の日本語の神さま(と私は思って言…
ううんー。この結末のインパクトはメガトン級すぎて納得できないなぁ。
前半の犯人の犯行手記編で、愛する娘・頼子を殺害された父親・西村悠史はその犯人である教師を突き止め、…
乱世を生きた義に篤い武士たちの生きざまがよみがえります。沖田総司、大石内蔵助、黒田長政、蒲生氏郷、北条政子、不疑といった時代を彩るスターたちの心揺さぶるエピソード集。
鬼火 少年時代に遭った性被害のため感情が出せなくなっていた沖田総司の心をほぐしたのは芹沢鴨。とこ…
病院を舞台とした短篇6本。「嘘」というタイトル通り、医師や患者が嘘をついているのですが、その嘘は過去に犯した罪を隠すためという設定が多く、それがばれるときにカタストロフを迎えます。
「最後の良薬」 若手内科医の副島は、院長にがん末期の患者の担当を命じられる。終末期医療の経験のない…
登場人物が全員バカと犯罪者。戸梶らしい設定ではあるが、彼らが遭遇したら落ち着くところ狂気の暴力しかないでしょう。和風タランティーノと言ったらほめ過ぎか?
「ネットで炎上し世間から追放されたバカたちがひっそり暮らす秘密の集落」を訪ねるために山奥へ向かう3人…
泥酔した二美男は男が殺され池に捨てられる光景を目撃。夢でも見たのだと誰も相手にしないが、ある日謎の少年が訪れて、「伯父が祖父を殺し池に投げ込んだ」と言う。嘘が嘘を呼びそこから新たな真実が…
道尾秀介らしいファミリークライムでほっとする結末物語。最初から殺人シーンが登場するので謎解きミステ…
漫画家志望のマザコン男が世界で一番不幸なのは自分だとブチ切れてホテルで無差別大虐殺を行うという身も蓋もない話。一晩で十数人の殺害現場に付き合わされる読者の身にもなってよ。
小説において殺人事件は非日常の際たるもので、そんな大それたことが行われる理由や、犯人がばれないよう…
火付け強盗が闊歩する江戸市内で、強盗団の解明と捕縛を命じられたのが若き日の水戸光圀。その手下にはもともと捨て子であったが、間者に仕立て上げられた異能の子供たち。光圀探偵と少年探偵団の捕物絵巻です。
冲方 丁はどうやら水戸光圀のことが大好きなようで、「光圀伝」において光圀の一生を詳らかに著わしていま…
8年前に海で死んだはずの夫が目撃されはじめ、生きているのかもと動揺する主人公は既に資産家と再婚をして新しい生活を始めています。ゆっくり不安を醸し出し、最後にすとんとカタストロフ。大人の小説です。
全編を通して重苦しく、不安な雰囲気でもの語りが静かに進みます。桐野作品にしばしばみられるサスペンス感…
完全に読者を選ぶ小説です。コアなミステリファンにしかついてこれないハードマニアな側面と物理・量子論の難解さで煙に巻かれる感が鼻について嫌いという読者も多いのでは?私もその一人です。
「小説というのは大衆娯楽を旨にすべき」と常々思っている私にとって、一部のマニアにだけ受ける物語は駄作…
殺人容疑で逮捕された倉木は犯行を自供し刑に服そうとします。しかしその内容に不自然な点を感じた犯人の息子と被害者の娘は、真実を求めて動き出します。そして突き止めた事実がさらなる不幸を呼び起こすのです。
『麒麟の翼』『祈りの幕が下りる時』系の社会派人情ミステリー。雑多な人間関係と、30年前の別の殺人事件…
貧富の格差が大きくなる中、自らが罪を犯してホームレスに落ちた主人公たち。しかしそこにもまた階層化があって、平和なホームレス生活からさらに下層の生活へ転落します。カイジより悲惨な彼らの生きざまを見よ。
戸梶らしいグロ・エグ・ジェットコースター転落劇です。同じ系列のどたばたエグどん底物語「Cheap T…
幅広い作風を披露する冲方を俯瞰するような7編の短編腫。ホラー、歴史、SF、倒錯系、猟奇系などディープ過ぎる世界へようこそ。
『マルドゥック・スクランブル』と『天地明察』が代表作で会う冲方さんだから、その作風の広さは、世界観の…
父娘家庭と母娘家庭が新しい家族となるぎこちなさと喜びを小学校4年生のフミの目を通して描きます。大好きだった実の母を亡くしてまだ忘れられないフミと、新しい姉、母との関係が不器用すぎて涙を誘います。
大好きだった母を2年前に亡くした小学校4年生のフミが主人公です。父が再婚したために新たにできた母と姉…
AIプログラム「裕子」の謎解き物語かと思いきや、2代にわたる近親相関話に落ちをもっていくとは。複雑な人間関係がとんでもない結論を導き出します。
父が遺した意識を持つプログラム「裕子」の開発の謎を追う直樹は、実母である佐々木を訪れ直樹が父親と娘…
意識を持ったコンピュータは存在するのか?そもそも意識とは何か?亡父の部屋にあったコンピュータの中から現れた「裕子」に恋する主人公直樹。裕子開発の謎は深まるばかりです。
浦賀氏のデビュー作にして第5回メフィスト賞受賞作。1998年の作品なので現代においては人工知能につ…
信長の命を受けて天下の名城であり奇城である安土城を建立することになった宮大工・岡部又右衛の一代記。巨城を支える石垣組や巨木の伐採など当時の土木技術の粋が注ぎ込まれる様子が描かれ松本清張賞を受賞
安土城築城に将に命を懸けた棟梁親子の物語です。時は天正年間。飛ぶ鳥を落とす勢いで勢力を広げる信長に…
笹本山岳小説の中でも、最高峰の一つ。人の生存を拒絶する極限の地・厳冬のエベレストに主人公は登ります。それは全人類の運命を背負っているから。涙なしでは読了できない山岳サスペンスドラマ。
エベレスト山頂近くにアメリカの人工衛星が墜落。丁度登頂を目指していた真木郷司は墜落が引き起こした雪…