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  1. 文芸部・はるほん先生版「桃太郎」執筆室
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文芸部・はるほん先生版「桃太郎」執筆室

登録日:2013年04月02日 18時06分
桃太郎
タイトル:桃太郎
著者:芥川竜之介
出版社:
発売日:2012-09-27
価格:
平均レート:★★★
テーマ主催者:
みさわなおき さん
みさわなおきさん

テーマの説明

はるほんさん版の桃太郎が読みたい! というレビュアーの声が殺到したので、掲示板を用意しました。
はるほん先生の新作、どうぞご期待ください。
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最新20件を表示中 [すべてのコメントを表示
  1. 2
    はるほん
    はるほん さん
     序章「原罪」
    先ず此れ、門外不出と心得られよ。
    今より語るのは、桃太郎の裏物語也。
    さすればこの門をくぐる者は一切の希望を捨てよ───

    簡単に言うと、期待すんなって話である。

    ====================================

    桃から生まれ出ずる桃太郎。
    何故そのような奇々怪々な出生となったか、理由がある。
    天は人間を作り、後に命の木と知識の木を作ったと言う。
    何処かで聞いたような話であるが、それはさておき
    男の名を亜太郎という。

    亜太郎がぼっちで寂しかろうと、神は対の人間を作った。
    女の名をイネという。
    「楽園にある果実は何れを食べてもよい
     だが知識の木になる実だけは食べてはならぬ」
    しかしイネは果実を口にするのである。
    柔らかな和毛に包まれた、瑞々しいその桃色の果実を。
    だがそれは、魔性に唆された訳ではない。
    投稿日:
    2013年04月03日 07時59分
    GOOD!15コメントを全件表示0

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    • 3
      はるほん
      はるほん さん
      この時、亜太郎は75歳。イネは72歳。
      互いの釣り合いは取れているものの、少々高齢過ぎた。
      二人の耳に神の声は届かぬし
      三歩歩けば朝食メニューも忘却するという
      儚い学習能力よる過失であった。

      せめて知識の実を食べていれば、何とかなったのかも知れないが
      命の実を口にしたイネは、新しい命を孕んでしまう。
      神は過ちを隠すため、二人を楽園から追放する。
      そうして後世、かなり年齢設定を若くして
      アダムという男を作るのだが、それはまた別の話だ。

      過ちの果実よりできちゃった子。
      これが後の桃太郎である。
      投稿日:
      2013年04月03日 08時00分
      GOOD!16コメントを全件表示13

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      • GOOD!404/03 23:03
        桃太郎→タツノコ太郎→

        みたいに、ずっと連載が終わらなかったりして(ボソッ
      • GOOD!304/03 23:08
        (それは是非是非)
      • 4
        はるほん
        はるほん さん
        第二章「桃太郎の憂鬱」

        恥の多い生涯を送って参りました。
        幼少の頃より、どうにも周囲と比べて
        己の両親がしなびているとは思っておりました。
        恥かきっこという言葉通り、両親も体裁が悪いと思っていたらしく
        「あれは桃から生まれたんですの、おほほ」
        などとトンデモ発言をした為に、いじめが絶えませんでした。、
        私は次第、家に閉じ籠るようになりました。

        出生と育ちに闇を抱えている上
        両親も早や80を超え、未来にも不安がのしかかります。
        毎日山へ行って、苦行の如く芝を刈る父と
        毎日川へ行って、素麺の如く洗濯ものを流している母と。
        既に家屋を押し潰さんとする膨大な芝に
        パンツの方は明日の分も心もとないのです。
        投稿日:
        2013年04月04日 07時41分
        GOOD!15コメントを全件表示4

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        • GOOD!204/12 09:06
          両親の高齢化とニートの若者…昔ばなしに風刺を織り交ぜるなんて、はるほんさんの凄腕ぶりは天上知らずだわ…芥川桃太郎の継承者!(^^)
        • GOOD!204/12 13:24
          >そのじつさん
          「読みたい」ってコメントが数件(比較的瞬時に)ついたので、この掲示板を用意したら「1,2,3...たくさんって」とはるほんさんに呆れられましたw それでも、書いて下さるナイスガイなのです^^
        • 5
          はるほん
          はるほん さん
          このままではいけないと分かっているものの
          父の跡を継ぐのは只の自然破壊ですし
          母の跡を継ぐのは家庭崩壊です。
          桃から生まれたと言う肩書を背負ってしまったからには
          凡人で終わるつもりもありません。
          富士山より高いプライドと膨大な言い訳があれば
          即席ニートが出来上がるのですから、仕様もありません。

          世間では鬼の存在が話題となっていました。
          身丈は7尺余りあり、燃えるような髪と肌
          異形の目をもって、巷を震撼させています。
          私はうすらぼんやりと考えました。
          …そう言えば、聞いたことがあります。

          鬼は尋常でない神通力を持ち
          そのパンツは10年たっても破れないと言います。
          身の振り方とパンツ問題を一気に解決するには
          格好の手立てではありませんか。
          私は意を決すると、立ち上がったのです。
          投稿日:
          2013年04月04日 07時42分
          GOOD!19コメントを全件表示0

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          • 6
            はるほん
            はるほん さん
            両親は喜びました。
            息子が部屋で一人、双六や歌留多ばかりしている様子は
            哀れを通り越して、いっそ薄気味悪かったのでしょう。
            せめて歌留多は、読み手か若しくは
            捕り手になる友人を作って欲しいと思っておりましたでしょう。
            母は楚々と、キビ団子をこしらえ始めました。

            またか、と内心私は思っていたのです。
            母は楽園出身の所為か、少々現実感に乏しいのです。
            こんな時は弁当を持たせるのが常でしょうに
            「米が無ければ団子を食べればいいじゃない」と
            平然と夕餉にも饅頭を並べる始末なのです。

            両親と私の血糖値がどうにかなる前に
            鬼退治で名を挙げ、ゆくゆくは「桃太郎」の冒険譚を出版し
            印税でゆうゆうと暮らすことが、私の細やかな夢なのです。
            そんな腹積もりとキビ団子を懐に、私は旅立ったのでした。
            投稿日:
            2013年04月04日 07時42分
            GOOD!16コメントを全件表示6

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            • GOOD!804/04 20:41
              今頃ネズミ―で、さらにイマジネーション膨らませているはず(^◇^)ますます楽しみです☆
            • GOOD!604/06 07:35
              ネズミーでいろんなものを使い果たしました…。
              行列2時間も待ってたら、薄い本が1冊読めるよ…!
              (↑本読みにおける価値換算)

              もうしばらく続きそうです。まこと申し訳ない。
            • 7
              はるほん
              はるほん さん
              第2章「犬」
              いやだ、と思った。
              すぐ後ろを歩いている、不健康な肌色をした男である。
              どうも何か話しかけたそうな顔をしているのだが
              その目は常にオドオドとして、振り向くと目を反らされてしまう。
              腰から団子をぶら下げているのも、妙だ。
              関わりになりたくなかったが、このままにしておくのも剣呑だ。

              「あの、何か御用でしょうか?」
              牽制のつもりで勢い振り向くと、男はびくりと肩を震わせて
              そのまま固まってしまった。
              口をパクパクとさせて失語する様子に
              どうも人と不慣れであるらしいと、少々物腰を和らげてみた。
              「いえ、関所から方向が同じようなので
               道中のご挨拶でもと思いまして」
              優しげな物言いに、男は目に見えてほっとしたらしかった。
              投稿日:
              2013年04月06日 07時36分
              GOOD!15コメントを全件表示0

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              • 8
                はるほん
                はるほん さん
                男は、桃太郎と名乗った。
                こちらも、犬山ですと名乗る。
                蚊の鳴くような声でぽつりぽつりと身上を語るが
                何を言っているのかサッパリ分からない。
                どうやら立身を企てているようだが、相当な甘ちゃんだ。
                関所を超えるのも駕籠に乗るのも生まれて初めてらしく
                こんな様子で海を越え、あの「鬼ヶ島」へ渡れるのか心配になった。
                犬山は、もともと情の深い男であった。

                「…宜しければ、私がご一緒しましょうか」
                その言葉に、ぱぁと桃太郎の顔が輝く。
                どうやら初めから、その算段で話しかけようとしていたらしい。
                だがここは、社会人としての心構えを説いてやるべきである。
                「これはビジネスですよ、桃太郎さん
                 南蛮風に言えば、ギブ・アンド・テイクと言う奴です
                 私の労働への対価を支払う事で、契約は成立するんです」
                途端に桃太郎の顔が、絶望に曇る。
                投稿日:
                2013年04月06日 07時37分
                GOOD!15コメントを全件表示0

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                • 9
                  はるほん
                  はるほん さん
                  芝刈りの小倅に、給与を支払う余裕などあろう筈もない。
                  明日の分のパンツすら危ぶまれる身である。
                  一寸騙されやすそうな、否、人の良さそうな風をしている癖に
                  これだから世間は信用できないのだ、と思う。
                  あのまま家に引き籠っていれば良かった、と思う。
                  両手に余る無力さに堪え切れず、桃太郎の眸には
                  いっぱいの表面張力が膨れ上がった。

                  犬山はぎょっとした。
                  「い、いえ、ほら!キビ団子をお持ちじゃないですか!
                   私は団子には目がないのです
                   これをお供の契約と致しましょう」
                  無論、契約の半分は犬山のやさしさで出来ている。
                  だが世間知らずの桃太郎が、そんな気遣いを理解する筈もない。
                  黙ってじいっと、食い飽きる程に口にした団子を見やる。

                  腰に結んだ革袋に手を入れると
                  フンと高飛車な鼻息を鳴らして、団子を1つだけ差し出した。
                  母のキビ団子に、過剰な価値を見い出したらしい。
                  投稿日:
                  2013年04月06日 07時42分
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                  • 10
                    はるほん
                    はるほん さん
                    犬山は一瞬瞠目したが、それを受け取った。
                    「……ありがとうございます」
                    桃太郎は頷くと、意気揚々と歩き出す。
                    犬山は一つきりの団子を口に放り込むと、のろのろと後に続いた。

                    妙にむちむちした団子が、喉に詰まりそうだった。
                    投稿日:
                    2013年04月06日 07時43分
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                    • GOOD!104/07 09:53
                      いえいえこっそりと言わず皆様
                      後を引き継いでくだすってもよろしくってよ…?
                    • GOOD!104/07 14:30
                      (僕の文才の無さはリレー小説で実証済みなので、はるほんさんの更新をただひたすら読みますっw)
                    • 11
                      はるほん
                      はるほん さん
                      第3章「猿」
                      オレは山生まれ HIPHOP育ち
                      悪そうなヤツは大体友達
                      何時でもANGRY 朝からHUNGRY
                      よこせKIBIDANGO
                      YO!HO!SAY!KIBIDANGO!

                      お前意味不明 でも団子うめぇ
                      今日から兄弟 だから頂戴
                      お前に惚れたぜ KIBIDANGO
                      マジだぜ 本気だぜ HONKY MONKY CRAZY
                      君に感謝 キビにヒャッハー

                      LET'S G0 LET'S G0 鬼ヶ島
                      8×4 8×4 腋が臭い

                      【犬山補足】
                      イカつい男が加わった。
                      名を猿川と言うらしいが、何を言ってるのかよく分からぬ。

                      しかし恐るべきは桃太郎だ。
                      ずっと自分の背中に隠れて怯えながらも
                      件のキビ団子を半分にして猿川に与え
                      更に欲しがるところに残り半分を与え
                      報酬を2倍に見せて契約を成功させた。
                      意外と頭が切れるのか、猿川がサルなのか。

                      取り敢えず猿川とは、生理的に何かが合わない気がする。
                      投稿日:
                      2013年04月07日 09時25分
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                      • GOOD!504/08 23:10
                        ♪オレは滋賀生まれ滋賀育ち
                         実家の回りは大体門前町♪
                        (もうええっちゅうねん)
                      • GOOD!204/09 08:07
                        はるほんさんは、詩人を突き抜けてラッパーになってしまわれたw
                      • 12
                        はるほん
                        はるほん さん
                        第4章「雉」
                        デュフフコポォ オウフドプフォ フォカヌポウw

                        【犬山補足】
                        妙な男が加わった。
                        名を雉畑と言うが、もう何が何だか分からない。

                        桃太郎と妙に気が合い、道中もずっと
                        「独り歌留多の極意」だの「裏双六完全制覇」だの
                        児戯のような大人げないような話で盛り上がっている。
                        何を言っているのか分からぬので、二人の会話には入れぬし
                        猿川はずっと歌っているし、そもそも虫が好かぬ。
                        何とも身の置きようが無い。

                        桃太郎はついに、1/4のキビ団子で
                        雉畑との契約を成立させた。
                        あれはいずれ天下を取るか
                        稀代の悪党になるのではないかと思うと、背筋が寒くなる。
                        猿川などはすっかり奴に心酔しているが
                        団子半分で踊らされているのだから、哀れなものだ。

                        そこへ行くと私などは、団子を1つ丸々得ている。
                        桃太郎からの信頼が、他の二人とは違うということなのだから
                        道中の孤独など、さしたる問題ではない…。
                        投稿日:
                        2013年04月07日 09時26分
                        GOOD!14コメントを全件表示17

                        ログイン後、コメントできます。

                        • GOOD!204/12 20:40
                          「オウフwwwいわゆるスレ乱立ですねwww
                          おっとっとwww拙者『スレ』などとついネット用語がwww
                          まあ拙者は、スレを乱立した挙句にwikiまで作っており
                          http://w.livedoor.jp/honn_no_wa_url/
                          ツッコミどころありまくりでございますのでwww何の影響でwww
                          フォカヌポウwww拙者これではまるでオタクみたいwww
                          拙者はオタクではござらんのでwwwコポォ」

                          >はるほんさん
                          その妖怪は、もしかしてこんな感じかもしれませんコポォ
                        • GOOD!304/12 21:00
                          デタ━━━━━━(|||゚Д゚)━━━━━━!!!!!!
                          って、どちらかと言うと世話好き妖怪のような(笑)

                          一日一善。一日一スレ。
                        • 13
                          はるほん
                          はるほん さん
                          ところで、さっきみたら先週の書評ランキングの桃太郎の票数が
                          ものすごいことになってて、思わず爆笑しました。
                          ===============================
                          第5章「鬼」
                          ハイ、ドーモドーモ。
                          私、オニーイイマス。
                          ニポン来テ、モウ随分ニナリマース。

                          ハジメテ来タ時ハ、モウ大変ナ騒ギデシタ。
                          沢山ニポン人ガ出迎エテクレテ
                          エエト、拍手喝采?大歓声?阿鼻叫喚?
                          兎ニ角、コノ島ヲ私ニプレゼントシテクレタノデス。
                          ニポン人、トテモ親切デース。

                          時々役人ト言ウノガ来テ、ウチヲ遠回シニ見ニ来マス。
                          オ茶ニオ誘イスルノデスガ、直グ帰ッテシマイマス。
                          長居ヲシナイノガ、ニポン人ノ美徳ラシイデース。
                          ニポン人、遠慮深イネ。
                          デモチョット、涙ガ出チャウ。
                          投稿日:
                          2013年04月08日 23時21分
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                          • 14
                            はるほん
                            はるほん さん
                            毎日、小鳥サンノサエズリデ起キテ、朝ゴハン作リマス。
                            一日ニ玄米四合ト、味噌ト少シノ野菜ヲ食ベマス。
                            東ニ病気ノ私アレバ
                            誰モ居ナイノデ、自分デ看病シテヤリ。
                            西ニツカレタ私アレバ
                            誰モ居ナイノデ、自分デ稲ノ朿ヲ負ヒ。
                            南ニ死ニサウナ私アレバ
                            誰モ居ナイノデ、怖ガラナクテモ良イ訳アルカ。
                            北ニ喧嘩ヤ訴訟ガアレバ
                            是非行ッテ私モ混ゼテ欲シイデス。

                            褒メラレモセズ
                            相手ニモサレズ

                            最近、一人歌留多ト言ウノヲ始メマシタ。
                            結構面白イデース。
                            投稿日:
                            2013年04月08日 23時21分
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                            • GOOD!404/12 09:29
                              面白すぎて、心拍数が上がりっ放しです!
                              続きが楽しみ♪
                            • GOOD!204/12 19:18
                              こちらも馬鹿が漏れていないかとドキドキです…。
                              (もうダダ漏れだよお前…)
                              一気に畳みました。すいませんっ!
                            • 15
                              はるほん
                              はるほん さん
                              本日休みでしたので、一気に畳みます。
                              ==================================
                              第6章「闘い…!」
                              己の体を両の腕で抱えても、震えが止まらぬ。
                              其れは心の臓が潰れるかと思う程、恐ろしい光景であった。

                              桃太郎は変貌した。
                              くわと見開かれた愚鈍そうな目が血の色に染まり
                              薄い唇をにたぁと釣り上げたその様は
                              まるで彼の人こそが悪鬼か、夜叉の如くあった。
                              その背後では猿川の大柄な躯体が
                              桃太郎の手で築かれたむごたらしい戦歴を
                              狂ったように踏み潰している。

                              此の世の物とは思えぬ地獄絵図に目をそむけるが
                              毒気にあてられたかのような
                              雉畑の甲高い奇声が、内耳の奥にねっとり絡みつく。
                              地獄だ、と犬山は思った。

                              鬼は燃えるような色の髪を振り乱し
                              周囲の空気を唸らせるほどに、太ましい腕を振り回している。
                              獲物を狙うその眼は爛々と輝き
                              異常な歓喜に漏れる咆哮は聞き取れぬ。
                              投稿日:
                              2013年04月12日 19時10分
                              GOOD!10コメントを全件表示2

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                              • 16
                                はるほん
                                はるほん さん
                                誰も正気とは思えなかった。
                                それを正義と名乗るのは人の高慢であり
                                また人と名乗るには余りに残酷な所業であった。
                                このままでは自分まで、この狂気に感染してしまう。
                                犬山は恐怖に滲んでいく視界を堪えながら
                                喉も裂けんばかりに叫んだ。

                                「や…、やめて下さい!
                                 もうこれ以上、耐えられません!」

                                桃太郎がのろのろと振り返る。
                                その目には遊戯を邪魔された無垢な憤りがあるばかりで
                                他に一切の感情は無い。
                                犬山の背筋が冷たく凍る。

                                「♪どうした兄弟 なんか問題 茶でもどうだい♪」
                                「…その妙な歌もやめて下さい」
                                「ブホォw犬山殿ww殿中でござるwww
                                 もちつけでござるwwwいや拙者とした事がつい慌ててコポォw」
                                「ソウデス、犬山サン
                                 男ノ闘イニ水差ス、イケマセン
                                 孔子ノタマワーク、君子ハ坦トシテ蕩蕩タリ…」
                                「何が男の闘いですッッ!
                                 全員、一人歌留多やってるだけじゃないですかッッッ!」
                                投稿日:
                                2013年04月12日 19時10分
                                GOOD!13コメントを全件表示6

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                                • GOOD!204/12 21:54
                                  ラストのツッコミにリアルで茶をふきました。
                                  そして泣いた…
                                • GOOD!304/13 13:10
                                  えっ、カルタだったのw
                                • 17
                                  はるほん
                                  はるほん さん
                                  終章「終わり良ければ総て良し」
                                  鬼ヶ島には、燦々と陽光が降り注いでいた。
                                  青い空。白い雲。輝くビーチ。たわわな果実。
                                  そうして、腰に一枚布を巻いたのみの
                                  惜しげもなく晒されたダイナマイトバディがあった。
                                  猫背気味に歌留多札を並べて札を読み、自分で札を取り
                                  そうして喜んだり悔しがったりしている大男の姿である。

                                  その本気度にも背中が薄ら寒くなったが
                                  隣で対抗意識を燃やしている桃太郎が、一番恐ろしかった。
                                  当然、その話で盛り上がっていた雉畑の目の色も変わる。
                                  無言のゴングが──ヲタク特有のコミュ障に因る───鳴り響き、
                                  壮絶な歌留多大会が始まった。

                                  それは、異様な光景であった。
                                  3人が3人とも背を向け、一人歌留多に熱中しているのである。
                                  己で札を読み、己で札を取り、
                                  時には何かに邪魔をされたのか、悔しそうに頭を抱え
                                  泣き、笑い、怒り、励まし、談笑すらしているのだ。
                                  投稿日:
                                  2013年04月12日 19時12分
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                                  • 18
                                    はるほん
                                    はるほん さん
                                    猿川は文字が読めないらしく、ただ無関係に暴れまわっている。
                                    こんなに美しい島に居ながら、5人が5人とも
                                    心を通わせていないという状況に犬川は激しく嗚咽した。
                                    「どうかしてます!アンタ達、ホントにどうかしてますよ!
                                     せめて一緒にやって下さい!歌留多なら!!!
                                     見てるコッチが切なくて、胸が張り裂けそうになります!」
                                    犬山はそう言って、わあわあと泣き出した。
                                    深いぼっちの闇は、一般人には余りに辛かったのだ。

                                    戦いすんで日が暮れて
                                     夢は未来を駆け巡る────

                                    こうして桃太郎にはぼっちに打ち勝ち
                                    歌留多札を囲む友という、パンツに勝る宝を得た。
                                    故に桃太郎は今も尚
                                    ジャ●プで言う「努力」「勝利」「友情」をすべて満たした
                                    不朽の名作となったのだ。

                                    努力をしたのは主に犬山であり
                                    問題部分をすべて抹消し
                                    それっぽい武勇伝に改編して、後世に伝えたと言う。
                                    投稿日:
                                    2013年04月12日 19時12分
                                    GOOD!13コメントを全件表示0

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                                    • 19
                                      はるほん
                                      はるほん さん
                                      コレは酷い、と思われるであろう。
                                      だが安心したまえ。こんな無茶苦茶な戯言も
                                      それっぽい昔話に変える魔法があるのだ。

                                      とっぴんぱらりのぷう。
                                      投稿日:
                                      2013年04月12日 19時12分
                                      GOOD!14コメントを全件表示22

                                      ログイン後、コメントできます。

                                      • GOOD!404/13 22:43
                                        >みさわなおきさん
                                        おお、このアボガド丼は火も使わなくて
                                        簡単そうでいいですねえ!
                                        ってもう鬼ヶ島接待決定っすか。(笑)

                                        >Kuraraさん
                                        自分もこんなに桃太郎月になるとは思いませなんだ。
                                        結構図太く生きてるので、ここに来てないと綺麗に忘れてます。(笑)
                                        おやさしいお気遣い、ありがとうございます!
                                      • GOOD!304/13 23:16
                                        >はるほんさん
                                        暑い夏、台所で火を使わないで済む料理として重宝しておりますw
                                      • 20
                                        主催者
                                        みさわなおき
                                        みさわなおき さん
                                        //タツノコ太郎など、続編を執筆される方をゆるく募集しています...
                                        投稿日:
                                        2013年04月12日 21時02分
                                        GOOD!4コメントを全件表示2

                                        ログイン後、コメントできます。

                                        • GOOD!504/12 21:27
                                          まめちゃん、かる~く無視されてるしww
                                          いいのよ。自分で書いても(^_-)
                                        • GOOD!304/13 00:20
                                          (いえいえ、滅相もないw 鬼ヶ島担当で手一杯ですがな)
                                          //掲示板を閉じてしまうのももったいないので、一応書いてみました^^
                                        • 21
                                          はるほん
                                          はるほん さん
                                          最後のお詫びにアニメ化してみました。
                                          気が付いたい人だけ
                                          「見なければよかった」と後悔してください。(笑)
                                          投稿日:
                                          2013年04月13日 21時55分
                                          GOOD!11コメントを全件表示8

                                          ログイン後、コメントできます。

                                          • GOOD!704/13 23:48
                                            うわ、すごい!
                                            こんなにあれもこれもと才能を披露していただくと、
                                            「他にどんな才能をまだ隠しているんだろう?」
                                            と気になりますね。

                                            >「みさわなおきプロデューサー&クリエイターはるほん」の新作に期待
                                            同じく~!
                                          • GOOD!504/14 10:44
                                            いえ、実生活に役立つ才能はなにもありませぬ。

                                            あ。今頃思い出しましたが、これは芥川ではなく太宰でした。
                                            芥川がイマイチ似なかったので
                                            途中から太宰に描きなおした(つもり)だったんでした。訂正。
                                          この読書会は終了しました。

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