拾得さん
レビュアー:
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「なぜ生きるか、これについては考えつづける他はなく、その時その時に私の出したこたえは、すくなくとも私にとってはその後の全人生をとおしての究極的解決とはならなかった。」(鶴見俊輔生命観の諸相、410頁)
ここのところ、何を読んだらいいのかわらかなくなって、思いついたのがこのシリーズです。「どうせなら、きつそうなものを」と、「いのち」が入った巻を手にとってみたところ、本当に、とてもきつかったです。
「ちくま文学の森」は、80年代に話題をまいたアンソロジーシリーズですが、「新・ちくま文学の森」はほぼ同じ編者により新たに90年代に編まれたものです。活字も大きく、ルビも多く、一見ヤングアダルト向けにさえ見えます。ところが本巻はそんな甘い見方を吹き飛ばすようなセレクションでした。もちろん、「いろいろ入っている」のですが、死を前にした文章が少なくなく、その存在感は読む者を圧倒します。
関心がない人は手にとる必要もないでしょうし、そもそも目にも入らないことでしょう。いや、読んでもさほど感じないかもしれません。もし、なんらかの事情で敏感になっているのであれば、心して手にとった方がよいでしょう。大げさにいえば「取り扱い注意」です。もちろん「死」といっても、臨終の場面だけではありません。時間をかけた「死」もあるわけです。
「いろいろ入っている」なかで、思わぬものの1つが、10年ほど前に原田芳雄と尾野真千子の主演でドラマ化された「火の魚」の原作が入っていたことです。二人の好演が光ったドラマ作品のほうが個人的には好みですが、「原作はこんな感じだったのか」と発見でした。
こんなとんでもない巻を構想し編集したのはいったい誰かと思いきや、巻末の一文は「生命観の諸相」というタイトルで鶴見俊輔が寄せています。小さい頃から「不健康な私は、死ぬことについて夜ねむれないくらい悩み」という告白からはじまるこの一文から察するに、彼が中心になって編纂したのは間違いないのでしょう。この一文も、なんとも独自の存在感を放っています。そもそも、この文章を書く直前に鶴見自身が癌告知を受けています。
なんとも罪深いともいえる1冊ですが、気がつけば新シリーズの編者はすでに5人共に鬼籍に入っています。それぞれどんな「いのちのかたち」を心に秘めて逝ったのでしょう。聞いてみたいような、聞くのは怖いような、そんな思いを感じさせます。
本書について何かを書くのもきついのですが、何かを書き留めておかねばという思いにも駆られます。この「本が好き」サイトには未だ登録されていないことに気がつき、存在だけをレポートしたく、なんとか一文をものした次第です。
「ちくま文学の森」は、80年代に話題をまいたアンソロジーシリーズですが、「新・ちくま文学の森」はほぼ同じ編者により新たに90年代に編まれたものです。活字も大きく、ルビも多く、一見ヤングアダルト向けにさえ見えます。ところが本巻はそんな甘い見方を吹き飛ばすようなセレクションでした。もちろん、「いろいろ入っている」のですが、死を前にした文章が少なくなく、その存在感は読む者を圧倒します。
関心がない人は手にとる必要もないでしょうし、そもそも目にも入らないことでしょう。いや、読んでもさほど感じないかもしれません。もし、なんらかの事情で敏感になっているのであれば、心して手にとった方がよいでしょう。大げさにいえば「取り扱い注意」です。もちろん「死」といっても、臨終の場面だけではありません。時間をかけた「死」もあるわけです。
「いろいろ入っている」なかで、思わぬものの1つが、10年ほど前に原田芳雄と尾野真千子の主演でドラマ化された「火の魚」の原作が入っていたことです。二人の好演が光ったドラマ作品のほうが個人的には好みですが、「原作はこんな感じだったのか」と発見でした。
こんなとんでもない巻を構想し編集したのはいったい誰かと思いきや、巻末の一文は「生命観の諸相」というタイトルで鶴見俊輔が寄せています。小さい頃から「不健康な私は、死ぬことについて夜ねむれないくらい悩み」という告白からはじまるこの一文から察するに、彼が中心になって編纂したのは間違いないのでしょう。この一文も、なんとも独自の存在感を放っています。そもそも、この文章を書く直前に鶴見自身が癌告知を受けています。
なんとも罪深いともいえる1冊ですが、気がつけば新シリーズの編者はすでに5人共に鬼籍に入っています。それぞれどんな「いのちのかたち」を心に秘めて逝ったのでしょう。聞いてみたいような、聞くのは怖いような、そんな思いを感じさせます。
本書について何かを書くのもきついのですが、何かを書き留めておかねばという思いにも駆られます。この「本が好き」サイトには未だ登録されていないことに気がつき、存在だけをレポートしたく、なんとか一文をものした次第です。
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学生時代は書評誌に関わってました。今世紀に入り、当初はBK1(現在honto)、その後、TRCブックポータルでレビューを掲載してました。同サイト閉鎖から、こちらに投稿するようになりました。
ニックネームは書評用のものでずっと使ってます。
サイトの高・多機能ぶりに対応できておらず、書き・読み程度ですが、私の文章がきっかけとなって、本そのものを手にとってもらえれば、うれしいという気持ちは変わりません。 特定分野に偏らないよう、できるだけ多様な書を少しずつでも紹介していければと考えています。
プロフィール画像は大昔にバイト先で書いてもらったものです。
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- 出版社:筑摩書房
- ページ数:0
- ISBN:9784480101266
- 発売日:1995年02月01日
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