武藤吐夢さん
レビュアー:
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わかりやすい生物学の入門書。利己的な遺伝子の話しやどうして、性がオスとメス必要なのか人間の身体構造と動物の差異などの話しが面白かったです。

友達の理科の教師にすすめてもらった本15冊のうちの一冊。
どうしても文系なので古典や歴史は強いが、理科系の科目の専門書になるとチンプンカンプン。
とくに化学、物理、数学はダメです。
ということで、大学受験でも勉強した生物の簡単なそれでいてそこそこ読み応えのある本を・・・ということで読みました。
わかりやすかったです。
文系の人でもわかります。
大学生向けの講義を本にしたものだそうです。
人間とは何か?
というテーマですが・・・、動物の話しが興味深かった。
人間とケモノの身体的特徴の差異は、四足歩行と二足歩行の差でしょう。
次は、長い髪、人は伸ばそうと思うと髪を数メートルも伸ばせるのに対し、熊などのケモノはある程度の長さになると伸びません。
人間が立てるのは、まっすぐな大腿骨にあるそうで、ケモノはまっすぐでないので立てません。内臓の問題もあり、犬が立ったとすると、内臓が全部下にズドーンと落っこちてしまいます。人間は落ちないような構造になっているそうです。
ケモノに比べて人は毛が少ない。この理由も面白い。
デズモンドモリスの考えでは、狩猟などで過度な運動をする場合、全身に体毛があると身体が過熱し身体に健康上の問題が起きる。そのため人間は毛が抜けていったと考察されています。
乳房の働きについての考察も楽しい。動物は子に授乳するためのものですが、人間はそれ以外に、乳房にメスの女の性的な信号になっているため、動物のそれとは役割が違うのです。
チェムスキーは、言語を生得的なものとしています。
言語は学習によってのみ獲得できるのではなく、成分文法能力は動物に生まれながらに備わっているとしています。カラスが親の鳴き声を聞き鳴くように、ホトトギスの鳴き声を聞いても興味を示さないのは遺伝的なものもあると思われます。言語は学習をして習得しているんだと今まで思われてきましたが、でも、そうではなくて、遺伝的にそなわった文法的なものがあって、自分の見た何かしているがあった時、それを何かがと、しているという主語と動詞に分けちゃう。そうするのが人間という動物の言語の一番の基本形なんだそうです。
子殺しの話しは興味深い、ハヌマンという猿は群れで行動していて、ボスを他のオスが倒すとその群れをすべて手に入れる。それはライオンなども同じ。その時、新しいボスは雌の育てている赤子を殺す、その場合、雌は親なのに抵抗しないそうだ。
利己的な遺伝子という言葉があって、自分の遺伝子を増殖させるという本能が動物にはある。子育て中の雌はオスとの交尾に関心を抱かない。だからボスは雌に自分の子を産ませるために子を殺すのである。そして、雌はそれを当然と受け入れる。
この考えが動物の本質とするなら、最近、問題になっている子供の虐待の話しが腑に落ちます。義理の父と母子家庭が同居した場合、新しい父や実母に子がいじめ虐待されるケースがあるが、これそのものですよね。利己的な遺伝子なのか。あの京都の不可解な事件。
ケモノは一夫多妻制が多いそうである。
群れで暮らすケモノはボスと、多数の雌、子たちの集団になる。
強い=優れた遺伝子を雌は欲するため、こういうハーレムが成立する。
メスはより良い頑丈な子を産みたいのである。
それに対して人は基本一夫一婦制である。
一夫多妻制や乱婚を野蛮とする人もいるが、著者の考えは違う。
一夫一婦制はただの形であると言っている。
つまり、人間の場合、財産がある。これを受け継ぐものを確定しなくてはならないので、明確に血筋を確定させておく必要がある。それでこういう制度が作り出されただけなのだそうだ。
人は太古の時代に密林を出て草原に出た。そこには猛獣がいたのに生き延びたのはどうしてかという話しは面白かったです。ようするに、人は集団で暮らしたのです。数人だとライオンは強敵だが、300人いたらさほどでもない。
もう一つ、面白かった考えがあります。
どうして、オスとメスに別れたのかです。
別に両生具有でも良かった。
何故かというと病気のリスクの回避です。人には色んな病気や特性が備わっていて、ある遺伝病はマラリアに感染しにくいなどの特徴があったりもします。色んな遺伝子が混ざり合うことで抵抗力を強めているのです。
両生具有だとコピー人間のようなものしか作れないので、遺伝子が汚染したら全滅します。ということでクローンに対して著者は否定的です。遺伝子の混ざり合いにより人は進化し無いものを取り入れていく。多様化していく。病気にも強くなる。クローンは全滅の可能性があるのです。
人間について、少し違う視点を持つことができたと思います。
良書だと思います。
2026 4 18
どうしても文系なので古典や歴史は強いが、理科系の科目の専門書になるとチンプンカンプン。
とくに化学、物理、数学はダメです。
ということで、大学受験でも勉強した生物の簡単なそれでいてそこそこ読み応えのある本を・・・ということで読みました。
わかりやすかったです。
文系の人でもわかります。
大学生向けの講義を本にしたものだそうです。
人間とは何か?
というテーマですが・・・、動物の話しが興味深かった。
人間とケモノの身体的特徴の差異は、四足歩行と二足歩行の差でしょう。
次は、長い髪、人は伸ばそうと思うと髪を数メートルも伸ばせるのに対し、熊などのケモノはある程度の長さになると伸びません。
人間が立てるのは、まっすぐな大腿骨にあるそうで、ケモノはまっすぐでないので立てません。内臓の問題もあり、犬が立ったとすると、内臓が全部下にズドーンと落っこちてしまいます。人間は落ちないような構造になっているそうです。
ケモノに比べて人は毛が少ない。この理由も面白い。
デズモンドモリスの考えでは、狩猟などで過度な運動をする場合、全身に体毛があると身体が過熱し身体に健康上の問題が起きる。そのため人間は毛が抜けていったと考察されています。
乳房の働きについての考察も楽しい。動物は子に授乳するためのものですが、人間はそれ以外に、乳房にメスの女の性的な信号になっているため、動物のそれとは役割が違うのです。
チェムスキーは、言語を生得的なものとしています。
言語は学習によってのみ獲得できるのではなく、成分文法能力は動物に生まれながらに備わっているとしています。カラスが親の鳴き声を聞き鳴くように、ホトトギスの鳴き声を聞いても興味を示さないのは遺伝的なものもあると思われます。言語は学習をして習得しているんだと今まで思われてきましたが、でも、そうではなくて、遺伝的にそなわった文法的なものがあって、自分の見た何かしているがあった時、それを何かがと、しているという主語と動詞に分けちゃう。そうするのが人間という動物の言語の一番の基本形なんだそうです。
子殺しの話しは興味深い、ハヌマンという猿は群れで行動していて、ボスを他のオスが倒すとその群れをすべて手に入れる。それはライオンなども同じ。その時、新しいボスは雌の育てている赤子を殺す、その場合、雌は親なのに抵抗しないそうだ。
利己的な遺伝子という言葉があって、自分の遺伝子を増殖させるという本能が動物にはある。子育て中の雌はオスとの交尾に関心を抱かない。だからボスは雌に自分の子を産ませるために子を殺すのである。そして、雌はそれを当然と受け入れる。
この考えが動物の本質とするなら、最近、問題になっている子供の虐待の話しが腑に落ちます。義理の父と母子家庭が同居した場合、新しい父や実母に子がいじめ虐待されるケースがあるが、これそのものですよね。利己的な遺伝子なのか。あの京都の不可解な事件。
ケモノは一夫多妻制が多いそうである。
群れで暮らすケモノはボスと、多数の雌、子たちの集団になる。
強い=優れた遺伝子を雌は欲するため、こういうハーレムが成立する。
メスはより良い頑丈な子を産みたいのである。
それに対して人は基本一夫一婦制である。
一夫多妻制や乱婚を野蛮とする人もいるが、著者の考えは違う。
一夫一婦制はただの形であると言っている。
つまり、人間の場合、財産がある。これを受け継ぐものを確定しなくてはならないので、明確に血筋を確定させておく必要がある。それでこういう制度が作り出されただけなのだそうだ。
人は太古の時代に密林を出て草原に出た。そこには猛獣がいたのに生き延びたのはどうしてかという話しは面白かったです。ようするに、人は集団で暮らしたのです。数人だとライオンは強敵だが、300人いたらさほどでもない。
もう一つ、面白かった考えがあります。
どうして、オスとメスに別れたのかです。
別に両生具有でも良かった。
何故かというと病気のリスクの回避です。人には色んな病気や特性が備わっていて、ある遺伝病はマラリアに感染しにくいなどの特徴があったりもします。色んな遺伝子が混ざり合うことで抵抗力を強めているのです。
両生具有だとコピー人間のようなものしか作れないので、遺伝子が汚染したら全滅します。ということでクローンに対して著者は否定的です。遺伝子の混ざり合いにより人は進化し無いものを取り入れていく。多様化していく。病気にも強くなる。クローンは全滅の可能性があるのです。
人間について、少し違う視点を持つことができたと思います。
良書だと思います。
2026 4 18
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よろしくお願いします。
昨年は雑な読みが多く数ばかりこなす感じでした。
2025年は丁寧にいきたいと思います。
この書評へのコメント

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- 出版社:山と溪谷社
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- ISBN:B09RWJG2H8
- 発売日:2022年02月17日
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