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赤井苫人
レビュアー:
名探偵スマイリーが活躍する学園ミステリ
♠️ジョン・ル・カレことデイヴィッド・コーンウェルがクラシックな学園ミステリを手掛けた初期の作品。


♥️サーカスを引退したスマイリーは、元同僚で今は非国教会系コミュニティ雑誌の編集、主筆をしているエイルサ・ブリムリー夫人からある投書について、相談を受ける。
夫に殺されるかもしれないから助けて欲しい、と訴えるその手紙の差出人はドーセット州カーンにある名門パブリックスクール、カーン校の教師の妻で、名家出身のお嬢様。悪戯で投書したとは考えられない。
不穏なものを感じるスマイリーは早速カーン校に勤めている知り合いに電話するのだが、教師の妻が自宅で殺害されたことを知らされる。
警察に話だけでもと手紙を携えスマイリー。地元の警察は彼の元スパイの手腕に期待し、閉鎖的なカーン校から情報を引き出して欲しいと協力を要請する。
ご希望どおり滞在中に色々突っついていくスマイリーだったが、今度はカーン校の生徒が自転車転落事故で死んでしまう事件が発生する。



♦️なんで私立なのに「パブリックスクール」なのか不思議だった。もともとは貧しい少年たちに無償教育を提供するために設立されたが、慈善という目的がだんだん失われ単なる寄宿寮付きの私立校になるが、名前だけ「パブリック」のまま残ったようだ。
名門パブリックスクール、シャーボーン校に入学するも嫌で中退し、大人になってからもイートン校の教師もした事があるデイヴィッド・コーンウェル。彼はパブリックスクールの偏狭と内向性に対して辛辣だった。貴族や富裕層の子供、そこで教えるOB教師やその妻たちの奇妙な誇りと連帯感に苛立ちを感じていたようで、シャーボーン校に似たカーン校をつくり、イートン校でみた人物をモデルに小説を書く。
1962年7月に出版された際は、ジュリアン・シモンズが傑作と評し概ね好評だったそうだが、モデルにされた人たちは傷ついたそうだ。ル・カレはちょっと反省している。
本書の被害者ステラと同様に他人の弱みを握り影響力を誇示する事に快感を得る被害者の嫌な女っぷりが印象的なPDJ『女の顔を覆え』も1962年の出版で、イギリスミステリの二大巨頭が同じ年にbitch must dieなミステリを書いたのが、面白い。
犯人の用意周到な計画が、想定外のカンニング行為によって崩れてしまい、余計な死体を増やさなければならなくなる。そこをスマイリーは見逃さない。


♣️ちなみにだが、本書で登場するエイルサ・ブリムリーは『ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ』でリッキー・ターを安全に匿う大役を担う人だ。セーフハウスの管理人にして頼りになるOG、それがブリムリー夫人なのだ。
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赤井苫人
赤井苫人 さん本が好き!1級(書評数:333 件)

時間や社会にとらわれず、幸福にページをめくるとき、
つかのま、私は自分勝手になり、自由になる。
誰にも邪魔されず、気を遣わず本を読むという孤高の行為。
この行為こそが、現代人に平等に与えられた、
最高の癒しと言えるのであーる。

(レビュー構成)
♠️作家・書誌情報
♥️あらすじ・内容
♦️分析・評価
♣️雑談

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