本書は『白川静さんに学ぶ漢字は楽しい』『白川静さんに学ぶ漢字は怖い』など白川静さんの作品を読み解いて彼の実績を一般に広く拡めようとした作品を執筆された小山鉄郎さんが、日本語の語源に焦点を当てた1冊のように一見すると思えます。
ところが、実際に読み進めてみると、白川静氏が遺した『字訓』という辞典を元にはしているものの、『日本国語大辞典』など、数多くの辞典など、参考ならびに引用された文献が登場します。
ですので、どこまでが白川静氏の実績かがわかりにくい
というのが、白川静氏について知りたい方については大きなマイナス点です。
とはいえ、このマイナス点は表裏一体で長所にもなり得ます。
それは、多くの文献を引用してしっかり語源について調べられているので、説得力がある点ですね。
ですので、日本語の語源について知りたい人が入門書として読むには最適な1冊だと思います。
文章もわかりやすく書かれていて、イラストも豊富で、出典を気にしない方はとても楽しめると思う反面、イラストに割いたスペースを改行などに使用してもう少し白川静さんの研究、著者の小山さんの意見、他の作品・辞典などからの引用の違いをもう少しわかりやすくしてほしかったというのが、大学時代に日本語日本文化専攻に所属していた評者のむっくんの視点です。
また類書としては万葉集研究の第一人者の中西進さんの『日本人の忘れもの』という作品を思い出しました。こちらも併せて読みたい作品です。
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