ぽんきちさん
レビュアー:
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当時12歳の少女を陥れたのは国家権力なのか
ミレニアム1上、1下、2上、2下を受けて、第3章。
第1章で、中年の雑誌編集者ミカエルと全身タトゥーの戦う女リスベットが出会い、一緒に過去の少女失踪事件を解決する。第2章では、リスベットは自身の過去と対峙し、因縁の敵と渡り合う。だが、その結果、瀕死の重傷を負う。
第3章では、病院に入院しているリスベット(「眠れる女」)に対し、ミカエルを中心に彼女の応援団のようなもの(「狂卓の騎士」)が出来上がり、そもそも少女だった彼女を精神病院に入院させるなど、重大な人権侵害を行った存在が「何」なのかを探っていくことになる。
少し話がそれるが、実はこのシリーズの副題は原題と必ずしも沿ってはいない。第2部の「火と戯れる女」はほぼ原題("Flickan Som Lekte med Elden")や英語タイトル("The Girl Who Played with Fire")の通りだが、第1部の「ドラゴン・タトゥーの女」は英語タイトル("The Girl with the Dragon Tattoo")に沿った形で、原題("Män som Hatar Kvinnor"(「女たちを憎む男たち」の意))からは離れている。第3部に至っては英語タイトル("The Girl Who Kicked the Hornets' Nest"(「スズメバチの巣を蹴った女」))とも原題("Luftslottet som sprängdes"(「崩れ落ちる空中の城」)とも異なる。
邦題で出てくる「狂卓の騎士」というのは、「アーサー王と円卓の騎士」を踏まえたもので、実際、本文中にはこの言い回しが出てくる。「円卓の騎士」はスウェーデン語では「Riddarna(騎士) av Runda Bordet(円卓)」となるようなので、原文ではおそらくRunda(円)の部分が「狂」にあたる言葉で言い換えられているのだと思われる。ここでは、リスベットをアーサー王になぞらえて、重傷を負ったリスベットに代わって、騎士となるものたちが謎を解き明かそうということを示している。
そもそも少女だったリスベットが危険人物扱いをされるようになったのは、母親に暴力を振るう父親に反撃しようとしたからなのだが、その事件は大きな力によって揉み消され、彼女は精神病院に送り込まれて、ある意味、社会的に抹殺された。
なぜかと言えば、父親のザラチェンコがソ連の諜報機関出身で、スウェーデンに亡命後、公安警察と組み、スパイとして表にできないさまざまな事件に関与していたためだった。事件が表沙汰になれば、彼の存在も明らかになり、国家を揺るがす事態になりかねない。これを隠すために暗躍していたのが「ザラチェンコ・クラブ」と呼ばれるチームで、彼らの一部はまだその役割を果たそうとしていた。
リスベットとミカエルらが真相に迫ろうとする中、「ザラチェンコ・クラブ」のメンバーもまた、過去の亡霊を闇に葬るため、連絡を取り合い、行動を起こしていた。
国家的陰謀とか闇の組織とか、となると、何だかどこまで本当にありうる話なのかよくわからなくなってくるのだが。
リスベットのハッカー仲間の活躍などはなかなかおもしろく読ませる(このあたりのシステムの話などもこの時代と今とではかなり違うのだろうとは思うが)。
ちょっと驚くのは、ミカエルと「ミレニアム」編集長(第2部で別の雑誌に移るのだが)のエリカの関係。エリカは既婚者だが、ミカエルとは長年の愛人関係で夫もそれを認めている。編集部の皆にもほぼ公知の事実である。そしてミカエルは、リスベットとも、第1部の重要登場人物とも男女関係になったりする(なんでこんなにモテるのかいま一つよくわからないのだが)。
スウェーデン、大人の恋愛には寛容なのか。それともさすがにフィクションならではなのか。
一方で、北欧はLGBTフレンドリーなのかと思っていたが、レズビアンに結構厳しい目が向けられていたりして、そちらもちょっと驚いた。本作が書かれたのが少し前であることもあるのか。
ともあれ、ラーソン原作の第3部の最後までは読み進めていこうと思う。
第1章で、中年の雑誌編集者ミカエルと全身タトゥーの戦う女リスベットが出会い、一緒に過去の少女失踪事件を解決する。第2章では、リスベットは自身の過去と対峙し、因縁の敵と渡り合う。だが、その結果、瀕死の重傷を負う。
第3章では、病院に入院しているリスベット(「眠れる女」)に対し、ミカエルを中心に彼女の応援団のようなもの(「狂卓の騎士」)が出来上がり、そもそも少女だった彼女を精神病院に入院させるなど、重大な人権侵害を行った存在が「何」なのかを探っていくことになる。
少し話がそれるが、実はこのシリーズの副題は原題と必ずしも沿ってはいない。第2部の「火と戯れる女」はほぼ原題("Flickan Som Lekte med Elden")や英語タイトル("The Girl Who Played with Fire")の通りだが、第1部の「ドラゴン・タトゥーの女」は英語タイトル("The Girl with the Dragon Tattoo")に沿った形で、原題("Män som Hatar Kvinnor"(「女たちを憎む男たち」の意))からは離れている。第3部に至っては英語タイトル("The Girl Who Kicked the Hornets' Nest"(「スズメバチの巣を蹴った女」))とも原題("Luftslottet som sprängdes"(「崩れ落ちる空中の城」)とも異なる。
邦題で出てくる「狂卓の騎士」というのは、「アーサー王と円卓の騎士」を踏まえたもので、実際、本文中にはこの言い回しが出てくる。「円卓の騎士」はスウェーデン語では「Riddarna(騎士) av Runda Bordet(円卓)」となるようなので、原文ではおそらくRunda(円)の部分が「狂」にあたる言葉で言い換えられているのだと思われる。ここでは、リスベットをアーサー王になぞらえて、重傷を負ったリスベットに代わって、騎士となるものたちが謎を解き明かそうということを示している。
そもそも少女だったリスベットが危険人物扱いをされるようになったのは、母親に暴力を振るう父親に反撃しようとしたからなのだが、その事件は大きな力によって揉み消され、彼女は精神病院に送り込まれて、ある意味、社会的に抹殺された。
なぜかと言えば、父親のザラチェンコがソ連の諜報機関出身で、スウェーデンに亡命後、公安警察と組み、スパイとして表にできないさまざまな事件に関与していたためだった。事件が表沙汰になれば、彼の存在も明らかになり、国家を揺るがす事態になりかねない。これを隠すために暗躍していたのが「ザラチェンコ・クラブ」と呼ばれるチームで、彼らの一部はまだその役割を果たそうとしていた。
リスベットとミカエルらが真相に迫ろうとする中、「ザラチェンコ・クラブ」のメンバーもまた、過去の亡霊を闇に葬るため、連絡を取り合い、行動を起こしていた。
国家的陰謀とか闇の組織とか、となると、何だかどこまで本当にありうる話なのかよくわからなくなってくるのだが。
リスベットのハッカー仲間の活躍などはなかなかおもしろく読ませる(このあたりのシステムの話などもこの時代と今とではかなり違うのだろうとは思うが)。
ちょっと驚くのは、ミカエルと「ミレニアム」編集長(第2部で別の雑誌に移るのだが)のエリカの関係。エリカは既婚者だが、ミカエルとは長年の愛人関係で夫もそれを認めている。編集部の皆にもほぼ公知の事実である。そしてミカエルは、リスベットとも、第1部の重要登場人物とも男女関係になったりする(なんでこんなにモテるのかいま一つよくわからないのだが)。
スウェーデン、大人の恋愛には寛容なのか。それともさすがにフィクションならではなのか。
一方で、北欧はLGBTフレンドリーなのかと思っていたが、レズビアンに結構厳しい目が向けられていたりして、そちらもちょっと驚いた。本作が書かれたのが少し前であることもあるのか。
ともあれ、ラーソン原作の第3部の最後までは読み進めていこうと思う。
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分子生物学・生化学周辺の実務翻訳をしています。
本の大海を漂流中。
日々是好日。どんな本との出会いも素敵だ。
あちらこちらとつまみ食いの読書ですが、点が線に、線が面になっていくといいなと思っています。
「実感」を求めて読書しているように思います。
赤柴♀(もも)は3代目。
2025年夏、有精卵からヒヨコ4羽を孵化させました。♂x2、♀x2。雌は勤勉に毎日卵を産むようになりました。一方、雄は大変狂暴で、ヒトにも犬にも好戦的ですw
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- 出版社:早川書房
- ページ数:583
- ISBN:9784151792557
- 発売日:2011年12月05日
- 価格:945円
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