ほどほど快適生活百科

久々に群さんのエッセーを読んだ。
収録されているのは、２０１６年１月～２０１７年８月に集英社ＷＥＢ文芸「レンザブロー」に連載されたエッセーで、書籍化の際に加筆・修正されているという。

以前読んだ 『まあまあの日々』が２０１１年４月～２０１８年３月に書かれたエッセーだったから、時期は重なっているのだが、こちらの方が短期集中型であることもあって、還暦を少し超えた著者の生活ぶりがより鮮明になっている。

“日々の暮らしを今よりもう少し快適に、もう少し楽しくやりくりするための群さん流の１００のルール＆ヒント”というわけで、１タイトル見開き２ページでトータル１００のエッセイが楽しめる。

『まあまあ…』では、片付けが苦手でなかなか物が捨てられないといっていた群さんだが、還暦を過ぎて先々を見据えたシンプルライフの追求に拍車がかかり、大量の着物も、スカーフも、本も、どんどん処分している模様。
取捨選択の基準についても大いに語っている。

ウインドウショッピングが苦手で、衣類は結構通販を利用するという群さんんの、失敗しない通販購入法や、衣類の管理方法。
ストレス解消に散歩に出かけ、甘い物は１０日に一度と決めているとか、基本三食自炊の群さんが、どうしても料理したくないときに頼るのは…など、群さんのこだわりがあれこれと綴られている。
一つ一つのエッセーは短いのに、まとめて読むと行間から、親しいお友達とのご近所づきあいや、作家になるまでのいきさつや、群さんが２０歳の頃に離婚されたご両親のこと、実家建築のローンをかぶって返済に苦労したことや、お母さんの介護、弟さんとの不仲など、様々な事柄もうかびあがってくる。

群さんが“試行錯誤しながら見つけた、がんばりすぎずほどよく快適に暮らすための等身大の知恵が詰まったエッセイ集”であることは間違いないが、作家の人となりを知る自伝的要素も読み取れ、興味深かった。