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ぽんきち
レビュアー:
魂を持たないAIと、魂を堕落させようとする悪魔と、揺らぐ魂を抱える人間と。南米風近未来を舞台とした三者のめくるめくダーク・アドベンチャー。
自由都市サン・ハドク。そこは「マニピュレイテッド」(マニー)と呼ばれるAIと人間が共存する街。
主人公ユマは美形のマニーである。サン・ハドクはユマの主人だった大富豪デズモンド・ロリンズが発展のために尽くした街だ。デズモンドは死んでしまったが、ユマは彼の家屋敷や庭を守っている。
ユマの仕事は悪魔狩り。黒い聖書の形の悪魔アグリッパ(アグリ)と組んで、人に憑りついた悪魔を退治している。悪魔は人間の魂が大好物で、隙あらば弱った人間を餌食にしようとしている。アグリは自身も悪魔なのだが、こうした悪魔を捕らえては、自分のページに書き込んで閉じ込めてしまう。
人造物であるマニーには魂がない。ユマは魂が欲しいと思っている。そのため、魂をくれるかもしれない大悪魔ルキフェルのいる場所へと続く扉を探している。さて、いつか願いのかなう日は来るのだろうか。
冷静沈着で感情のないユマと、口が悪くて下品なアグリの凸凹コンビである。

サン・ハドクに注目の歌姫がいる。名はシオリ。アグリは彼女にぞっこんである。
だが、シオリの新曲を聞いた人間が何人も狂気に陥り、マニーを虐殺する事件が起きた。不思議なことに、一晩経ってみるとマニーを襲った人間は誰もそのことをまったく覚えていなかった。
シオリはかつて警備を担うマニーに両親を誤って殺され、そのことを恨んでいるという噂だった。
マニーへの歪んだ復讐心のため、シオリは新曲にサブリミナル効果を仕組んだのか・・・?
マニーと人との間の対立を煽るために?
そんな中、疑惑の歌姫のマネージャー、ルピタが接触してきた。シオリに悪魔が憑いているのではないかというのだ。
ユマとアグリは調査に乗り出す。

高校生あたりがターゲットとのライトノベルで、ノリがよく軽快にストーリーが進む。
同時に、ところどころに悪魔と関わりのある史実や伝承、歴史上の人物などが盛り込まれ、なかなかに衒学的な雰囲気があるのも楽しいところ。
AIと人間の反目などは現代のヘイトクライムや人種問題を匂わせて奥行きがある。

事件は一応の解決を見る。
が、魂を求めるユマの目的はまだ遠い。
思わせぶりなエピローグは物語の先を暗示する。
さて、本作はシリーズ化されるのだろうか。
ライトノベルだが、大人も楽しめる大作となるか、期待されるところである。
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ぽんきち
ぽんきち さん本が好き!免許皆伝(書評数:1826 件)

分子生物学・生化学周辺の実務翻訳をしています。

本の大海を漂流中。
日々是好日。どんな本との出会いも素敵だ。

あちらこちらとつまみ食いの読書ですが、点が線に、線が面になっていくといいなと思っています。

「実感」を求めて読書しているように思います。

赤柴♀(もも)は3代目。
この夏、有精卵からヒヨコ4羽を孵化させました。そろそろ大雛かな。♂x2、♀x2。ニワトリは割と人に懐くものらしいですが、今のところ、懐く気配はありませんw

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この書評へのコメント

  1. ぽんきち2021-08-26 07:56

    2021年夏文庫フェアに挑戦!(2) ナツイチ https://www.honzuki.jp/bookclub/theme/no402/index.html?latest=20 実施中です!

    意外な出会いがあるかも!?
    ぜひ覗いてみてください☆

  2. No Image

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