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ぽんきち
レビュアー:
先史時代から現代まで。連綿と続く発明発見のあれこれ。
「科学道100冊2020」の1冊。

科学技術の発展の陰には、多くのブレークスルーがある。つまり、それまでの壁を打ち破る大きな発明・発見が、飛躍的な進歩の足掛かりとなってきたわけだ。

本書では、そんなブレークスルーの数々を時系列的に見ていく。
章立ては7つに分けられ、それぞれ、先史時代、古代(紀元前、紀元後)、ルネサンス、産業革命、第二次産業革命、電気・電子の発展期、デジタル期。
それぞれの時代を画した発明発見を、その名称、年(年代)、発明・発見者、発明・発見の場所と併せて紹介する。
例えば先史時代では、ナイフ、釣り針や縫い針、船、文字、農耕。変わったところでは形成外科手術。
紀元前古代では、4元素説、数学の基礎、コンクリートやセメント。このあたりはギリシャやローマが多い。
紀元後は、紙、手押し車、磁器、注射器、羅針盤など。中国文明のものも多く紹介される。
ルネサンスは、惑星運動の法則や望遠鏡など天文に関するもの、大陸移動説やメルカトル法などの地図標記の発展といった地理に関するものなど。もちろん、蒸気機関は大きなブレークスルーだったし、ニュートンが重力を発見したのもこの頃だ。
産業革命期には、紡績機や大型蒸気船、解析機関といった機械も飛躍的に発展した一方、分類学のリンネ、化学のラヴォアジェ、種痘のジェンナーなど科学者も多く排出される。
第二次産業革命期には、大量生産可能な鋼鉄、リヴォルバー(回転式連発銃)や白熱電球が現れる。メンデルの遺伝学、メンデレーエフの元素周期表がこの頃。おもしろいところでは、指紋を犯罪捜査に利用できると提唱されたのがこの時代。この手法は100年以上たった現在でも広く用いられている。
電気と電子の時代になると、X線や無線通信、放射能や熱イオン管(真空管)、原子核反応の観察とさまざまな研究が飛躍的に進む。臓器や組織の移植手術、ペニシリンの発見、ウイルスの発見など、医学的な進歩も大きかった。
デジタルの時代には、やはり、コンピュータの発展が大きい。IBMのコンピュータ、フォン・ノイマンによる基本設計、光ファイバー、集積回路などが積み重なり、パーソナルコンピュータの時代となる。

発明・発見の貢献者は通説によるものが多いが、著者の独自解釈によるものもあり、なかなかおもしろい。ところどころに豆知識的コラムが入り、発明・発見の背景に奥行きが感じられる。

巻末に事項と人名の索引付き。
雑学のタネ本としてもおもしろいかもしれない。
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ぽんきち
ぽんきち さん本が好き!免許皆伝(書評数:1826 件)

分子生物学・生化学周辺の実務翻訳をしています。

本の大海を漂流中。
日々是好日。どんな本との出会いも素敵だ。

あちらこちらとつまみ食いの読書ですが、点が線に、線が面になっていくといいなと思っています。

「実感」を求めて読書しているように思います。

赤柴♀(もも)は3代目。
この夏、有精卵からヒヨコ4羽を孵化させました。そろそろ大雛かな。♂x2、♀x2。ニワトリは割と人に懐くものらしいですが、今のところ、懐く気配はありませんw

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この書評へのコメント

  1. 三太郎2021-04-03 12:32

    >メンデルの遺伝学、メンデレーエフの元素周期表がこの頃。おもしろいところでは、指紋を犯罪捜査に利用できると提唱されたのがこの時代。

    おお、まさにシャーロック・ホームズが活躍しだしたころですね。

  2. ぽんきち2021-04-03 13:08

    ヴィクトリア朝ですかね。
    この時代、おもしろいですよね。

  3. noel2021-04-03 14:25

    ヴィクトリアン・エージと言えば、その一方で貴族たちの愉しむポーノグラフィーの隠し読まれた時代でもあって……。若い頃、ペーパーバックになったThe oysterとかThe pearlに載ったお話のお世話になりました。ノエル的にはちょっとした黒歴史なのかも……。

  4. ぽんきち2021-04-03 17:13

    そうなのですか。
    いろいろ多層的におもしろい時代だったのでしょうかね。
    この本の範囲からは外れてしまいますが。

  5. noel2021-04-03 20:45

    いまから思えば、英語に興味をもったのはそれらの雑誌に載った艶談義というか、当時のイギリス貴族たちの性生活が面白かったことに起因します。多少は、それらを読むことで読解力もついたのではないかと思っています。でも、相変わらず進歩せず、いまだに下手の横好きのまま英語にかじりついています。

  6. ぽんきち2021-04-03 23:08

    きっかけはそれぞれ、勉強は一生ですかね。

  7. No Image

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