かもめ通信さん
レビュアー:
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キミにはあの叫びが聞こえるか!? #カドフェス
ムンクの『叫び』って、知ってる?
あれは叫んでるんじゃないよ。耳を塞いでいるの
“自然の叫び”がうるさくて、それに耳を塞いでるんだよ
通行人は、耳を塞いでない。つまり、“自然の叫び”が聞こえてないんだよ。この人が気絶しそうなくらい耳を塞いでるのに、通行人は何事もないように歩いてる
どっちがおかしいと思う?
気を失いそうになるほどの“叫び”が聞こえている人と、それほどのものを聞くことができない人とでは?
小学校五年のとき、理子にそう問いかけてきたのは加奈子だった。
その加奈子はもういない。
死んでしまったから。
理子の目の前で。
それからのことだ。
理子が“加害恐怖”に苦しむようになったのは。
自分が誰かを傷つけてしまうかもしれない。
誰をナイフで刺したり、自転車で轢いてしまったり……
そう考えると刃物を持つことが出来なくなった。
だから理子は、料理をするとき一切包丁を使わない。
以前、医者に診て貰ったこともあるが、
「学校をサボりたいだけだろう」とばかりに本気にされなかった。
そんなこともあって自分で調べてたどり着いたのが、理子なりの暴露療法、
“夜の日記”をつけることだった。
彼女はその日記に、身近な人間を殺す計画を綴っていたのだった。
いじめっ子だったり、
自分になにかしら危害を加える人物を
“成敗”する計画をたてていた……というではない、
理子の場合、殺す相手は誰でもよかった。
さしたる接点のないクラスメートでも
親友でも、仲のよい後輩でも……。
そうして彼女は“夜の日記”を綴ることで
自分は精神の均衡を保っていられるのだと思っていた。
ところが、理子が中学3年の時、
秘密を暴かれたくなければ、僕の父親の殺害を手伝えと迫る少年が現れて……。
技術も運もどっちも大事
ボードゲームになぞらえた殺人計画の行方ははたして!?
祐太郎さん主催の掲示板企画
勝手にコラボ企画「カドフェス2020」を制覇するぜ!に参加すべく、
未消化リストの中からあれこれ手に取ってみた末に
この本を選んだのは、
冒頭のムンクの話が興味深かったからだ。
だがしかし、これはなかなか闇の深い物語だった。
一体全体なんだって、こんなに嫌なことばかりおこるのか!?
まともな大人はいないのか!?
それでも一気に読ませる展開はなかなかのもの。
あれやこれやがそれなりにすべて
一件落着というわけではないが、
後味は悪いと言うほど悪くはなかった。
もっとも私が聞き漏らしたモスキート音があったかどうかは、
今ひとつ自信がない。
「い」ぬきの会話文が読みづらかったなどと
文句を言っているようではね……。
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本も食べ物も後味の悪くないものが好きです。気に入ると何度でも同じ本を読みますが、読まず嫌いも多いかも。2020.10.1からサイト献本書評以外は原則★なし(超絶お気に入り本のみ5つ★を表示)で投稿しています。
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- 出版社:KADOKAWA
- ページ数:0
- ISBN:9784041091838
- 発売日:2020年06月12日
- 価格:836円
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