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紅い芥子粒
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イギリス海軍が掠奪した財宝も、どこかの島に眠っているかもしれない。さあ、みんなで探しに行こう!
児童文学の古典、不朽の名作といわれるスティーブンソン「宝島」。本屋さんで見て新訳と知り、買いました。といっても、旧訳どころか、子ども向き抄訳すら読んだことがなかったのですがね。

17××年イギリスのお話です。
少年ジムは、港町の宿屋の息子。
そこに、かつて海賊だった男が停泊したことが、冒険の始まりでした。
あろうことか、その男が、宿で死んだのです。むかしの海賊仲間の襲撃にあい、でも、死因は脳溢血で。彼は、宝の隠し場所を記した地図を遺して逝きました。 

その地図を解読したのは、郷士のトリローニさん。たいへんな額の宝が隠されているらしい。
トリローニさんは、宝さがしに行こうといい出します。
町のお医者のリヴジー先生を船医に誘いました。
ジム少年は、キャビンボーイにと、誘われました。

郷士といえば貴族の端くれかそれに準ずるもの。小なりといえども領主でしょう。
トリローニさんは、お金持ちです。さっそく、ヒスパニオーラ号という船を調達し、船員を二十名も雇いました。あっというまにこんなことができるほどなのに、まだ宝が欲しいなんて、欲が深い!

雇われ船長のスモレットさんは、誠実で思慮深く勇気があり、船長にふさわしい人物。
宝さがしは危険すぎると難色を示しますが、引き受けたからには、責任をもって職務を全うすると誓ってくれました。

船の料理番として雇われた、一本足でのっぽのジョン・シルバーという男。
抜け目がなくて、卑怯で、欲が深い。彼は、船員のほとんどを手下にして、反乱を企てます。
船を乗っ取り、宝を横取りしようというわけです。

スモレット船長が宝さがしに、難色を示したわけは、ようくわかります。
海賊が隠した宝なんて、そもそも分捕り品。ひとから強奪したものです。
それを探しにいって、わがものにしようなんて、考えてみれば、まともじゃない。
仲間割れや裏切りは、あって当たり前でしょう。

シルバーの一味との、戦争さながらの血で血を洗う闘いがありました。
船長、郷士のトリローニさん、リヴジー先生、そしてわれらがジム少年。
生き残ったのは奇跡みたいなもんです。宝を手に入れ、帰還することができたけれど、たくさんの人が死にました。
ところが、一本足でのっぽのシルバー。彼は、手下を裏切り、船長やトリローニさんのほうに寝返って、ちゃっかり生き残り、宝の袋をかすめとって逃げていくんですよね。

18世紀のイギリスは、世界中にユニオンジャックを立てて、植民地にしていた時代。
イギリス海軍が掠奪した財宝も、どこかの島に眠っているかもしれない。
さあ、みんなで探しに行こう。

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紅い芥子粒
紅い芥子粒 さん本が好き!1級(書評数:559 件)

読書は、登山のようなものだと思っています。読み終わるまでが上り、考えて感想や書評を書き終えるまでが下り。頂上からどんな景色が見られるか、ワクワクしながら読書という登山を楽しんでいます。

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