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かもめ通信
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一生懸命うちこんでいる人ってかっこいい!
ぽんきちさん主催の掲示板企画「科学道100冊2019」に挑んでみる!?に参加すべく読んでみたのは、岩波ジュニア新書。

進路を考える10代半ばの、とりわけ理系に興味を持つ女子に向けて編集されているのだろう、執筆者は、ちょうど中高生のお母さんと同年代で、大学や公共研究機関で働いている理系の女性研究者11人だ。

各々自分が取り組んでいる研究について紹介しながら、どうしてその分野に興味を持ったのか、どのようにして進路を選んだのか、働く環境や、若い世代に伝えないことなどを、平易な言葉で語っている。

例えば、トップバッターの植物分類学・植物生態学の学者である西田佐和子さんは、6年に一度だけ一斉に花を咲かせて枯れてしまうという植物についてどのような研究がなされているかを紹介しつつ、子どもの頃から生物は好きではあったが、大学では歴史を学び、NHKのディレクターを経て、取材をきっかけに生物学への関心を深め、ついには大学院に進学したという経歴も披露してくれる。

尾形わかはさんは暗号研究者!暗号研究ってなに!?とぐぐっと興味を惹きつけるも、そうか!そうだよねえ。まさに数学だよねえ…と、なぜだか私はちょっぴり肩を落としたり。

アメリカの研究機関で働く環境衛生科学が専門の加藤嘉代子さんの、薬学部は女子率が高いという話にはなるほど確かにとうなずき、アメリカの公務員には産休育休という制度がなく、定められた病休育休を数年分貯めて休むという話に驚いたりも。

生物学、医学、数学、化学、薬学と、中には、説明されても難しくて今ひとつ理解できない分野もあったが、総じて皆さん自分の研究に熱い想いを持って取り組んでいることが感じられて好もしい。

昨今話題の医学部入試問題をみても、女子が理系に進むのは、男子のそれよりずっと険しい道のりかもしれないが、男女の別なく多くの若者が自分の興味関心のある分野にまっすぐ進んでいける世の中であって欲しいし、そういう世の中にしていく責任が、大人にはあるなあとあらためて思わされる1冊でもあった。
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かもめ通信
かもめ通信 さん本が好き!免許皆伝(書評数:2236 件)

本も食べ物も後味の悪くないものが好きです。気に入ると何度でも同じ本を読みますが、読まず嫌いも多いかも。2020.10.1からサイト献本書評以外は原則★なし(超絶お気に入り本のみ5つ★を表示)で投稿しています。

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この書評へのコメント

  1. 三太郎2020-03-13 12:23

    アカデミックな研究者の中には、まだ誰も知らない事実を発見したいという欲求を生涯持続させる人もいるのだろうな、と思うと僕にはその高いモチベーションが信じられない気さえしています。

    僕自身も大学院博士課程まで進んだのですが、当時もアカデミックな研究者になれる気がしなかったので。僕のような凡人には一つのことに興味を持続させるのがきっと難しいんですよね。

    男女を問わず、強いモチベーションをもった人には、それも才能だと思うので、その道を突き進んで欲しいかな。ただし、アカデミックな職はなかなかポストがないという社会情勢ではありますが。もしアカデミックな職に就けなければ、その知識を社会のために役立てることも選択肢の一つですね。

  2. かもめ通信2020-03-13 20:58

    そうそう「誰も知らない事実を発見したいという欲求」
    すごいですよね。その情熱!
    実は今、もう1冊科学道の本を読みかけているのですが、
    いろんな意味で圧倒されっぱなしです。

  3. No Image

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