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かもめ通信
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熱血過ぎない仕事大好き人間のお仕事小説のテーマはなんと“働き方改革”!? #カドフェス
主人公は成瀬和正46歳。
大手ゼネコン「ヤマジュウ建設」の現場事務所長だ。
手がけているのは東京オリンピックに間に合うようにと、急ピッチで建設が進められている15階建てのホテル。

仕事は好きだし、やりがいもあるが、頭が痛いのは労務管理。
建設現場を取り仕切る成瀬のもとには、本社から毎月、早ければ月の半ばにはメールが届く。

○○さんの今月の残業時間が九十時間に達しました。労使協定により、残業は月百時間までとなっています。なお厚生労働省は、一カ月あたり八十時間を超える残業が過労死につながる怖れがあるという見解をしめしています。貴職におかれましては、○○さんの健康のため、残業時間をさらに減らすべく配慮されるようお願いします。

○○さんと名指しされた本人にも成瀬の元に届いたのと同様のメールがいく。

残業を減らせといわれても、仕事は減らず、人員も増えない。

ゼネコンには自前の職人はいない。
実際の作業は専門職種ごとに分かれたサブコンが行う。
「下請け」「協力会社」など呼び方が変わっても中味は同じ。
場合によってはサブコンからさらに中小の会社に仕事が回される。

どこの現場でもだいたい同じだと思うが、成瀬たちゼネコン社員は現場監督として、日中は主に現場に出て作業の調整や監督を行い、職人達が引き上げた午後五時以降に、デスクワークに精を出すのが常で、残業は常態化している。

その状態は変わらないのに、昨今の“働き方改革”の影響もあり、以前は青天井でつけてよかった残業が百時間までしか認められなくなった。
申告しても残業代が出ないばかりか、マイナス考課になり、管理職の責任も問われる。

だから、100時間を超えたら残業時間にカウントせずに、ただ働きしてくれと、事務所長の成瀬は部下に頭を下げるしかったのだ。

そういままでは……。

そんな中、主戦力だった部下が過労で倒れ、ますます仕事が押せ押せに。
ようやく認められた人員補充でやってきたのは、全く使えない新人で、施工主から理不尽な仕様変更を迫られるし、近隣住民からクレームをつけられるしで、現場は大混乱。
にっちもさっちもいかない状況を知っているのか知らぬのか、本社からはサービス残業も一切許さない厳しい残業時間上限規制の指示が。

はたして残業せずに、納期までにホテルを建てることができるのか?

祐太郎さん主催の掲示板企画 勝手にコラボ企画「カドフェス2020」を制覇するぜ!に、参加すべく手に取った本は、熱血過ぎない仕事大好き人間のお仕事小説。

各方面からの理不尽も多々あり、悪役も配置され、家族団らんも、恋愛要素も、育児のために残業なしで働く社員も……と、あれやこれやがバランス良く配置され、テレビドラマでもいけそうな。

だがしかし、この混乱、いったいどうやって収めるの!?
と思ったら……。



そうだよねえ。
この小説のテーマはやっぱり良くも悪くも“働き方改革”なんだよね。

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かもめ通信
かもめ通信 さん本が好き!免許皆伝(書評数:2234 件)

本も食べ物も後味の悪くないものが好きです。気に入ると何度でも同じ本を読みますが、読まず嫌いも多いかも。2020.10.1からサイト献本書評以外は原則★なし(超絶お気に入り本のみ5つ★を表示)で投稿しています。

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