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ぽんきち
レビュアー:
数学と、絵本で出会う。(オンライン読書会<「科学道100冊2019」に挑んでみる!?>参加レビュー #科学道100冊 #本が好き)
画家・絵本作家の安野光雅さん。美しい細密な絵が印象的ですね。
「旅の絵本」シリーズや「ふしぎなえ」の系列、はたまた『平家物語』や『即興詩人』などの文学作品の絵本化など、さまざまな作品がありますが、1つの大きな柱として、科学や数学にかかわるものもあります。
これはそんな数学を絵本にした「美しい数学」シリーズの1冊です。

冒頭はこんな風に始まります。
むかし あるところに なまけものの男が すんでいました。
冬の日のこと 男がぼんやりと 空を ながめていると
せんにんが でてきて
「ふしぎな タネを あげよう。そのタネを 1こ やいて たべれば
1年かんは もう なにも たべなくても おなかが すくことはない。
また この タネ 1こ 今 じめんに うめておくと、
らいねんの 秋には かならず みのって 2こになる」
といって ふしぎな タネを 2こ くれました


あら、なまけものの男には願ってもないお話ですね。
さぁ、男はどうするでしょう? 皆さんならどうするでしょうね?

男は1個のタネを食べ、1個のタネを地面にうめます。
その年は1年、おなかが空かずに済み、翌年にはちゃんと2このタネを手に入れました。
そしてまた1個のタネを食べ、1個のタネを地面にうめました。
その翌年、またまた2個のタネを手に入れました。
めでたし、めでたし。

・・・・いやいや、でもね、それって、何年たっても同じことの繰り返しになるのですよ。
当座は過ごせますけれど、何年たっても進歩もない。
男ははたとそれに気づきます。
それじゃあどうしようか。
男は1年、他の物を食べて我慢をし、2個のタネを地面にまくことにします。
さぁどうなるでしょうね。

安野光雅さんの柔らかな美しい絵をながめながら、2個のタネが4個になったら、そのうちの1個を食べて残りをまいたら、そして男に家族が増えたら、と読者も一緒に考えていくことになります。
安野さん、タネの数も実はきちんと描いているのもすごい!
最後には男は大きな試練に見舞われるのですが、何とか乗り越えられそうですよ。
もうきっと、なまけものでもなくなったのでしょうね。

楽しく眺めて数に親しむ。そして論理的に考える。
そんな楽しい絵本です。


『「科学道100冊2019」に挑んでみる!?』参加レビューです(詳しくはテーマの説明をご覧ください)。
科学に関する本100冊を集めたリストに、あなたも挑戦してみませんか? ジャンルは幅広く、絵本からSF、エッセイやYAもあります。「私、文系だから・・・」という方でも、読んでみたくなる本がきっとあるはず!
皆様のご参加お待ちしております☆ お気軽に覗いてみてください。

*安野光雅さんの数学シリーズといえば、同シリーズの『赤いぼうし』、福音館書店の「はじめてであうすうがくの絵本」もおもしろかったですね。
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ぽんきち
ぽんきち さん本が好き!免許皆伝(書評数:1825 件)

分子生物学・生化学周辺の実務翻訳をしています。

本の大海を漂流中。
日々是好日。どんな本との出会いも素敵だ。

あちらこちらとつまみ食いの読書ですが、点が線に、線が面になっていくといいなと思っています。

「実感」を求めて読書しているように思います。

赤柴♀(もも)は3代目。
この夏、有精卵からヒヨコ4羽を孵化させました。現在、中雛、多分♂x2、♀x2。ニワトリは割と人に懐くものらしいですが、今のところ、懐く気配はありませんw

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