かもめ通信さん
レビュアー:
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24時間戦えますか!?そんなCMあったよねえ。 #新潮文庫の100冊
東山結衣32歳。
社員300名ほどのIT企業の正社員。
入社して10年、どんなに繁忙期でも残業はしないと決めている。
もともと、会社自体がこの業界には珍しく「できるだけ残業しない」という方針なのだ。
だが最近、会社の規模が大きくなり、他社からの転職組が増えてくるにいたって、その社風がじわじわと脅かされてきている。
結衣はそのことに危機感を覚えつつも、いつも通りマイペースで帰宅の途につき、これまたいつも通り、馴染みの中華料理屋のタイムサービスで生ビールを飲みながら、晩ご飯を食べるのを常としていた。
そんな中、無茶な仕事を振って部下を潰してきたという噂される上司が登場。
しかもこの人物、結衣の元彼の上司でもあった人物だから始末が悪い。
さらにはその上司が周囲の反対を押し切って受注した赤字必至の案件のプロジェクトチーフに結衣が抜擢されることに。
自分だけでなくチームの面々も極力残業をさせずに、無茶な納期に間に合わせようと奮闘する結衣だったが……。
テレビドラマ化もされたというお仕事小説。
デフォルメされたキャラ立ちや、社内における結衣の味方などエンタメならではと思われる要素が、それなりに現実感を薄めてはいるものの、描かれているのは読んでいて痛いぐらいに職場あるある。
目の前の(仕事の)山が険しければ険しいほど、アドレナリン全開で頑張る先輩
体調不良でも休まない同僚
なにかというとすぐに辞めるという後輩
遅くまで残業しては体調を崩すというどう見ても非効率的な働き方をする人もいて……
昔一緒に働いた実在のあの人、この人の顔が次々と浮かんでくるから恐ろしい!?
実を言うと私はかつて、自他共に求める仕事大好き人間なのだと自分で自分のことを誤解していて、週休2日なんて夢のまた夢、土曜は隔週半ドン(隔週8時間勤務)というシフトにもかかわらず、休日出勤も厭わず、月100時間前後の残業をしていたことが。
アドレナリン全開で終電を逃して職場に泊まった経験も。
たまの休日は夕方までひたすら眠り続け、その後慌てて近所のスーパーに一週間分の買い出しにでかけたりしていたっけ。(遠い目…)
有休の未消化率をとがめられて以来、毎年誕生日には休みを取ることにしていたのに、上司が替わって有休の理由をたずねられ、「誕生日なので…」と応えたら、盛大に顔をしかめられた思い出も。
当時、そんな私の働き方はそれなりに上司ウケはしたものの、新人時代教育係だった先輩はいつも心配してくれていた。
小説の主人公と違って、その先輩にはなんのコネも後ろ盾もなかったはずだが、「これほどの残業を前提とした仕事の割り振りは間違っている」と、正面切って主張した人だった。
その正論はすぐに通りはしなかったけれど、彼女の主張はその後の職場環境の改善に大いに役立った。
まさかこの本を読んで、そんな昔々のことを思い出そうとは、思いも寄らなかったなあ。
それにしても……。
時間内の作業効率を最大限にあげて定時で帰るその先が、毎度毎度タイムサービスの生ビールと中華料理とはいくらなんでも、この主人公、もう少し、有効な時間の使い方を考えた方がいいのでは……と書きかけて、ハッとする。
就業時間後のプライベートタイムに誰が何をしようと勝手!口出しするようなことではなかったか……。
社員300名ほどのIT企業の正社員。
入社して10年、どんなに繁忙期でも残業はしないと決めている。
もともと、会社自体がこの業界には珍しく「できるだけ残業しない」という方針なのだ。
だが最近、会社の規模が大きくなり、他社からの転職組が増えてくるにいたって、その社風がじわじわと脅かされてきている。
結衣はそのことに危機感を覚えつつも、いつも通りマイペースで帰宅の途につき、これまたいつも通り、馴染みの中華料理屋のタイムサービスで生ビールを飲みながら、晩ご飯を食べるのを常としていた。
そんな中、無茶な仕事を振って部下を潰してきたという噂される上司が登場。
しかもこの人物、結衣の元彼の上司でもあった人物だから始末が悪い。
さらにはその上司が周囲の反対を押し切って受注した赤字必至の案件のプロジェクトチーフに結衣が抜擢されることに。
自分だけでなくチームの面々も極力残業をさせずに、無茶な納期に間に合わせようと奮闘する結衣だったが……。
テレビドラマ化もされたというお仕事小説。
デフォルメされたキャラ立ちや、社内における結衣の味方などエンタメならではと思われる要素が、それなりに現実感を薄めてはいるものの、描かれているのは読んでいて痛いぐらいに職場あるある。
目の前の(仕事の)山が険しければ険しいほど、アドレナリン全開で頑張る先輩
(一緒に頑張ろう!と言われても困るし)
体調不良でも休まない同僚
(きちんと休んで早く直した方が本人も周囲も助かるのに)
なにかというとすぐに辞めるという後輩
(そのたびになだめすかす身にもなってよ)
遅くまで残業しては体調を崩すというどう見ても非効率的な働き方をする人もいて……
(アイタタタ……いるんだよねえ。本当に。)
昔一緒に働いた実在のあの人、この人の顔が次々と浮かんでくるから恐ろしい!?
実を言うと私はかつて、自他共に求める仕事大好き人間なのだと自分で自分のことを誤解していて、週休2日なんて夢のまた夢、土曜は隔週半ドン(隔週8時間勤務)というシフトにもかかわらず、休日出勤も厭わず、月100時間前後の残業をしていたことが。
アドレナリン全開で終電を逃して職場に泊まった経験も。
たまの休日は夕方までひたすら眠り続け、その後慌てて近所のスーパーに一週間分の買い出しにでかけたりしていたっけ。(遠い目…)
有休の未消化率をとがめられて以来、毎年誕生日には休みを取ることにしていたのに、上司が替わって有休の理由をたずねられ、「誕生日なので…」と応えたら、盛大に顔をしかめられた思い出も。
当時、そんな私の働き方はそれなりに上司ウケはしたものの、新人時代教育係だった先輩はいつも心配してくれていた。
小説の主人公と違って、その先輩にはなんのコネも後ろ盾もなかったはずだが、「これほどの残業を前提とした仕事の割り振りは間違っている」と、正面切って主張した人だった。
その正論はすぐに通りはしなかったけれど、彼女の主張はその後の職場環境の改善に大いに役立った。
まさかこの本を読んで、そんな昔々のことを思い出そうとは、思いも寄らなかったなあ。
それにしても……。
時間内の作業効率を最大限にあげて定時で帰るその先が、毎度毎度タイムサービスの生ビールと中華料理とはいくらなんでも、この主人公、もう少し、有効な時間の使い方を考えた方がいいのでは……と書きかけて、ハッとする。
就業時間後のプライベートタイムに誰が何をしようと勝手!口出しするようなことではなかったか……。
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本も食べ物も後味の悪くないものが好きです。気に入ると何度でも同じ本を読みますが、読まず嫌いも多いかも。2020.10.1からサイト献本書評以外は原則★なし(超絶お気に入り本のみ5つ★を表示)で投稿しています。
この書評へのコメント
- かもめ通信2020-07-21 19:48
コンプリート目前!?
ぽんきちさん主催の掲示板企画
<夏だ!「新潮文庫の100冊2020」にチャレンジ!>
https://www.honzuki.jp/bookclub/theme/no388/index.html?latest=20
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- 出版社:新潮社
- ページ数:360
- ISBN:9784101004617
- 発売日:2019年01月29日
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