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DBさん
DB
レビュアー:
伝染病と古代文明の話#カドブン
「『発見!角川文庫70周年記念大賞』を新規書評で制覇するぜ!」企画に参加させていただくべく、ギリギリですが読んでみました。
タイトルだけは知っていたんだけど、上橋菜穂子作品は読んだこともなくいい機会でした。

ツオルという東の帝国とムコニアという西の王国に挟まれたアカファは、ツオルに吸収合併され自治権を維持した属州だった。
そのアカファの岩塩鉱で強制労働の刑に処されていたのが主人公のヴァン。
奴隷たちの岩塩鉱での寿命は平均三カ月というガレー船漕ぎ並みの過酷さながら、戦士として鍛えた肉体で毎日を生き延びていた。
そこに現れたのはイヌのようなオオカミのような一匹の黒い獣。
それが岩塩鉱にいた奴隷や奴隷監督といった人々を噛んで逃げていったのだ。

異変が起きたのは数日後。
獣に噛まれてから咳や発疹といった症状に悩まされ始め、どんどん死人が出てきた。
高熱に苦しめられながらもどうにか症状を乗り切ったヴァンは、生き残ったのが自分と一人の幼児だけだったことを知る。
そして静かに後にユナと名付けた幼児を連れて岩塩鉱を後にする。

死者のみとなった岩塩鉱に、古オタワル王国の末裔で医術師でもあるホッサルが伝染病の特定のためにやってきた。
彼が下した死因は「黒狼熱」、かつてオタワル王国に蔓延し千年以上の文明を誇った国を滅ぼした伝染病だ。
アカファに吸収されたオタワルの末裔たちは、その高い技術力で高い地位を確保していた。
なにせ病死した遺体から抗生剤に抗毒素、さらに抗血清まで作り出せるというのだ。
ガラスはあっても電気はなさそうなので、ハンドパワーで遠心分離をやるのかと余計な心配をしてみたが。

そのころヴァンはアカファの北の民の集落に迎え入れられて生活していた。
なんでもツオルがアカファを併合したときに、ヴァンの率いる「独角」という反対勢力に散々苦しめられたことから彼らの騎乗する飛鹿を増やそうという計画をたてた。
そのためそれまでトナカイを飼っていた北の民に、飛鹿を増やせば減税するという。
だがトナカイと性質が全く違う飛鹿の飼育に苦戦していた集落の人の需要と、流れ者が安定できる場所を探していたヴァンの供給がちょうどあっていたのだ。

飛鹿の飼育や伝染病の話などいやにリアルな部分があるかと思えば、王国の併合という大きな枠がやたらファンタジーっぽい部分もあり。
岩塩鉱にいる人々を律義に全員噛みついていった獣の正体はまったくもって不明。
冒頭で「光る葉」を育てていた少年の話は何の伏線だったんだろう。
流れ的に少年はホッサルだったんじゃないかとも思うけれど。
黒い犬の襲撃シーンで1巻終了。
とりあえず続きも読む。
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DB
DB さん本が好き!1級(書評数:2039 件)

好きなジャンルは歴史、幻想、SF、科学です。あまり読まないのは恋愛物と流行り物。興味がないのはハウツー本と経済書。読んだ本を自分の好みというフィルターにかけて紹介していきますので、どうぞよろしくお願いします。

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この書評へのコメント

  1. ぽんきち2021-07-11 21:51

    こんにちは(^^)。

    カドフェス2021、今年は私、主催させていただいています。
    こちらのシリーズ、ラインナップに入っているのですが、もしよろしければお立ち寄りください☆
    お待ちしています♪
    https://www.honzuki.jp/bookclub/theme/no401/index.html?latest=20

    *今年はナツイチもやってます(^^;)。こちらももしよろしければ→https://www.honzuki.jp/bookclub/theme/no402/index.html?latest=20
    *新潮文庫はぴょんはまさんがされてます~→https://www.honzuki.jp/bookclub/theme/no403/index.html?latest=20

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