野生の棕櫚




悲劇は喜劇を深め、喜劇は悲劇を高める──二つの物語の愛と生命の行き着く果てとは
『野生の棕櫚』は1939年に出版された、ノーベル賞作家・ ウィリアム・フォークナーの代表作といわれ…
本が好き! 1級
書評数:242 件
得票数:3990 票
読むことも書くことも孤独な作業ですが、言葉はいつも語られ受け取られるためにあるものだと思っています。誰かに喜んでもらえる言葉を語ることができれば嬉しいです。できることならば…。
近・現代日本文学を中心に、外国文学、児童文学、医療・健康関係の本、必要に応じて読んだ実用書などについて書いていきたいと思っています。
不定期でアロマテラピーインストラクター、セラピストの仕事をしています。




悲劇は喜劇を深め、喜劇は悲劇を高める──二つの物語の愛と生命の行き着く果てとは
『野生の棕櫚』は1939年に出版された、ノーベル賞作家・ ウィリアム・フォークナーの代表作といわれ…




現代日本アート、そして日本人の心を今なお支え続ける岡本太郎の芸術魂
2025年の大阪万博も終わり、かなり盛況だったようですね。 万博の開催と特に合わせたわけではないの…



安部公房の原風景に触れることのできる初期作品集
安部公房、というとその代表作(とされる)『砂の女』で描かれたような、 現実離れした設定のシュールな…





その成熟した魂の中から、さらなる「新しい考えが芽吹く」瞬間に立ち会えることの歓び
ル=グウィンといえば、その代表作といわれる『ゲド戦記』シリーズを すぐに思い出される人も多いだろう…




何?! この半端ない熱量…。 漱石と明治という時代への深い愛情を語り尽くす。
夏目漱石は、好むと好まざると(!)ほとんどの日本人が 一度はその作品を読むことになる、数少ない日本…




確信された崩壊の予感を消し去る方法は、はたして見つかるのだろうか
1986年に出版された、村上春樹の6冊目の短篇集。 (糸井重里との共著『夢で会いましょう』を短篇集…



それでいい。どうぞご自由に──一瞬の共感・共鳴によって、読者の心を自由に羽搏かせるウルフの言葉。
ヴァージニア・ウルフの短篇は難しい…という意見を 少し聞いたことがあったのだが、この本を手に取った…





「こっち、こっち! さあ、一緒に物語を創って楽しもう!」偉大なるパパ・マルケスのマジックは、思った以上に緻密で壮大な器の中で行われていた。
ガルシア=マルケスは、南米コロンビア出身のノーベル文学賞受賞作家であり、 特に近年日本でもその代表…





人間に対する公的な暴力の圧倒的な残酷さを直接知る最後の世代に刻まれた記憶
日本で二人目のノーベル文学賞受賞者・大江健三郎の初期作品集。 文壇デビュー作となった「死者の奢り」…



歴史の重さと、そこに現れた人間の姿の悲惨さと滑稽さを直視させることこそ、 この長い物語の最大の狙いだったのかもしれません。
いやもう…参りました。 本当に、もう、降参です。 正直に言うしかないのですが…私にはこの作品…




<そしてすべての血はたどり着く/それが静まる場所に>。 安易な慰めや恩寵に頼らずに、それぞれの人生を肯定し愛おしむ物語
外国文学好きな複数の人が絶賛していた短篇集。 作者のルシア・ベルリンは、1936年アラスカで生まれ…




両大戦間の仮初の平和の中で、作家たちは何を見て何を感じていたのだろうか。
翻訳家の柴田元幸氏が、アメリカで発表された短篇の中で 「名作中の名作」を選んで編んだといわれる短篇…



現実と非現実の境界にある無明の世界に触れたときの、曰く言い難い肌感覚を描いた作品群
明治41(1908)年1月から6月までの『坑夫』の連載が終った後、 続けて朝日新聞紙上に発表された…




時代の変化を先鋭的に察知し、それに切り込んでいった先駆者としての芥川
これもまた、多くの人が国語の授業等でその一部を読んだだけで、 知っているようで知らない、日本の近代…





厳しい言葉は、大きな期待と深い信頼の裏返し──それは、愛情と言い換えてもよいのではないだろうか。
先日読んだ、安部公房・三島由紀夫・大江健三郎の 三人の作家による鼎談・対談集『文学者とは何か』と …




物語を語ることの意味や覚悟のようなものの重さが、痛いほど心に沁みてくる
1985年秋──今からもう40年まえに出版された村上春樹の短篇集。 手元にある単行本の帯には、 …



信長が思い描いた未来の世界はどんな世界だったのだろうか。
辻邦生というとフランス文学の研究者でもある故、 ヨーロッパを舞台とした作品が多いイメージがあるかも…





文学が意図的に前衛であった時代の、もっとも先鋭的な三人の文学者の言葉の力をまざまざと見せつけられた。
日本文学の現在地を知るには、やはり戦前~戦後を実際に知る 文学者の言葉を聞くことが、まず必要なのか…



たとえ嵐の中で揺れ動いても、まだ若さという恩寵の中に居て守られていた時代の幸福な物語
前作『虞美人草』に続き、東京朝日・大阪朝日新聞で、 1908(明治41)年1月1日~4月6日の約3…



他力本願で縺れた恋愛に終止符を打った男たちは、その後、幸せな夫婦関係を築けたのだろうか。
この作品は1907(明治40)年の6月から10月にかけて、 朝日新聞(東京・大阪)に連載された夏目…