心理学で何がわかるか




心理学では何がわからないのか
一見、入門書のようなタイトルをもつが、やさしい入門書というわけではない。心理学が科学としてどのよう…

本が好き! 1級
書評数:696 件
得票数:8273 票
学生時代は書評誌に関わってました。今世紀に入り、当初はBK1(現在honto)、その後、TRCブックポータルでレビューを掲載してました。同サイト閉鎖から、こちらに投稿するようになりました。
ニックネームは書評用のものでずっと使ってます。
サイトの高・多機能ぶりに対応できておらず、書き・読み程度ですが、私の文章がきっかけとなって、本そのものを手にとってもらえれば、うれしいという気持ちは変わりません。 特定分野に偏らないよう、できるだけ多様な書を少しずつでも紹介していければと考えています。
プロフィール画像は大昔にバイト先で書いてもらったものです。




心理学では何がわからないのか
一見、入門書のようなタイトルをもつが、やさしい入門書というわけではない。心理学が科学としてどのよう…





クリストファー・ロビンは、なぜ雨の降る浜辺で幸せを感じたのか?
本書を初めて手に取ったのは大学の図書館だった。著者についても、このことばについても、何の予備知識も…





「つまり、一つ一つのことわざは、長い歴史という道を永遠に変らずに進むものではないということです。むしろ、輪廻転生のごとく生死を流転するかのようだといえましょう。」(「あとがき」253頁)
ことわざ。たいていの人がその存在を知っているけれども、「何なのか」といわれると、捉え難い。類似の存…





「だから『家族イデオロギー』と『都市イデオロギー』は矛盾せず、家系への自己同一化の狂おしいほどの感覚が、愛郷心の神話を生きることと背馳しない心的機構ができあがっていた。」(205頁)
イタリアにさほど詳しくなくとも興味深く読める1冊というのに、これほどタイトルのネーミングがうまくい…





「それらを丹念に読んでいくと、近代日本の歴史過程で時代変革や社会創造の担い手になっていた編集者や発行人の躍動するペンの響きが聞こえてくる。」(「学術文庫版へのあとがき」より、384頁)
どこか私の気持ちをざわつかせるタイトルである一方で、「『今風』ではない研究なのだろうな」とも感じた…





「ユウカさん? ・・・ ユウカさん! ・・・ これは夢? 花が見せる夢?」(コーシロー、「永遠にする方法」256頁)
先日、聞いていたラジオドラマの原作が本書です(2025年3月29日放送、3月最後の土曜日)。三重県…





「併し、この天の下には何かがあったのです。美しい稚いものは、花のように開き、笑い、身を乗り出し―そして、それはそうしたことのために罰せられたのありましょうか、病み、亡くなりました。」(175ー6頁)
作者は戦後日本を代表する作家の一人で、本書はその「最後の長篇」としても名を知られている。本書刊行の…





江戸時代をめぐる、美しき読書体験
すでに多くの人に絶賛された本書について改めて述べることはややむずかしい。本書は、幕末から明治前半く…




「一般的な利益に関わる意思決定を下す」ように要請すると、集団や群衆が到達する結論は『一人の個人よりつねに知的に優る』のである」(「はじめに」より、15頁)
本書の文庫版が刊行されてからも何年も経つが、それでも、今なお興味深く読むことができる1冊である。内…





元祖ロストジェネレーションの「人生いろいろ」
ロストジェネレーションということばが、現代日本に広がって久しい。バブル崩壊以後の経済不況を背景に、…





「アジェは最高の名人芸の極点に到達していた。だが、ずっと日の当たらない場所で生きてきた偉大な達人につきものの頑固な謙虚さで、到達した印の旗をそこに立てなかった。」(写真小史、34ー35頁)
『複製技術時代の芸術』などで知られる、著名な思想家による写真論である。「写真小史」を含め、個別の写…





「『クアトロ・ラガッツィ! スー、アル・ラヴォーロ(四人の少年よ! さあ勉強だ)』(下巻、446頁)
下巻が「つらい読書」になることは、「史実」からわかりきっていたことではあるが、「こんなにも・・・」…





「私はずいぶんと旅をしてきた。でもこれでほんとうに私がやりたかったこと、知りたかったことが書けた。この主人公は私と無縁ではなかった。」(プロローグ、19頁)
長い、とにかく長い。文庫になっても上巻だけで570頁をこえ、上下を合わせたら1000頁超。2003…





「ある人に突然言われたことがある。どうも私と向かい合っていると変な気がする。人間ではない何者かと接しているような気がすると言うのである。」(「不思議なトリップ体験」、10頁)
講談社現代新書が創刊60周年ということで、記念冊子 「新書へのとびら」 を配布している(電子版あり…





「結局、われわれを労働者階級の生活特質に本当に近づけてくれるのは、いくつかの小説しかない。」(19頁)
文庫版にして650頁、読む者を拒むような製本限界的な厚さ。それでも本書を手にしたのは、文庫化を機に…




学術書が想定すべきは「二回り外、三回り外の読者」、盛り込まれるべきは「二回り外、三回り外への表現」
『学術書を書く』、 『学術書を読む』 、いずれも大上段にふりかぶった書名である。一方、出版社が京都…




「それにしても、『愛』と『自由』と『死』のような抽象概念が、(中略)すべて一種の『幻想』かもしれないということが見えてきて、強烈な体験でした」(会社員、246頁)
『理性の限界』 『知性の限界』 から続く、現代社会と科学の課題を哲学を軸にアプローチした「限界…




「痩せて、背の高い、黒い服の男がやってきて、耳もとでささやいた。/悪魔について書きませんか?」(あとがき、204頁)
1991年刊行、著者51歳の作品。現在は講談社学術文庫にも収録されています。「現代新書」判が貴重な…





「上は金殿玉楼にすむ帝王から下は市井の侠客・大道易者・落語家・奴隷にいたるまで、ありとあらゆる階層の人物を網羅して渾然とした大宇宙をつくりあげている。」(まえがき、iii)
『史記』、言わずとしれた、日本でも有名な中国の歴史書。中国史を多少なりとも復習しようと考えて、迷わ…





ヒトの心のありようもその身体的な特徴と同じく進化の所産である、という視点に立って解説する1冊。その射程は広く、なにかと刺激的。
心理学は定期的にブームになることからもわかるように、専門家のみならず広く一般にも魅力的な学問の一つ…