青春の蹉跌




若者の内にある打算的なエゴイズムや焦燥感、利己主義というのは普遍的なのだろうと思う。
世に出て50年にもなる小説なのに、新鮮だった。描かれている時代背景が70年安保の終焉後にもかかわらず…

本が好き! 1級
書評数:39 件
得票数:427 票
幼いころから、本ばかり読んでいました。誕生日やクリスマスのときに、おねだりするプレゼントはいつも本。子ども向けの世界文学全集も大切な友だちだった。仕事や子育てに忙しい今でも、カフェに入ってコーヒーを片手に本を開くと、幼いころの同じ「私」がいます。その時間を大切にしていきたい。日々想います。




若者の内にある打算的なエゴイズムや焦燥感、利己主義というのは普遍的なのだろうと思う。
世に出て50年にもなる小説なのに、新鮮だった。描かれている時代背景が70年安保の終焉後にもかかわらず…




「母性」の話だ。子どもがいない女性は、他人の子どもに対して母性を育めるのか。実の子どもと長く離れていた母親の母性はどうなるのか。そもそも、母性とは何なのだろう。
「母性」の話だ。子どもがいない女性は、他人の子どもに対して母性を育めるのか。実の子どもと長く離れてい…




貧困。低学歴。孤独。劣等感。上昇志向。負けずぎらい。これらのキーワードは、清張の内面にずっと巣食って離れなかったのだろうか。
松本清張初期の短編集『或る「小倉日記」伝』に収録されている6編の物語を読んだとき、なぜ清張はこれほど…





緊迫した21球の攻防の間に、マウンドのリリーフエースと打者、そしてベンチの思惑が入り乱れる。そして、それらは交わることはない。それが、人間臭くて面白い。(江夏の21球)
スポーツノンフィクション作家・山際淳司さんの出世作「江夏の21球」は、衝撃的だった。小学低学年で見た…




この小説には拝金主義や物欲主義とともに、高齢者=「世の中には必要ないお荷物の人たち」と見る世の中の風潮も、極端な形で投影されているように感じる。
怖い話だ。実際に同じような事件がニュースになった覚えがあるので背筋が寒くなる。それでも、ノンストップ…



![([と]1-2)あん](https://images-fe.ssl-images-amazon.com/images/I/51K-QUg0vPL._SL160_.jpg)
あんづくりの描写が素敵だ。小豆を大切に扱い、あくを抜く作業に手を抜かない。読むだけで、あんの深い味わいを想像してしまう。あんの物語に潜んだ深い悲しみの物語も…。
ハンセン病の父と幼い息子がお遍路姿で放浪する映画「砂の器」(1974年)をふと、思い出した。映画が公…





法の在り方と社会のモラル、人間の不可解さ…が問われるスリリングな法廷劇。コリーニの行動は、人が人を裁くことの限界を私に考えさせてくれる。
ドイツ人作家シーラッハの作品をよく読むようになった。国内でシーラッハ作品の朗読劇や演劇が上演されるよ…




戦争とはこういう風に始まっていくのかと、思う。それは、今の空気と似ている。
戦争とはこういう風に始まっていくのかと、思う。 それは、今の空気と似ている。 あとがきとして…




もしかすると…ニシノユキヒコとは女性たちがつくり出した幻の男子ではないのか。「モテる男をソデにしたい」と願う女性たちの。
こういう男性っているな、と思う。 物腰も柔らかくて親しみやすいのに、彼の周囲には見えない壁があるよ…





初版が出た1937年は日中戦争が始まり、軍靴の足音が響く暗い時代に突入したころ。その時代背景と照らし合わせても、勇気のある一冊。少年少女だけでなく大人の教養書、人生読本として今こそ読むべし。
元上司が定年で退職した数年前、「息子たちに読ませろ」とくれた古びた本が、吉野源三郎の「君たちはどう生…





雑誌ならではの粘り強い取材力で、凶悪犯を追い詰めたノンフィクション。興味本位のフェイク情報も氾濫するネット社会の中で、その価値が光る。
山田孝之さん主演の映画「凶悪」(2013年、白石和彌監督)を観たとき、ピエール瀧さんやリリー・フラン…




きょう明日死ぬかもしれない身体だからこそ、娘は中年男に恋ではなく、「発情」したのか。戦争を扱う小説の中に、底知れない人間のエロスをみる。
2015年に公開され、二階堂ふみが主演した映画「この国の空」(荒井晴彦監督)が素晴らしかったので手に…



どこまでが真実なのか謎(!)の評伝のようなフィクション小説。大女優の生きざまは波乱万丈だ。
浅丘ルリ子さんの舞台「渇いた太陽」(テネシー・ウィリアムズ原作、青春の甘き小鳥原題)を数年前に観た。…



ふたつの家庭内でくすぶる負の感情が交錯しながら、その根っこにある格差社会や人々のムダなブランド志向、プライドをあぶり出していく。
アイドルグループの一員である17歳女子にインタビューしたとき、「お休みの日は部屋にこもって読書してま…



勉強もスポーツも万能なソツのないイケメンの男子もいいけど、こういう「困ったチャン」ほど他人が放っておけないんじゃないかと思う。そこが、星野源さんの魅力なのかな。
ドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」で人気に火がついた俳優&ミュージシャンの星野源さん。私には、NHKの…



今でも熱烈なカープファンが街にあふれているけど、あのころなぜ…あんなに、人々は直情的にカープを愛したんだろうと、つくづく不思議に思う。なぜ、初優勝のときに山本浩二さんは激しく泣いたのだろう。
小学生の頃、クラス全員で広島と近鉄が対戦した日本シリーズ(1979、80年)をテレビ観戦した。赤いカ…

一瞬の出逢いが、究極の恋愛まで昇華する。泉鏡花の恋愛至上主義は桁外れなのだ。
坂東玉三郎さんが監督した映画「外科室」(1992年)を観た。50分の短い作品なのに、鏡花と玉三郎さん…



私たちは常に、自分を誰かと比べている。そして、他人を貶めて自分の方が上だと安心している。卑しい根性だが、自覚していない。
私たちは常に、自分を誰かと比べている。 そして、他人を貶めて自分の方が上だと安心している。 卑し…





聞き手と話し手が時には対決しながら心を開いていき、通わせていく。そういう幸福な「インタビュー」もあるんだな、と思う。
幼いころ、ドスのきいた歌声と整い過ぎた容貌とのミスマッチに魅せられた。 藤圭子さんがテレビに出て歌…



自分でも書けそうなのが魅力!
ショートショートって大好き。 手軽に読めるし、短いすぐにオチへとたどりつける。中学生のころは星新一…