ミステリーでは、何で！と思われるドンデン返しが行われることがしばしば。この作品はそれがない。その自然さが、私にはよかった。

　主人公の透子は高校卒業して、父のやっている革製品の修理工房にはいり、職人として働いていた、2年後に…

八王子で暮らす、作家山本幸久が、街になくてはならない芸者たちを、生き生きと描く。

　昨日紹介した山本の作品「ミックス」は山本のやる気なさ満開のつまらない作品だった。あの勢いのあった山…

卓球小説なのに、卓球の場面が登場しない小説。

　新垣結衣、古沢良太主演の映画「ミックス」を山本幸久がノベライズした作品。 卓球をテーマにした、少…

年老いたなと感じる時。ほんのささいなことが、うまくできなくなった時。

　人生最晩年の生活の、寂しさ、諦めを鮮やかな筆致で描いた物語。 　主人公のおもちは北海道石狩市…

ちょっとした失敗を、糊塗しようと、いろいろやろうと考えてしまう。面白い人間て。

　ちょっとした、失敗、悪ふざけ。忘れるくらいのことだが、ふっとしたことでそのことが沸き上がってくる。…

手術を拒否する新興宗教団体と、天才外科医との壮絶な戦い。

　今や飛ぶ鳥を落とす勢いのベストセラー作家の知念。この文庫本は11月下旬に書店に行って購入したのだが…

ホラー小説は、作者にも妖鬼が乗り移っていないと、優れた作品にならない。

　ホラーミステリー短編集。短編集なのだが、最後にミステリーの謎ときがなされ、全体でもひとつの作品にな…

学生時代を終えても、夢を追うんだと仕事につかない、夢のための費用は全部、年寄りの親負担。

　瀬尾のユーモアいっぱいでハートフルな、瀬尾ワールド全開の作品。 　私の家の近くに以前、バーが…

高校時代、最大のみじめな体験。

　5作品が収録されている。面白いと思ったのは、それぞれの作品はもちろん独立していて、どの作品も面白い…

京都の古刹では、住職と弟子の僧侶が、難しい禅問答をする。「犬に悟り、仏性はあるか」こんな無意味な問答を真剣に行う。どこか、滑稽。

　人気女流時代小説作家による、人間と動物の交流を描いたアンソロジー。 　禅寺、円福寺。夜明け前…

何とびっくり。江戸時代、貴人たちが食した最高の鶏料理の材料は鶴だった。

　江戸時代、享和の頃から隆盛を極めてきた、江戸きっての料理屋の名店「八百善」。物語では「福田屋」とい…

会社が苦境になる。その苦境をいかに克服したかの物語は、目にすることが多いが、やっぱし、ダメでしたという物語はめずらしい。

　連作短編集。 　主人公は宍倉勲。勲は父親の興したシシクラ製菓を引き継いで社長となる。シシクラ…

天才医師天久が悪ガキ3人と造り上げる熱い心のトリックとは・・・・。

「天久鷹央の推理カルテ」シリーズ。一か月前に出版された「吸血鬼の原罪」の帯には このシリーズ160…

トｒックにはいつも聞いたことがない病気が使われる。トリックの症状にあわせ、病名を探しているよう・・・。

　天才医師、知念鷹央シリーズ作品。 　我が家の近くにあるアパートの多く住人はベトナム人、ブラジ…

江戸後期、現在の渋谷は田舎。百姓も武士も動物たちも、身分関係なく、共同で食料を生産していた。

　山本が描く、笑いと涙いっぱいの江戸時代小説集。 　時代は江戸後期。弱小の小藩、石樽藩の江戸詰…

山本さんの小説は、本当に面白い。だけど、文学賞にめぐまれない。不思議だ。

　本を楽しむとはどういうことを言うのだろうか。他の人たちの書評に接すると、自分の書評のレベルの低さに…

処方するための猫が病院にはいない。でも、大丈夫。患者が飼っている猫が処方箋になる。

　「中京こころのびょういん」シリーズ第二弾。第一弾は10万部売れ大ヒット作となった。 京都中京区に…

桐島君があずかりやになる前の青春時代が描かれる。心にしみる作品だった。

　ベストセラー「あずかりやさん」シリーズ第２弾。この作品集５番目「海を見にゆく」で、桐島君があずかり…

結婚をすることが当然の時代だったが、今は結婚をしないことが人生の選択のひとつとなった。

　25年前に造成された住宅団地、山に囲まれ、海も見える風光明媚、交通の便は少し悪いが、公園も、学校も…

時の異なった３つの世界が、同時進行する。物語は面白いのだが、その３つの世界が混乱を引き起こす。

　大長編７２４ページもある。文章はわかりやすく、読みやすいのだが、内容は複雑。 　主人公は大手…