暗い穴―警視庁追跡捜査係



未解決事件を捜査する「警視庁追跡捜査係」のシリーズもの。二人の中年刑事が主人公。いつも通り地名が実名。町の情景描写もリアル。読書中にストビューを見ながら捜査に参加できるのが楽しい。【70点】

本が好き! 1級
書評数:572 件
得票数:3215 票
テーマも主張も無いのにグイグイ読ませる本が好き。



未解決事件を捜査する「警視庁追跡捜査係」のシリーズもの。二人の中年刑事が主人公。いつも通り地名が実名。町の情景描写もリアル。読書中にストビューを見ながら捜査に参加できるのが楽しい。【70点】



妻を亡くし、娘とは疎遠ぎみの捜査2課の中年刑事が主人公。贈収賄事案の内通協力者が不可解な行動で主人公を振り回す面白いストーリー。やめも暮らしの刑事の生活描写がやたら細かくて味がある。【74点】




地方の進学校の入試を題材にした推理もの。試験日の朝から夜中まで時系列に進む。テーマが新鮮で内容も面白い。元はドラマのシナリオのせいか、登場人物が多くストーリーも少々がちゃがちゃしているが。【76点】



主人公の中年警部(元刑事)は、超自信家で妥協嫌いという警察小説では珍しい人物設定。夜間の初動捜査を目的にした「夜間緊急警備班」の初代リーダーとして、周りから煙たがられつつ出過ぎた活躍をする。【65点】




ヘマをして伊豆大島に左遷された中年刑事が主人公。やはり刑事はこうでないと。ある日のんびり釣りをしていると、神奈川県警の不正を捜査する特命チームに招集される。興味をそそる面白いストーリー。【75点】



刑事は歳をとっている程いい。引退した元刑事などは最高の素材。だが、この小説の主人公は20代半ばとかなり若い。どんな味を出すのかと期待したが、体力に自信のない妙に老成した主人公で、構想に疑問。【68点】



地味だけど味わい深い人間ドラマ系の短篇×5本。いつも通り読みやすく、読んでいるだけで癒されるような誠実な文章。本作は、時代・舞台設定が多岐に富み、著者の守備範囲の広さを知った。【72点】



海上タクシーの船長が謎解き役。東京・仕事・家族と別れて瀬戸内にやって来た中年の無口なおじさんで、なかなか味がある。いずれの短編も当地の島や海や船に絡めた話で新鮮で面白い。【70点】



「落とし」の名手の大友鉄が主人公の警察シリーズ。「0」とナンバリングされているように、家庭を持って間もない若き日の大友が描かれている。現在の彼の境遇・立場に至らしめた様々な出来事が興味深い。【70点】




15年前、何者かに殺された女児。その関係者が順に過去を独白するとやがて真相が明らかになる構成。登場人物はやたら生々しいのに、話はパズル感覚できっちり収束する。感情と論理の絡め方が面白い。【75点】



異生物系のホラー小説。個人的には、話に深遠な意味を与えるのはそこそこにして、失踪者が「人間もどき」になって帰ってくるという最大のフックをもっとストーリーに絡ませて盛り上げてほしかった。【65点】


島を舞台にした伝奇ホラーファンタジー小説。島好きとしては期待しながら読んだのだけど、プロットの完成度がいまひとつな上に無駄な描写が多く、最後まで読書意欲を維持するのが大仕事だった。【40点】




主人公は精神科医。多重人格を本格的に扱った小説でとても面白い。難解な内容も含むが、空気のように自然に吸収できる。読みやすく好印象な文章を書く作家として5本指に入れたい。【83点】



高級住宅地で起こった殺人事件を3家族の視点から描いた人間・家族ドラマ。全体的にがちゃがちゃして幹が見えにくく、あまり引き込まれなかった。謎解き含みで進行するも、なぜか終盤のサプライズは無し。【62点】



非力だけどイケメンで「落とし」の名手の大友鉄が主人公の警察小説シリーズ。今回は、強盗殺人放火事件の犯人として不可解な自首をしてきた女弁護士とのあれやこれや。いつもよりやや無理やりな筋立てか。【62点】




ラブストーリーが中核にあるけど人間ドラマといった方が良さそう。作者の亡き姉がモチーフになっているそうで・・・とてもよくできたプロット。名前のトリックは映画版の方がスマートなアレンジだった。【80点】


血縁関係がありながら男女関係にもある養父と娘の謎めいた物語。興味深い設定で期待しながら読み始めたが・・・登場人物に魅力を感じなかった。冒頭、盗んだ傘を娘に差し出した時点で興味が薄れる。【50点】



小五の主人公と仲間達とのひと夏の物語。彼らは1960年(昭和35年)生まれの設定。同年代の人にとっては懐かしい話や固有名詞がたくさん出てくる。500ページもあるが素直な文体で読みやすい。【71点】



4作家による警察小説が4篇。巻末解説で警察小説の有力な書き手を紹介。横山、堂場、佐々木、今野の大御所に加え、誉田哲也、安東能明、笹本稜平、福田和代、日明恩、相場秀雄、東直己、貫井徳郎など。【70点】


ある程度、手法やパターンが確立されている警察小説では、はっきり不出来な作品には滅多に出会わないのだけど、久々に出会った。ある意味、当たりくじを引いたのかもしれないので最後まで読んだが…。【45点】