名前探しの放課後(上)

「放課後の名前探しってとこだね」、そんな台詞を皮切りとする、タイムリミットの定められた挑戦。辻村深月氏の描く、優しくも残酷な物語。
辻村深月氏との出会いは、「子どもたちは夜と遊ぶ」からでした。続いて「ぼくのメジャースプーン」を読んで…

本が好き! 1級
書評数:79 件
得票数:532 票
初めまして。興味を抱いたら手に取ってみる、を信条に、ゆるりと読みます。ジャンルは雑多に。宜しくどうぞ。

「放課後の名前探しってとこだね」、そんな台詞を皮切りとする、タイムリミットの定められた挑戦。辻村深月氏の描く、優しくも残酷な物語。
辻村深月氏との出会いは、「子どもたちは夜と遊ぶ」からでした。続いて「ぼくのメジャースプーン」を読んで…




男、女。その性の非対称性が浮き彫りになり、価値感のゆらぎと相剋、融和を眼前にたたきつけられる感覚。
木嶋佳苗被告(現在控訴しているので、肩書は被告人、と解釈しておりますが、もし違ったら済みません。)。…




多くの日本人を惹きつけてやまない、フェルメールの絵画たち。その根源たる描写を、丁寧に読み解く。
わたしは、フェルメールの絵画ではいっとう「青衣の女」が好きです。 壁に貼られた大きな世界地図。…



ワーカー、ハタラキバチ。戦士たるハチの世界の凄絶さと、潜む切なさ。たかがハチと思うなかれ。盲信的に邁進し、はたと迷って惑い、某か悟る。その過程の描かれ方なぞり方の細やかさは著者ならではだと思いました。



「…少なからざる数の不可思議な現象が、僕のささやかな人生のところどころに彩りを添えることになる。」--氏の独特な筆致で綴られる、奇譚の数々。
村上春樹氏の文章は装飾語に富んでいて、それから少し入り組んでいるような様がとても魅力的だと、個人的に…



「俺たちのことはジジイと呼ぶな。--おっさんと呼べ」、還暦のおっさんたちの繰り広げる、痛快活劇。おっさんから見た、世界。
わたしたちの身の回りにはままならない、やるせないこと、腹立たしいこと…が溢れていて、けれどわたしたち…




たったひとり、ゆるされないことを自ら選んだ「おふくろ」の半生を「私」が知るところから物語が動きだす。母子をめぐるオムニバス形式風の物語たち。
重松清氏の作品には、実のところ非常なまでの苦手意識を抱いています。 氏の作品に漂うやりきれなさや、…




「世代論」がわたしたちにもたらしたものは一体何か? カテゴライズ、ラベリングはどこからきて、何を生むのか。
新聞か何かの書評で見かけ、読もう読もうと思いつ、ついつい数か月が経ってしまいました。ようやく読了。 …



たかが顔、されど顔。そして中には、ニセ顔。思わずふふっと笑ってしまう写真たち。
たかが顔、されど顔。そして中には、ニセ顔。 60ショットを超える、生きもののカラー写真。 そのひと…




魅力溢れる登場人物たちに、コミカルなストーリー展開。一種偏執的な愛情でもって辞書に接するものたちの、人間模様。装幀も、それから雲田さんの装画も素敵。
装幀や装画、それから設定に惹かれ、手に取りました。 この作中に出てくる人物達ほど言葉に魅せられ…



マツコ・デラックス氏の言うところの「引っ掛かった」人物なり出来事なり。
前作(「世迷いごと」)に続いて、人物評メイン、ところどころ時流や時事といった話題も散りばめつつ。 …


日常の隣にひそむ、異様でおぞましい罪悪の世界。
装幀の何とも言えない不穏な雰囲気と、「本屋大賞翻訳小説部門1位作家」のふれこみに惹かれ、手に取りまし…




生きる、食う。また、生きるために、食う。
わたしたちは皆、もの食う人びとだ。 栄養分を摂取せねば生きられぬ。 それは真理であり、そして…





自らを愛憎相半ばする感情を以て「化物」と称し、どこまでも内に向かっていくメンタリティを持つ…という共通項を持ち、互いに理解しあっている「魂のふたご」たるふたりの遣り取りは純粋に面白い。
前作(「うさぎとマツコの往復書簡」(毎日新聞社))に引き続き、力のこもった一冊だったように感じます。…





私から小説を奪ったら、骨のかけらも残りません――。
氏の言葉遣いや科白回しがとても好きです。 氏の書く小説も好きだけれど、とりわけエッセイ中で発揮…


さまざまなシチュエーションの喪失を描き出す、オムニバス形式。
さまざまなシチュエーションの喪失を描き出す、オムニバス形式。 足りない、物足りなさ、侘びしさ、…



日々の細々とした出来事や風景、関わりのあった人物に寄せるふとした言葉の鋭さにハッとさせられました。
ゲイジュツカとはかくも、研ぎ澄まされた感性や内省的傾向、懊悩と共に生きているのものなのだろうか…? …



覚悟とは何か、生きるとは何か、成すとは何か…そんな主題が匂い立つような物語でした。
覚悟とは何か、生きるとは何か、成すとは何か…そんな主題が匂い立つような物語でした。 帯にも「男の気…



魚を超え「痛み」それ自体を考え直すきっかけをくれる。「痛い」って、いったい、なんだろう!?
魚は痛み(、、)を感じる(、、、)能力を持っているか。 また、痛み(、、)とは何か。 私たち…