ねえ、おぼえてる?

思い出を連れていく。
夜明け前のまだ暗い時間。母と子が枕を寄せ合って、話をしている。 「ねえ、おぼえてる・・・?」 「…

					本が好き! 免許皆伝
					書評数:1744 件
					得票数:42064 票
					
いつまでも読み切れない沢山の本が手の届くところにありますように。
ただたのしみのために本を読める日々でありますように。

思い出を連れていく。
夜明け前のまだ暗い時間。母と子が枕を寄せ合って、話をしている。 「ねえ、おぼえてる・・・?」 「…

「二〇一九年一月一日、元旦から新聞ちぎり絵始めました。 おとうさんが前の年の十一月三十日に亡くなって、何もすることなくなって」
(2019年当時)90歳の木村セツさんのちぎり絵の画集。 表紙のおいしそうなハンバーガーも、裏表紙…

最後の一文を読んだ瞬間に、胸の中に起る小さな嵐。
この本に収められた10編の物語は、アルゼンチンが舞台だ。 ほとんどの物語は、ささやかな日常の延長線…

庭も絵も、弁造さんのライフワークみたいなものだ。
岩手県の雫石から、北海道の新十津川で自給自足を営む井上弁造さんのところへ、著者は、14年間(弁造さん…

この町に住む一人の少女、名前は白バラ。
絵本の最初のページの絵は、ハーケンクロイツの旗がひるがえる町角。兵士たちを大勢のせたトラックを人びと…

著者が、全盲の美術鑑賞者・白鳥健二さんと、美術館巡りをするようになったきっかけは、友人のマイティの「白鳥さんと作品を見るとほんとに楽しいよ!」という誘いだった。
美術館でアート作品を囲んで、著者と友人のマイティは、自分が見えるものを、見えない白鳥さんに説明する。…

バイソンと「わたし」の日々。
「バイソンを はじめて みたのは 4さいの はるのひ」 「わたし」はママにだっこして、草原の向…

「まちの なかで ちいさな ものは、どんな きもちで いるだろう」
ケーブルカーの窓から移り変わる景色を見ているのは、子どもだ…… 紐をひっぱって下車を知らせる。降り…

天才絵描きで、魔術師なみの鮮やかな手さばき。さて、その行く手は。
ローベルト・ギスカールは稀代の天才贋作画家で詐欺師。 誰が知っているだろうか。現在、ルーブル美術館…

ほんとうに美しくて、ほんとうに楽し気に。
川は…… 「あわだって、」 「うずをまいて、」 「なみをうち、」 「くだけていた。」 美し…

そして「ない本」が生まれる。
「物語の元になる写真をインターネットで募り、製作した『ない本』を公開したところ、幸運にも多くの人の目…

丸顔にちょっとだんご鼻でちっちゃな目をした人たちが、ちょこちょこと動き回っている。もの言いたげな表情は、こんなこともあんなことも驚きなんんだよ、って言っている。
最初にぱらぱらとページを繰りながら、たくさんの写真や絵、そして、美しく配置された文章の並びを楽しむ。…

この本は、「わたし」の美しいアルバム。きっと、そこに重ねた私のアルバムでもある。
「ほんとうは、言いたかったんだ。 わたしはゆきたくない、と。 パパとママに、そう言いたかった」 …

この場所から、鳥のいる場所へ誘う、不思議の図鑑、とも思う。
ユカワアツコさんの鳥の絵は、古い箪笥の引き出しの中(底)に描かれる。 ハシブトガラスやスズメなど、…

狭い袋小路のどん詰まりに店を構える「クラフトエヴィング商會」は、どんなものも取り扱っている。「ないもの」も。「注文書」「納品書」「受領書」で構成された五つのケース。
「都会の中の引き出しの奥」のような街区のそのまた奥の狭い袋小路のどん詰まりに店を構える「クラフトエヴ…




  

なんという自由で楽しい詩集だろう。
★2010年8月に書いたものです。 年代もばらばら、知名度もばらばら (ホイットマンやデ…
  


  

多彩で個性豊かな小さなたくさんの美術館を抱きこんだ東京というまちが、そのまま巨大な美術館、と思えてくる。
「東京周辺には、人の心を打つ、小さな美術館がたくさんあります」と「はじめに」に書かれている。そのなか…




  

絵本と子どもの間で魔法が起こる。
子どもでも大人でも、自分を消しさって、きっとオオカミになってしまうときはある。 オオカミになったま…

サリー・ガードナー『火打箱』を読み、元になったアンデルセンの物語が気になって、手にとりました
サリー・ガードナー『火打箱』を読み、元はどんな物語だったのだろう、と思いました。 アンデルセンの『…




  

どのページもずっと青ばかりなのに、豊かな色彩に満たされているのを感じます。
「あおのじかん」は、夜が始まる時間。刻々と夜が深まっていく時間。 世界中あらゆるところでの四季折々…