雁と雁の子―父・水上勉との日々




「よう似とる、よう似とるなァ、正真正銘、ぼくの子どもだよ」『迷惑ではなかったですか、今頃こんなふうに出てきて』「迷惑なもんか、血をわけた子と出会ってよろこばん親はおらんやろ」 父はわらった。
グレーのシャツにぬけるように明るいブルウのモヘアスェーターを着て、床暖房のきいた応接間の囲炉裏のむ…

本が好き! 1級
書評数:51 件
得票数:1038 票
2022年4月から参加しました!宜しくおねがいします。
一貫性のない本棚を持っています。最近は、ノンフィクション系・エッセイ本を好んで読んでいます。児童文学やハウツー本も好き^^ 2022/04/03




「よう似とる、よう似とるなァ、正真正銘、ぼくの子どもだよ」『迷惑ではなかったですか、今頃こんなふうに出てきて』「迷惑なもんか、血をわけた子と出会ってよろこばん親はおらんやろ」 父はわらった。
グレーのシャツにぬけるように明るいブルウのモヘアスェーターを着て、床暖房のきいた応接間の囲炉裏のむ…




「一匹の野良犬だったな、と省みていまも思う。直木賞受賞の時のことばにも、鑑札のない犬が、鑑札づきの首輪をもらったようでうれしい、といっているが、それに嘘はなかった。」
TVで「金閣寺炎上若き僧はなぜ火をつけたのか」を観た。その中でこの事件をモチーフにした水上勉と三島由…





イエローストーンが世界初の国立公園に指定された1872年当時、オオカミはその地にもともと生息していた生き物だったが、1926年に最上位捕食者であるオオカミの最後の一頭をパークレンジャーが射殺した。
多くのアメリカの人々がオオカミは悪者だと考えていた。 半世紀以上の時が過ぎ1990年台中頃、増…




「捨てない」というお題で綴られる21名のベストセラー作家によるショートストーリー。 メルカリ公式Twitterで連載されたアンソロジーの書籍化だって!知らなかった。
これこれ、面白かったんだ!と挙げたら切りがないからちょっとだけ。 【吉凶の行方】朝井リョウ …





───壊れて消えてしまった家族を、もう一度取り戻す「心の旅」。
「時代が良ければ、 もしかしたら今も3人は生きていて、 年に一度ぐらいは四人で集まって、 …





「今月も金がなくてじり貧だよ。 でも仕事は見つけたんだ!! いろいろと迷惑かけて申しわけないね。」彼女の携帯に残された兄からのメール。返信できないメール。
あるときは憎んでいた。迷惑ばかりかける兄がきらいだった。距離をおいて暮らしていた。 遠く離れた…





「覚えてらっしゃい。そんなことをしていると、あなたも転校していった先でおなじ目にあうのよ」
●よくもいじめたね 転勤族の子供だった彼女は小学校のある時期に執拗ないじめにあう。 怖れを抱いた…





「あゝかゝる日のかゝるひととき」つとこの言葉が過ぎった。どこで読んだんだろう?と記憶をたどり・・・、あぁ梶井基次郎だと思い至る。
一人の弁護士の語りによって、綴られていくヒューマンミステリー。 差別と人間の尊厳、夫婦の有り様、親…





『1世紀の時を経てなお残る、花々のかすかな色。指先の気配━━』美しい標本と堀江敏幸氏による書き下ろし「記憶の葉緑素」がいざなう悠久の旅
東京の文京区で古道具店「ATLAS」を営む主人は、2017年夏の終わりに訪れた南フランスの蚤の市で、…




誰?“中島らも”って・・・、と言うことで初めての“中島らも”です。
―山紫館の怪― 捕獲された親子のイノシシが肉屋の前にゴロンと2匹で転がっている。町から町へ地域の地…




オペラ『椿姫』『アイーダ』などで知られるイタリアを代表する作曲家ジュゼッペ・ヴェルディ(1813~1901)が建てた、一流の音楽家だけが入居を許される高齢者施設がイタリア、ミラノにある。
「浮浪者同然の老後生活を送っている元一流音楽家達を救いたい」というヴェルディの強い想いから誕生したカ…





「1883年、日本でいえば明治16年に竣工していらい、ブルックリンの吊橋はニューヨークの、そしてアメリカの象徴として存在し続けてきた。―中略―古来、橋は血に飢えていると言い伝えられてきたが・・・」
もちろん世界の七不思議といわれた、エジプトのピラミッドやアレキサンドリアの灯台、バビロンの空中庭…





ベンは大勢の人に見つめられることに慣れていた。―中略―アジアにいる金色の髪の子は大勢の人の眼差しの中で育つものだ。
ベンは十歳になるまで父の転任にしたがってアジアの国から国へと移り住んだが、小学校を卒業する半年前に父…





ヴァイオリン黎明の音色によって「氷の木の森」の扉が開き、森は目覚めてしまった!そこに辿りつくということはこの世の果てを見ると云うことでもあった― 韓国で注目の作家が描くファンタジースリラー小説
「バイエルの演奏が絶頂に達するとき、やつらはベッドのなかで恍惚を感じるときみたいな顔になるんだ。」…





「ガオーッ という雷のような声がした。目の前の草むらが真っ二つに割れ、大きなオスゴリラが突進してくる。わたしは思わず恐怖にかられて後ずさった。」
背筋が凍りついて、身体が動かない。ゴリラはまたたくうちにわたしから2メートルの距離まですっ飛んでき…




「うん・・・‥忘れないよ」 今日のことは、覚えていると思う。泉は半分の花火を見ながら呟いた。
「そうかしら?」百合子は泉の横顔を見つめて笑う。「あたなはきっと忘れるわ。みんないろいろなことを忘…





アメリカの歴史を変えた「9・11」に先立つこと約9年、ドナルド・キーン氏の退官記念講演のため再訪したニューヨークで、日本人も忘れてしまった日本を「発見」した研究者たちとの触れ合いが楽しい。
ブルックリン橋のたもとで「アメリカ文明の勃興」を思い、世界中からの移民を呑み込んで膨れあがるマンハ…





西日本新聞文化面に連載されたエッセイと俳句をまとめた春秋社100周年記念出版の一冊。俳句を知らない者にも思ったことを正直に言葉にすればいいのよ!って教えてくれる。
(集団就職) ご両親が長崎から列車に乗ったときのこと、前の座席にまだ子供のような少年が座った。就職…




やっぱりアンナが殺ったのか? 作中一度もアンナ自身の心の声が綴られていないから、2度も彼女を疑ってしまった。
母親が惚れたヤクザな男は溺死した。日をおかず母親もあとを追うように事故死する。 残された…





「その頃、私は寂しかった。小学校低学年の校舎の中では、あまり上手く立ち回ることができなかった。人が好きすぎる為に、執拗にコミュニケーションを取り、ウザがられた。」
「この、隣の部屋にも聞こえない小さな歌が、ラジオの電波のようにどこかへ飛び、今誰かが受信している…