はじめに財布が消えた~現代ロシア短編集

現代ロシアが浮かび上がるモザイク画
現代のロシア作家を集めたアンソロジー。不条理、寓話、奇妙な話など、とてもヴァラエティに富んだ16編が…

本が好き! 1級
書評数:161 件
得票数:1136 票
猫と本が好き。海外文学と人文系の書物を読みます。星はつけていません。

現代ロシアが浮かび上がるモザイク画
現代のロシア作家を集めたアンソロジー。不条理、寓話、奇妙な話など、とてもヴァラエティに富んだ16編が…

「兄さんの物語は僕の物語でもあり,僕たちのものであり,父さんの過去すべてだった。」
ドイツ人の父とアルジェリア人の母からアルジェリアの辺境の村で生まれ、フランスで育った兄弟ラシェルとマ…

政治哲学の記念碑的著作:第3巻は全体主義の形成と本質について
アトム化した大衆に虚構の世界観を与え、無目的で破壊的な運動に巻き込むと共に、個人から自由はもとより個…

政治哲学の記念碑的著作:第2巻は帝国主義について
帝国主義の内包する諸問題が検討されるが、運動、人種、官僚制、政党制、無国籍・無権利、人権とどの項目を…

政治哲学の記念碑的著作:第一巻、19世紀ヨーロッパから始まる世界観運動としての反ユダヤ主義の形成について
反ユダヤ主義が単なるユダヤ人憎悪とは決定的に異なることを歴史の襞に分け入り、時にはプルーストを分析し…

環境問題とアメリカを描く壮大な一冊
南北戦争前庭に栗の木を植えた男からはじまってさまざまな個人のストーリーが複数描かれ、それがやがて20…

ノーベル文学賞受賞者トカルチュクの初期の作品
ある一家とその周囲の人や物を中心に、断片的な章を連ねて、第一次世界大戦前後から共産主義時代のポーラン…

風変わりな現実のカリカチュア
不運と失敗にあえぐ人々を描いた短編集だ。 貧困にある人、あるいは「ホーム」の主人公のように戦争…

「形式」を読ませる本
間テクスト性というか引用の小説であり、各章が「誇張法」「寓意法」の例になっていたりと、なかなか意欲的…
![ペストの記憶 (英国十八世紀文学叢書[第3巻 カタストロフィ])](https://images-fe.ssl-images-amazon.com/images/I/51rO29EQOSL._SL160_.jpg)
パンデミック下必読の書
これが300年も前のもの小説だということに心底驚きを禁じ得ない。人々の行動や心理(不安による冷酷さ、…

すばらしいとしか言いようがない
ハンガリーの作家による京都を舞台とした小説。 これはもうすばらしいとしか言いようがない。150…

遅々として進まない返還に胸が痛む
本はその人にとってはその人自身だ。そして、その人の周囲の人にとってはその人にまつわる記憶である。そう…

ドイツと日本が戦争に勝っていたら
27世紀初頭、ドイツと日本に支配された世界を描く歴史改編小説。 おもしろかったが、でもやはり帯…

想像力で現実を再構築するまさしく作家の仕事
日常は少し歪めるだけでこんなに暴力的なディストピアになるのかと驚くとともに、アフリカ系アメリカ人にと…

「無の国」というタイトルがすべてを物語る
シリア人のジャーナリスト、ヤズベクによるルポルタージュと小説の間(あわい)にあるような作品である。 …

ケルトの組紐模様のような
博覧強記の詩人が、文学だけでなく、映画、哲学、古代史、博物誌、生物学、文化人類学にいたるまでを縦横無…

「恥、それこそが人類を救う感情なのだ」『ソラリス』
チリの若手作家による短編集。 社会の片隅で貧しく、あるいは孤独に、あるいは厳しい暮らしを生きる…

混沌とした時代だからこそ
しみじみと感動した。「記憶」がテーマなのだろうか。うまく言えないが、混沌とした時代にあって、ダニエル…

文字通り言葉で「時」と戦う短編集
素晴らしい読み応えの短編集である。 「種への旅」は後退を描いており、これが言語化されたことに驚…

虚構と現実の狭間の圧倒的なエネルギー
売血を契機にエイズが蔓延した中国のある村の悲劇の話。 村民の強欲や無知蒙昧を面白おかしく描いて…