黄金夜界 (単行本)
橋本治による金色夜叉の現代版リメイク。付かず離れずだけど絶妙な現代版背景がなんかジワジワくる。ちょっとレトロな昭和調の語り口もしっくり。ちなみに絶筆となったそうな。惜しい人をなくしたなあ、と改めて。
何故か高校時代にミョーにはまっていた尾崎紅葉の『金色夜叉』。 それがナント、橋本治の手で現代版リメ…
本が好き! 1級
書評数:587 件
得票数:7873 票
食い意地と悪性活字中毒に、ベイスターズ愛と猫愛をぶっかけて、隙間にフィギュアスケートを押し込むと、もうほぼエネルギーは残らないダメ中年。日々標高の上がる積読山がコワイです。
橋本治による金色夜叉の現代版リメイク。付かず離れずだけど絶妙な現代版背景がなんかジワジワくる。ちょっとレトロな昭和調の語り口もしっくり。ちなみに絶筆となったそうな。惜しい人をなくしたなあ、と改めて。
何故か高校時代にミョーにはまっていた尾崎紅葉の『金色夜叉』。 それがナント、橋本治の手で現代版リメ…
日本には海の一族と山の一族が古来存在している、という想定の元に、武士(もののふ)の系譜を追う形で古代から近世の日本通史を描く。日本史上のスーパーヒーローが入れ替わり立ち替わり現れて面白く楽しく読んだ。
うっかり知らなかったが、螺旋プロジェクトという企画が進行中だった。 日本には古来山の一族と海の一族…
極悪で暴力的な強盗団が無理やり押し入った先は、悪鬼のようなサイコパス連続殺人犯の家だった…残虐なシーンが連鎖して、読むのがかなり辛いところもあるのだが、リズムのある話は牽引力抜群。今年のベスト候補。
(上下巻分の感想です) 極悪で暴力的な強盗団が無理やり押し入った先は、悪鬼のようなサイコパス連…
オペラマニアだったキーン氏。膨大な舞台鑑賞回数と幅広さと深さに圧倒された。カラス、カヴァリエ、ドミンゴ、パヴァロッティら、往年のスターたちの、デビューから最盛期までを見届けた経験値は羨ましくも感動的。
実はオペラマニアだったキーンさん。 そんな話を聞いたことはあったが、こうしてまとめた記録を見ると、…
銃撃戦コッテリ満載のアクションものだが、登場人物が魅力的。特に恋人のステラがいい!牽引力抜群のストーリーは蒸し暑い夜、一気読みするのにちょうど良い感じ。続編も読みたい♩
久々に読んだ気がする、銃撃戦コッテリ満載のアクションもの。 中東の戦場から九死に一生を得て戻り…
梨木香歩さんの幻想譚は、内田百間の渋みと軽みに泉鏡花の艶やかな幽玄を併せ持った語り口で、独特の不思議な世界に誘ってくれる。淡々とした懐古調は、どこか惚けているのに端正な話だ。
とても好きな作家なのに、なんのかんのと読みそこねていた作品。 続編刊行を機に手に取った。 公…
フランスの女性作家が描く、国も背景も何もかもが違う三人の女性たちの物語。接点のない三人の女性たちが、それぞれに苦難に押しつぶされそうになりながら生きていく姿、そして緩やかに関わりあう世界が描かれる。
フランスの女性作家が描く、国も背景も何もかもが違う三人の女性たちの物語。 一人目は他人の糞便を…
大阪を舞台にしたノワール小説。大阪弁の軽妙なダイアログが面白い。テンポのよい語り口が明るいようで、話は実に血生臭く、バイオレンス満載だが妙にカラッとしている。19歳の大学生新人作家のたデビュー作。
パチンコ依存症でその日暮らしの35歳。 ある時パチンコで大勝ちした勢いで、夢のように素晴らしいソー…
スペイン内戦後の1941年と1981年前後の二つの時系列で描かれる歴史大河。血と暴力と陰謀に塗れた現代スペインの歴史が綿々と描かれ、激しく昏く重い国の姿が浮き彫りに。非常に強烈な読み応えのある一冊だ。
スペインの一般的なイメージというと、太陽輝く陽気な人々の国、なんじゃないかと思う。 私もハタチ過ぎ…
記録映画の監督選びという一つのテーマだけで、戦後昭和の闇社会の匂いを描き出していくスタイルはなかなか面白かった。 上手く書いた小説。
東京オリンピック記録映画監督選出の背後に蠢く政治、利権、金権。 戦後の暴力団抗争と背後にある巨悪が…
スウェーデンの孤島で世捨て人のように暮らす男を取り巻く人間ドラマ。様々な人の様々な嘆きや苦しみが、突き放すように描かれていく。茫漠とした北の風景とともに強烈な寂寥感が胸にしみた。
過去に犯した大きな過ちゆえ、スウェーデンの孤島で十年以上、世捨て人のように暮らす男。 そんな彼の目…
本格推理からホラーにファンタジー的な寓話まで、色とりどりの短編集。雑然としたアンソロジーではなく、クラシックの楽曲に擬えた緩急ある並び順なのでスルスルと読み継げる。サービス精神に溢れた楽しい一冊です。
しばらく前に香港を舞台にしたミステリー『13・67』が売れまくった。 現在から過去に歴史を遡る香港…
同志たちよ、ついに二巻が出たぞ〜!
思い返せば一年ほど前、表紙に一目惚れして衝動買いした第一巻との出会いがあった。 ブサイクな猫が腹巻…
マサカリ担いだ金太郎さんこと坂田金時vs酒呑童子の話だった。しかも京都側を侵略者として描く裏歴史的戦記。
直木賞が意外とバカにならないとこの数年感じているので、本の内容を調べたら平安時代を舞台にした貴族や古…
イタリア的な野菜料理をベースにして、普通の日本人にはないちょっと面白い発想にあふれた野菜料理のレシピ。エッセイ部分がまた面白い。調味料やら素材やらにまつわる、作者の思いを文字で追うのもまた楽しい。
最近よく名前を聞くようになった、料理研究家細川亜衣さんの本。 イタリア的な野菜料理をベースにして、…
一人で世間に放りだされ町から町へと流離う少年。孤独と絶望に苦しむ姿が胸をえぐるが、どんなに悲惨な流浪生活の中でも精神を荒ませない少年の姿に不思議な光があった。淡々としたロードノベルだが非常に魅力的。
映画がなかなか良さそうなので、原作を手に取った。 だらしないダメな父親に育てられた15歳の少年…
基本トーンは大学生探偵ものなので、独得の青臭さは好みではないんだけど、独得の味わいでこれはこれでヨイナ。一応前作が下敷きなので、先の話から読むのがよろしいかと。
第一作『屍人荘の殺人』と本作、二冊続けて読んだ。 第一作は確かに読んだことのないタイプの推理小…
基本は以前と変わらないのほほんとした雰囲気だが、前作終盤までの能天気ムードがやや沈鬱な感じになり、独特の味わいが加わった。あまりにアリャリャな終わり方だった前作から、ちょっと化けてきた感あり。
シリーズ前作があまりに突飛でアリャリャな結末で、二度と読むまいと思っていたのだ。 本シリーズは、ひ…
人前で如何にリラックスするかを解き明かした一冊。呼吸を整える、体の重心を落とすなど、言われてみれば基本的だがなかなか気付けないことをシンプルにまとめた良書。この世を生きる全ての大人にオススメします。
鴻上さんのの『発声と身体のレッスン』は声を出す立場にあるものには非常に役に立つ名著だと思う。 自然…
史実を踏まえた架空の物語『光秀の定理』が面白かったので同じ路線かと思えば、こちらは骨太で重厚な戦記物。泥臭く生臭い男社会の軋轢や柵を描き切って面白い。満を持してついに放たれた物語、という感じがする。
五年前にでた『光秀の定理』は、史実を踏まえた架空の物語でなかなか面白かった。こういうのもアリだなあ、…