『武士道』を読む 新渡戸稲造と「敗者」の精神史

新渡戸が南部武士の子であったこと。キリスト教徒であったこと。『武士道』を紹介するにあたり多くの場合欠けているこの二つのことを中心に語られる新渡戸像。
新渡戸の『武士道』は紹介・引用される際、多くはその内容を歪曲あるいは一部のみに限られている。武士道…

本が好き! 1級
書評数:1073 件
得票数:19944 票
文学作品、ミステリ、SF、時代小説とあまりジャンルにこだわらずに読んでいますが、最近のものより古い作品を選びがちです。
2019年以降、小説の比率が下がって、半分ぐらいは学術的な本を読むようになりました。哲学、心理学、文化人類学、民俗学、生物学、科学、数学、歴史等々こちらもジャンルを絞りきれません。おまけに読む速度も落ちる一方です。
2022年献本以外、評価の星をつけるのをやめることにしました。自身いくつをつけるか迷うことも多く、また評価基準は人それぞれ、良さは書評の内容でご判断いただければと思います。
プロフィール画像は自作の切り絵です。不定期に替えていきます。飽きっぽくてすみません。

新渡戸が南部武士の子であったこと。キリスト教徒であったこと。『武士道』を紹介するにあたり多くの場合欠けているこの二つのことを中心に語られる新渡戸像。
新渡戸の『武士道』は紹介・引用される際、多くはその内容を歪曲あるいは一部のみに限られている。武士道…



惜しい。願わくばもう三~四倍の分量で読みたかった。そして書き直すならタイトルは変えた方がいい気がする。
物語におけるタイトル。それは読者を物語に誘うシグナル。あるいは道しるべ。もしくは最後に納得する徴の…

『攻殻』の世界は遠いようでいて、すでに始まっているのかもしれない。
「外部記憶に多くを頼っているステロタイプのネット依存症だわ」 爆弾を胸に、人質を取って立て…

『ヤマト2199』のヒロインたちは松本零士のそれとは対極的な肉感的なスタイルをしていたなあ。「宇宙戦艦」ヤマトとの比較により「宇宙海賊」キャプテンハーロックを考える。
『銀河鉄道999』『宇宙戦艦ヤマト』そして『宇宙海賊キャプテンハーロック』。かつてこれらのアニメを…

池波鬼平とは違うのだよ。二冊目にして見えてきた独自の魅力。
ハードボイルドの調べに乗せて描く、逢坂版平蔵シリーズ第二弾。 文庫の裏の内容紹介にはそう書…

そういう夢のようなできごとがほんとにおこってこないのでしょうか?
擬人化した動物を主人公にした物語。子ども向けのお話として読めばいいのか、それとも『動物農場』のよう…

アメリカ南部人は一般的に暴力を好んでいる訳ではないが、社会的に承認された目的を達成するために暴力を用いる。それは自身や家族を守るための自己防衛や、脅かされた制度を守ることに現れる。
自分の車よりも排気量の小さな車に追い抜かれるとカチンとくる。 こんな主意の質問が、運転適性…

木の洞の中に埋め込まれた裸体。犬の檻の中鎖につながれ川に流された半裸の女。時折現れる乱歩調の映像に、明智とは違った飄々たる態度の金田一の推理。
霧の中の女 洞の中の女 鏡の中の女 傘の中の女 瞳の中の女 檻の中の女 …

どう生きていけばいいんだ。どんなことをして、その日その日をうずめていったらいいんだ。望むような人生を送ることができなくても、自殺を選べなければ生きるしかない現実。
宇宙空間に飛ばされた人工生命体M-1号が呟く。「ワタシハカモメ」 1963年に史上初の女性…

サイバーパンクの短編集は正直「わかる」とは言えないが、カッコ良くて面白い。
文章にキレがある。 ことに冒頭が良い。 クールな映画のワンショット目のように作品全体を印象…

怪獣―――この不思議なるもの。 亡霊や妖怪や魑魅魍魎の類いではなく、 鮮烈な形態と明確な意匠をそなえた 純粋に架空の生き物たち。
怪獣とは何だろう。 Wikipediaによると「怪獣とは、正体不明の生物、怪物のことを指す」と…

当たり前のように考えてきた「科学的なものの見方」は本当に正しいのか
身体を部分に分けることは思いの外むずかしい。 本書ではたとえば「鼻」について考えている。顔…

パスティーシュでも二次創作でもない、「鬼平」とは別の長谷川平蔵の活躍。
先日メグレを読んで「鬼平」と比較してみたくなったのだが、池波ではなく読まずにいたこちらを手に取った…

庵野監督により再び日の目を見た不遇の人。純粋芸術家にはなれなかったかもしれないが、そのデザインを愛する人は世界中にあふれている。そう誇って欲しい。
本書は「ウルトラマンの死」という章で始まる。 シンプルな形で産み出されたウルトラマンのデザ…

「いいか、みんな。今夜、きっときみたちの手がたくさん必要になる。みんな出ないでほしい。街で順番に食事をしてくるか、サンドイッチとビールをここに届けさせろ。」
大捕物を前にエネルギー補充。意気上がる瞬間だ。メグレの顔も紅潮しているのではないだろうか。 …

「この世界は、こんなにも謎に満ちていたのか!」ラカンがわかるってことは、自分にとっての世界のありようが変わる経験でもある。
こころは言葉だけでできている。他の言葉との関係性のなかでだけ成立する意味。言葉どうしの関係と、その…

フォークナーの短編にチャレンジしてみる
フォークナーは短編の方が読み易い。 そうかもしれない。 しかし、読み易いことと味わえる…

平成に再び現れた『フランケンシュタイン』の系譜。
石ノ森章太郎の生み出した多くのヒーローと同様に、仮面ライダーという創作物の中にはシェリーが創り…

歴史小説の功罪。司馬遼太郎は乃木をなぜあのように描いたのか。
乃木大将が殉死なされた。 夏目漱石の『こころ』においても印象的で、しかも重要な意味をもって…

「メグレ×ドーヴァー」。解説者によるフロスト警部像。ドーヴァーについては未知のため何とも言えないがメグレの方はファンから苦情が来るのではないか。今回もハチャメチャぶりを発揮するフロストシリーズ第三弾。
パリッとしたスーツに磨きこまれた靴。アフターシェーブローションの香りも爽やかに、出世欲満々で新たに…