タイタンの妖女 (ハヤカワ文庫SF)

「作者は一体何を言おうとしているんだろう?」と、不思議に感じた人は、きっとこの小説の読者に向いていると思う。
ほんとか? 本書の巻末に爆笑問題の太田光氏が文章を寄せているが、本当にそうなのか。 …

本が好き! 1級
書評数:1073 件
得票数:19944 票
文学作品、ミステリ、SF、時代小説とあまりジャンルにこだわらずに読んでいますが、最近のものより古い作品を選びがちです。
2019年以降、小説の比率が下がって、半分ぐらいは学術的な本を読むようになりました。哲学、心理学、文化人類学、民俗学、生物学、科学、数学、歴史等々こちらもジャンルを絞りきれません。おまけに読む速度も落ちる一方です。
2022年献本以外、評価の星をつけるのをやめることにしました。自身いくつをつけるか迷うことも多く、また評価基準は人それぞれ、良さは書評の内容でご判断いただければと思います。
プロフィール画像は自作の切り絵です。不定期に替えていきます。飽きっぽくてすみません。

「作者は一体何を言おうとしているんだろう?」と、不思議に感じた人は、きっとこの小説の読者に向いていると思う。
ほんとか? 本書の巻末に爆笑問題の太田光氏が文章を寄せているが、本当にそうなのか。 …

「ストイック」という言葉に持っていた印象が変わった。セネカが現代に生きていればYouTubeやSNS、テレビなどで大いに語りそう。
うちの妻は何か調べものがあるとYouTubeを見ることが多い。ネット検索して記事を読むよりも、誰か…

ここに戦闘美少女の物語始まる。
主人公ルーン・バレットは綾波レイか。 15歳のバレットは未成年娼婦。事件に巻き込まれ、炎に…

羽州ぼろ鳶組シリーズ第二作。主人公をめぐる主だった登場人物たちにも馴染み、それぞれの持ち味が小気味よく発揮される。そして起こる事件もスケールアップ。安定の面白さに読んでいる途中で続巻を発注してしまう。
私が子どもの頃は「田沼時代」と言えば、汚職や賄賂で政治が腐敗していた時期と授業で教わったものだ。そ…

まず犯行がなされ、そのあと解決へ向かっていく手法は、昔よく見たドラマ『刑事コロンボ』や『古畑任三郎』でお馴染みのもの。それらとの類似点、相違点を考えながらの読書となった。
本作品は冒頭で殺人の場面があり、その後過去に戻って、そこに至る経過を描いている。犯人の人柄、犯行を…

善い人間のあり方如何について論ずるのはもういい加減で切り上げて善い人間になったらどうだ。
アウレリウスの『自省録』は、ストア学派の影響を受けたローマ皇帝の『武士道』である。 太田愛…

地球。それは人間を乗せて星空をゆく箱舟。
「プラトーンの次の言葉は立派だ。 人間について論ずる者は、高処から望むがごとく地上のことを見な…

『攻殻機動隊』からネット社会の個について考える
「見たけりゃ見ればいいのよ。市販品の全身義体でよければね」 草薙素子の義体は表面上は市販品…

水滸伝。あるいは三国志。キャラが立った登場人物たちのそれぞれの再出発物語は、スター・ウォーズエピソードⅣのような感慨を与えてくれて、これがデビュー作と知り驚く。
かつて「火喰鳥」の別名で江戸随一の武家火消と呼ばれた男松永源吾。ある火事が原因で引退し、今は妻とふ…

圧巻は豪雨の中の避難所での演奏シーン。近年増える傾向のある災害による避難のリアル。その場での演奏は絵空事かもしれないが胸に響くものは嘘ではない。
「増えすぎた本をなんとかしなければ」 そんな風に考えるのは私一人ではあるまい。いつか読もう…

遠藤の神への思いを感じさせる『沈黙』に続く作品。
小説がうまい。 コリン・ウィルソンの小説とは言いにくいSFに続けて読んだためか、冒頭1ペー…

処女作『アウトサイダー』の基本理念を小説の形式で。そして著者初のクトゥルー神話。
とにかくまえがきが長い。20ページあまり。この「ラヴクラフト風小説」を書くきっかけとなった事情を書…

『非情のライセンス』。昔あったそんな刑事ドラマを思い出した。
ストーリーなどはとんと覚えておらず、思い浮かぶのは天地茂の眉間のしわばかり。YouTubeで映像を…

京極堂が行う事件の解決は単なる謎解きではなく「憑きもの落とし」である。犯人を言い当てるだけなら何も関係者一同を集めて語る必要などない。
論破される人を見るのは面白い。 ことにその人がいけ好かない奴なら痛快ですらある。 し…

野村胡堂の『胡堂百話』に「鏡花に傾倒したことがあるが、そこから抜け出そうと努力した」との記述がある。「鏡花の文章」からの脱却、と捉えていたのだが読み返してもそんな記述見つからない。思い込みだろうか。
思い込みかもしれないが、鏡花の文章を確かめようと読んでみた。鏡花の文章は独特の香りがする。とは言え…

電脳化。そして全身あるいは一部を義体化する人間。 一方で経験を積み思考回路が人間に近づく思考戦車。 はてしなく近づく双方。その違いはあるのか。あるとしたらそれはどこなのか。
「機械のボディを持って、意思に類するものを持っている。そういった意味では、わたしもあなたも同じ存在…

一人一人の印象は強くない江戸の群像警察もののようだったが、峰不二子風の女性登場でちょっと雰囲気の変わってきたシリーズ第三作。
逢坂平蔵にも少し慣れてきた三冊目。いい加減「池波鬼平」と比較するのはやめねば、と思いつつやはりどこ…

昔の盛岡を覗き、昔の文壇や政治家の様子も眺められる。思った以上に面白かった。ちなみにソニーの窮地を救った話はここには載っていなかった。
野村胡堂をご存じだろうか。昨今では地元岩手でも知名度はそれほど高くなくなってしまっているようだが、…

もっと多くの人に読まれてもいい作家との思いを常に感じているのだが、それはともかくずっと大事にしたい作家の一人である。
昭和の特撮を見る楽しみのひとつに、当時の時代そのものを垣間見る面白さがある。あの頃の街の風景。…

高級娼婦の一途な恋。損得で男とつきあっているはずの女が見せる意外な一面。それは真実なのか。妄想なのか。あわい期待が見せる幻か。
どの作品とすぐに挙げられるわけではないが、同様の設定は現代ではよく見る気がする。日本で言えば花魁だ…