星月夜の夢がたり




「外の世界にどれほど嵐が吹き荒れていようとも、ここには静かな世界がある」(「文庫版あとがき」、164頁)
朝ドラ「あんぱん」の放送に合わせて、やなせたかしさんの事績が盛んに紹介されるようになり、多芸多才な…

本が好き! 1級
書評数:694 件
得票数:8240 票
学生時代は書評誌に関わってました。今世紀に入り、当初はBK1(現在honto)、その後、TRCブックポータルでレビューを掲載してました。同サイト閉鎖から、こちらに投稿するようになりました。
ニックネームは書評用のものでずっと使ってます。
サイトの高・多機能ぶりに対応できておらず、書き・読み程度ですが、私の文章がきっかけとなって、本そのものを手にとってもらえれば、うれしいという気持ちは変わりません。 特定分野に偏らないよう、できるだけ多様な書を少しずつでも紹介していければと考えています。
プロフィール画像は大昔にバイト先で書いてもらったものです。




「外の世界にどれほど嵐が吹き荒れていようとも、ここには静かな世界がある」(「文庫版あとがき」、164頁)
朝ドラ「あんぱん」の放送に合わせて、やなせたかしさんの事績が盛んに紹介されるようになり、多芸多才な…





「他人様の人生にコメントをするのは烏滸がましいが、それを承知で『生きた甲斐』に満ちた一生でしたね、と言いたい。」(有栖川有栖、300頁)
2022年に亡くなった作者の、没後1年を経て編まれた文庫オリジナルの作品集です。遅ればせながら存在…




「だから、そっち側に落ちへんように、気をつけるねん。お姉ちゃんも、あたしのこと、見てて」(「あの橋のむこう」、36頁)
大阪を流れる淀川を舞台に、多彩な大阪人を描く短編集です。メディアによく描かれるような芸人ノリのコテ…





辛い読書......
冒頭に付された吉田裕氏の解説によると、意外にも、兵士たちにその戦争体験を聞く、という単純なことが、…




「僕が問題にしているのは徹底して『命令した側』です。」(284頁)
著名な劇作家による「特攻論」です。現在では、クールジャパンの司会者、実は深刻だけれども「ほがらか人…





ドラマも小説も楽しめます。
刊行後一年も経たないうちにドラマ化もされた本作は、すでに多くの評も得ていますので、私が付け加えるこ…





「豊橋から飯田線、小海線、只見線などを通って会津若松まで戻るあたりは、阿呆らしさ極まって襟を正させるような趣さえある。」(「切符の話」、19頁)
著名な鉄道紀行作家による、タイトル通りの鉄道旅の記録です。全国の国鉄(当時)の路線を一筆書きで、で…





なぜ、剣道をするの?
映画公開もされた人気シリーズ「武士道シックスティーン」の第2作。第3作も予定通りのタイトル「武士道…





「『フランスまで行ったのは、おまえどういうことだったの?』(中略)『このところ、自分の生き方をサボってるみたいなおまえを見ていると、わたしはなさけなくなるわ』母は言った。」(「旅のむこう」、243頁)
『トリエステの坂道』が、イタリアにおける家族の姿を描いたのだとしたら、この『ヴェネツィアの宿』は日…




「弓の物語」の型とその完成に向かって
南九州の鹿児島県内とおぼしき開開高校弓道部の物語もついに3冊目に突入。第1巻は男子部員の哀しきコン…




「きゃん、ぱん。」(本書では弓の弦音と的に当たった音をこう表現しています)
書名からはわかりにくいのですが、本書は弓の小説です。和弓といっても、その存在を「知らない」という人…





「上熊本駅で姉を見送ったプラットフォームに、親たちはもう駅の外へ出てしまっているのに一人残って、ああ、この線路の先に東京がある、と(後略)」(119頁)
「本郷が好きである。」という率直な一文からはじまる本書は、「夕鶴」「子午線の祀り」などで有名な劇作…




「翌朝、私は事務所で、”探偵の心得3か条”を復唱しながら時間をつぶした。」(沢崎)
冒頭の続き…「《強い敵との交戦は避ける》《攻めやすいところから攻めよ》《利用できるものは何でも利用す…





大河ノンフィクションの面目
人から薦められていたままで半ば忘れかけていた本を手にとり、それがとんでもなく面白かった場合、それは…




「何だかマンガでは驚いてばっかりなんですが、実際、普段の暮らしとはかけ離れた規模の現場で驚くことばかりだったのですよ。」(「はじめに」モリナガ・ヨウ、4頁)
本書は、2007年から2009年までの『土木学会誌』連載された土木現場訪問記を1冊にまとめたもので…





旅する理由/旅をしない言い訳
初めての海外旅行の前、『深夜特急』を読んで大いに気分が盛り上がってしまった一人として、本書を読むべ…




「日本にはまだまだ私の知らない山がたくさんある。『日本百名山』を終っても私の登りたい山は尽きない。」(「『日本百名山』その後」、15頁)
『日本百名山』 が、「山のガイド」というより、読み物として面白かった。これならば、「私も山に登り…





『君主論』以前のマキャベリズム
本書の紹介文を見てびっくり。あのモームが、『君主論』のマキャベリを主人公にした小説を書いている。し…





R35の物語として...
本書の表紙には楽器をもった高校生とおぼしき男女の姿が・・・、そんなイラストとブラスバンド部を舞台に…




「現代史にかかわる遺跡には、人間が生々しく見える。」(「はじめに」、i 頁)
長年、遺跡の撮影に従事してきた写真家による、アジア各地の著名遺跡の紹介である。本書「はじめに」に拠…