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千世

千世 さん

本が好き! 1級
書評数:401 件
得票数:8812 票

国文科出身の介護支援専門員です。
文学を離れて働く今も、読書はライフワークです。

書評 4ページ目(401件中 61~80件目)

阪堺電車177号の追憶

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阪堺電車177号の追憶

大勢の人が行き交う電車の中で、実は生まれている新たな出会いやドラマ。私が幼い頃乗った阪堺電車の記憶も、実はこんな短編のエピソードになり得るのかもしれません。時を超え、車両177号はすべてを見ています。

 阪堺電車には、ごく幼い頃に乗車したかすかな記憶があります。驚くのは、大阪市と堺市を結ぶこの古い路面…

投票(26コメント(0)2024-03-16

桜田門外ノ変〈上〉

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桜田門外ノ変〈上〉

「桜田門外ノ変」を、大老を暗殺した水戸藩士の側から描いた小説。作者が顔を出すことなく、事実に即して丁寧に描かれる作風は、登場人物たちを生き生きと躍動させ、より本物らしさを感じさせてくれます。上下2巻。

 大河ドラマ等で幕末物をやると、「桜田門外ノ変」のシーンは必ずと言っていいほど登場します。それは、水…

投票(25コメント(2)2024-03-03

源氏物語 1 (新潮日本古典集成 新装版)

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源氏物語 1 (新潮日本古典集成 新装版)

全54帖中「1桐壺」から「6末摘花」までを収録。今もなお世界中で読み継がれる物語の、巧みな構成と文章力に改めて感服。「夕顔」などはそれだけで短編小説として楽しめる面白さ。心に残った言葉は「らうたし」。

 『源氏物語』全五十四帖の「1.桐壺」から「6.末摘花」までが収録されています。改めて、一千年も前に…

投票(25コメント(3)2024-02-27

川あかり

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川あかり

刺客として、川を渡る敵を待つ伊藤七十郎。初心で臆病な18歳。そんな彼を助けるのが、木賃宿に泊まる牢人の豪右衛門とその仲間たち。怪しく恐ろし気に見えた彼らこそ、本当は誰よりも貧しく心温かい人たちでした。

 「川越人足」という言葉を初めて聞きました。江戸時代、この川には橋がかけられず、渡し船もなく、人が人…

投票(20コメント(0)2024-02-04

青べか物語 (新潮文庫)

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青べか物語 (新潮文庫)

作者がかつて実際に住んでいた町を舞台にしたオムニバス作品。周五郎がまだ若く貧しかった頃に見聞きした、田舎の貧しい人間たちのあけすけで強欲で、やさしくて温かい、丸裸な生き様が生き生きと愛しく描かれます。

 山本周五郎はまだ若かった頃、この作品の浦粕町の舞台である千葉県の浦安に実際に住んでいたそうです。昭…

投票(25コメント(0)2024-01-27

卵をめぐる祖父の戦争

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卵をめぐる祖父の戦争

レニングラードがドイツ軍に包囲されていた冬。脱走兵のコーリャと共に、卵をみつけるという理不尽な命令を受けた17歳のレフ。2人の笑いを伴う軽妙な会話のそばに横たわる数々の死。世界は今も、戦争を続ける。

 日本が戦争をしていたあの頃、世界中が戦争をしていた。そのことを改めて感じ取りました。そこにあるのは…

投票(30コメント(0)2024-01-20

夜と霧 新版

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夜と霧 新版

ナチスの強制収容所から生還した精神科医が、被収容者たちの心理を分析した体験記。誰もが感情を消滅させる収容所生活にあって、自分を見失わず強靭な精神を持ち続けた人がいる。それでも戦争は今もなくならない。

 かつて日本が戦争をしていたあの頃、世界中が戦争をしていました。日本だけではない、世界で起きていたこ…

投票(31コメント(0)2024-01-08

夕べの雲 (講談社文芸文庫)【Kindle】

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夕べの雲 (講談社文芸文庫)【Kindle】

家族の何気ない日常と断片的な思い出の数々。それをただ書き綴っただけの小説。しかし、そんな何気ない思いの積み重ねによって、私たちの人生は形作られていく。昭和の香り漂う家族の当たり前の光景が描かれます。

 作者の庄野潤三は、 『前途』 という作品で、登場人物の1人にこんなことを言わせています。 小…

投票(22コメント(0)2023-12-24

白い巨塔(一~五) 合本版【Kindle】

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白い巨塔(一~五) 合本版【Kindle】

何度も映像化された、山崎豊子のあまりに有名な長編小説。国立浪速大学第一外科教授財前五郎の、栄光と転落の激しい人生。医師として決して許せないその男の敗北を見たいがために、とにかく夢中で読み進めました。

 何度も映像化され、すでに大まかなストーリーを把握している、山崎豊子のあまりに有名な小説を読みました…

投票(21コメント(0)2023-11-23

ある女の生涯

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ある女の生涯

父と同じく狂死した自分の姉を、姉の視点から描いた島崎藤村の短編。自らの生涯と病への認識。不幸な死を迎えるより仕方なかった姉の気持ちを、少しでも理解したいという思いで藤村はこの小説を書いた気がします。

  『夜明け前』 で藤村は自分の父を描き、 『家』 では自分自身を視点として父亡き後の自分の家族を描…

投票(24コメント(0)2023-11-04

月は無慈悲な夜の女王

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月は無慈悲な夜の女王

2075年。地球の植民地であり囚人の流刑地である月世界が、地球からの独立を訴えて立ち上がります。先頭に立つのは意思を持つコンピューターのマイクと技師のマニー。作者の築いた独特の世界観に引き込まれます。

 SF小説に出てくる科学的・数学的な話が苦手で、それが原因で挫折することもある私ですが、この長いSF…

投票(24コメント(0)2023-10-22

「新しい女」の到来―平塚らいてうと漱石

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「新しい女」の到来―平塚らいてうと漱石

この本によって、平塚らいてうという稀有な女性の生涯を知りました。その人生は、漱石が描く彼女をモデルとした女性たちの生き様を、はるかに超えてすさまじい。そしてまた、漱石の作品が読みたくなってきました。

  元始、女性は太陽であった 。  自らが創刊し、女性のみで編集した雑誌「青鞜」に、そう寄せた明治…

投票(24コメント(2)2023-10-09

三四郎

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三四郎

東京に来て、何をすべきかさえわからない学生。友人と女に振り回されるだけの日々。つまらない男には違いなくても、これこそが人間の真実の姿なのかもしれません。大学時代の私も同じ。迷える羊(ストレイシープ)。

 正直なことを言うと(何度も言っているかもしれませんが)、私は夏目漱石の作品があまり好きではありませ…

投票(24コメント(0)2023-10-07

犯人は僕だけが知っている

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犯人は僕だけが知っている

立ちはだかる強大な魔物を前に、高校生たちが選んだコマンドは「逃げる」。悪人を叩くことで安心を得ようとする恐ろしいネット社会。差し伸べられる手があれば、逃げる以外の道を示すことはできるのかもしれません。

 親による児童虐待。ネット上での誹謗中傷。生活保護。ヤングケアラー。この本に登場する高校生たちが抱え…

投票(26コメント(0)2023-09-23
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