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千世

千世 さん

本が好き! 1級
書評数:401 件
得票数:8812 票

国文科出身の介護支援専門員です。
文学を離れて働く今も、読書はライフワークです。

書評 2ページ目(401件中 21~40件目)

コレラの時代の愛

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コレラの時代の愛

17歳の時の初恋を成就するため、51年もの長い年月、女の夫が死ぬのを待ち、そのためだけに生きた孤独で愚かな男の人生。「コレラ感染者乗船」の旗を掲げた船の中だけで成立する愛は、死出の旅でしかありません。

 すでに一度人生を終えたと言えるひとりの老人が、年老いてから初恋の人ともう一度結ばれるという物語であ…

投票(22コメント(0)2025-04-12

源氏物語 01 桐壺【Kindle】

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源氏物語 01 桐壺【Kindle】

今から一千年もの昔、この日本で、女性によって生まれた物語。多くの人々の手で書き写されながら今日まで、国境を越えて親しまれ、これからもまた読み継がれていくであろう物語。それは何と面白い物語であることか。

 『源氏物語』。今から一千年もの昔、この日本で、女性によって書かれた長い物語は、今も多くの人々を魅了…

投票(22コメント(0)2025-03-22

新装版 高山右近 (講談社文庫)【Kindle】

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新装版 高山右近 (講談社文庫)【Kindle】

キリシタン大名高山右近の生涯。キリシタンとしても武士としても力のあった右近の最期は、それが遠きマニラの地であったとしても、恵まれていたと言えるでしょう。名もなき信者たちの、過酷な殉教や棄教に比べれば。

 高山右近について私が知っていたことと言えば、キリシタン大名であったこと、マニラに追放されて殉教した…

投票(17コメント(0)2025-03-09

新潮日本古典集成〈新装版〉 源氏物語 八 (新潮日本古典集成 新装版)

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新潮日本古典集成〈新装版〉 源氏物語 八 (新潮日本古典集成 新装版)

「51.浮舟」から「54.夢浮橋」を収録。『源氏物語』はここに完結。浮舟をめぐる薫と匂宮による三角関係の悲恋。男たちの身勝手なプライドに翻弄される憐れな女の運命は。答えのないまま物語は終りを告げます。

 「51.浮舟」から「54.夢浮橋」までを収録。一千年も前に生まれた壮大なこの物語は、ここでついに完…

投票(18コメント(0)2025-03-03

赤い猫 (講談社文庫)【Kindle】

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赤い猫 (講談社文庫)【Kindle】

仁木悦子の晩年に出版された短編集。動きの少ない中、犯人の言い間違いによる小さなミスで事件が解決されるのが特徴。母や子に向けるやさしさが仁木悦子らしいと思います。かつての学生探偵仁木兄妹にも注目です。

 仁木悦子が晩年に発表した短編集です。 『猫は知っていた』 の頃は学生だった仁木兄妹も、兄は植物学者…

投票(23コメント(0)2025-02-23

ウジェニー・グランデ【Kindle】

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ウジェニー・グランデ【Kindle】

守銭奴の父によって、世間のことを何も知らずに育てられた田舎娘のウジェニー。そんな彼女の前に突然現れたのは、パリからきた不幸で美しい従兄弟。読者は結ばれないことを百も承知。それでも愛を貫く姿がりりしい。

 ウジェニー・グランデという女性が貫いた愛は、思いを寄せる相手に対してのものではなくて、自分自身の恋…

投票(21コメント(0)2025-02-09

源氏物語 7 (新潮日本古典集成 新装版)

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源氏物語 7 (新潮日本古典集成 新装版)

「47.総角」から「50.東屋」を収録。薫の愛を受け入れないまま大君は世を去り、薫はその形代として浮舟を求めました。物語を動かすのは匂い。薫が生まれながらに持つ香の魅力が、不思議と読者を不安にします。

 「47.総角」から「50.東屋」までを収録。宇治で薫が出会った大君と中の君の姉妹。父は源氏の弟にも…

投票(20コメント(0)2025-02-02

受精 (角川文庫)【Kindle】

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受精 (角川文庫)【Kindle】

「死んだ恋人の子どもを生む」ため、全てを捨てブラジルに旅立った舞子。謎が明らかになる過程は冗長すぎ、受精の謎も想像の域を超えるほどのものではありません。私は舞子の気持ちに共感できたので読めましたが。

 子供を生んでいない私には、「自分の血を引く子がほしい」という欲求はありません。自らの遺伝子を持つ子…

投票(21コメント(0)2025-01-26

源 頼朝(上) (講談社文庫)【Kindle】

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源 頼朝(上) (講談社文庫)【Kindle】

歴史小説の醍醐味は、作者が歴史上の人物にいかに命を吹き込み、生き生きと描き出せるか。この作品では、頼朝が突然旗揚げをした理由がわかりにくく、残念ながら頼朝の人物像が浮かんで来ませんでした。上下2巻。

 中学生の時に『源頼朝』という伝記本を読んで以来、源頼朝に引き付けられています。平治の乱で父と兄を亡…

投票(17コメント(0)2025-01-13

新潮日本古典集成〈新装版〉 源氏物語 六 (新潮日本古典集成 新装版)

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新潮日本古典集成〈新装版〉 源氏物語 六 (新潮日本古典集成 新装版)

「38.夕霧」から「46.椎本」を収録。巻名だけを置いた「41.雲隠」で源氏の死と物語の終りを暗示し、物語はついに宇治十帖に突入。紫の上の死は作者が源氏に与えた最大の罰。女ばかりあはれなるものはなし。

 「38.夕霧」から「46.椎本」を収録。巻名だけを置いた「41.雲隠」で主人公光源氏の死と物語の終…

投票(17コメント(0)2024-12-23

イエスに邂った女たち (講談社文庫)【Kindle】

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イエスに邂った女たち (講談社文庫)【Kindle】

聖書に登場する女性たちについて、著者が自由に考察したもので、意外に肩の力を抜いて読むことができます。基督教美術に触れたとき、また遠藤周作の小説やヨーロッパ文学を読むときの、一助となることでしょう。

 聖書に登場する女たちについて、遠藤周作が自由に書いた本で、タイトルからイメージするよりもずっと、肩…

投票(22コメント(0)2024-12-14

オリヴァー・ツイスト

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オリヴァー・ツイスト

ディケンズ2作目の長編。往年の作品に比べストーリーは単純で、それ故のわかりやすさが人気の理由でしょうか。純粋な孤児の少年オリヴァーと、フェイギン率いるスリ集団。私が心惹かれたのは、悪人たちの方でした。

 ディケンズの2作目の長編ということで、晩年の傑作 『大いなる遺産』 と比べると、ストーリーは単純で…

投票(26コメント(0)2024-12-01

王者の妻【Kindle】

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王者の妻【Kindle】

豊臣秀吉の正妻おねねの生涯を描いた作品です。戦国の世を、下層階級から天下人にまで上り詰めた秀吉。おねねの生涯もさぞ波乱万丈であったことでしょうが、常に冷静さを失わない、庶民的なその姿が印象的です。

 豊臣秀吉の正妻おねねの生涯を描いた作品です。刊行は1971年。この時代に、歴史の表舞台に立っている…

投票(23コメント(0)2024-11-24

真珠郎 「由利先生」シリーズ (角川文庫)【Kindle】

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真珠郎 「由利先生」シリーズ (角川文庫)【Kindle】

「真珠郎」とは美少年の名前。耽美的な雰囲気作りに徹した作風で、事件の謎解きとしては物足りなさを感じます。もう一編は「孔雀屏風」。美しい屏風の謎を巡る時空を超えた恋。これも非常に雰囲気のある作品です。

 「真珠郎」とは何かと思ったら、美少年の名前でした。要は、太郎とか助三郎とかの「郎」で、真珠郎。 …

投票(21コメント(0)2024-11-16

柳橋物語・むかしも今も (新潮文庫)

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柳橋物語・むかしも今も (新潮文庫)

江戸の貧しい市井の人々の強さとぬくもりが染み渡る中編2作。「人間はそれぞれ弱いところや痛いところをもっている、お互いに庇いあい助け合ってゆくのが本当だ」。だからおせんも直吉も、きっと幸せになれる。

 収録されているのはふたつの中編。どちらも、江戸の貧しい市井の人々の強さとぬくもりが染み渡る佳作です…

投票(25コメント(0)2024-11-02

源氏物語 5 (新潮日本古典集成 新装版)

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源氏物語 5 (新潮日本古典集成 新装版)

「34.若菜上」から「37.鈴虫」を収録。柏木と女三の宮の密通を描き、物語は最大のクライマックスを迎えます。父がすべてを知っていたであろうことにようやく気付いた源氏。物語は一気に悲劇へと突き進みます。

 「34.若菜上」から「37.鈴虫」までを収録。源氏は40歳から50歳。因果応報、罪と罰。柏木と女三…

投票(19コメント(2)2024-10-20

最後の将軍―徳川慶喜

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最後の将軍―徳川慶喜

徳川慶喜とはどういう人物だったのか、司馬遼太郎がそれを語ります。先を見通す目を持つ彼は、早くから攘夷の成らざるを予見し幕府の終焉を見ていました。卑怯で独善的。いえ私には、孤独で悲しい人物と映りました。

 幕末を舞台にしたテレビドラマを見たり小説を読んだりすると、徳川慶喜は必ず登場します。しかしその人物…

投票(24コメント(0)2024-10-14
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