サバンナの動物親子に学ぶ



タイトルが説教じみているので、ふだんなら触手は動かない種類の本。あいにく、義理があって読んでみたら、意外──ケッコウいける。羽仁は、だてにアフリカ通いしていたわけじゃなかったんだね。
四六判上製本一二八ページの本書は、カラー刷りの挿絵がふんだんに入った大活字本である。 文章…

本が好き! 1級
書評数:84 件
得票数:1336 票
一時、タウン紙(休刊)に書評を連載したので、その一部を再録し、執筆スタイルを変えて書下ろしをしていきます。ブログでは、「戦前の新聞を読んでビックリ」で各種広告類を画像掲載とともに寸評、「徘徊人の歳時記」では写真を付して駄句をひねり、戦前の漫画家の絵もピックアップして公開中。



タイトルが説教じみているので、ふだんなら触手は動かない種類の本。あいにく、義理があって読んでみたら、意外──ケッコウいける。羽仁は、だてにアフリカ通いしていたわけじゃなかったんだね。
四六判上製本一二八ページの本書は、カラー刷りの挿絵がふんだんに入った大活字本である。 文章…




哀感漂うも、愉しく読める。終戦直後の浅草界隈の実演小屋で生きる、旅芸人・復員兵・戦災孤児・ストリッパーたちの珍妙な共同生活を描いた佳作。タウン紙に発表した書評(2011年)の再録。
明治初期の遊郭を舞台にした小説『漂砂のうたう』で、本年度(2011)上半期の直木賞(第一四四回)を…

下田歌子と言えば、実践女子大の創立者。女子教育のパイオニアで歌人。しかし、伊藤博文ら有力者を手玉にとった美貌の好色辣腕家とも評される。本書の評価は如何?2015年タウン紙に発表した書評の再録。
大卒の女性が累増し、働く希望者も多いのに、職場でキャリア相応の仕事を任されている人はまだ少ない。女…




俳優座出身の名女優が、プロデューサー、監督、脚本家、マネージャー、ヘアメイク、衣装担当、作曲家、音響効果担当、踊りの師匠等と対談。市原主導による俳優人生懐古録。2014年、タウン紙に発表の書評を再録。
大人も子ども楽しんで見たTVアニメ『まんが日本昔ばなし』は、昭和五十年(一九七五)から二十年間つづ…



お茶スル機会はだれにもあるんでしょうから、一読して損はない。茶道を学べなんて、コムズカシイこと書いていないし。以前、タウン紙に発表した書評の再録。
熱中症にならぬよう、こまめに水分補給が必要な季節である。水筒など持たずにノドが渇いたとき、外出先で…



伯爵家に生まれ、若いころに放蕩した歌人(「ゴンドラの唄」作詞者)が、古稀間近になってつづった枯淡のエッセイ。2011年1月、タウン紙に発表した書評の再録。
「いのちみじかし 恋せよおとめ/あかきくちびる あせぬまに……」という「ゴンドラの唄」を初めて口ずさ…





「わが日本の文明は、なんと薄汚れてしまったことか!」と本書を読んで嘆かれる御仁もおられるのではないか。和辻哲郎文化賞受賞の不朽の名著。2011年4月、タウン紙に発表した書評の再録。
著者は、幕末から明治維新前期にかけて、日本と日本人はがらりと変わってしまったと説く。現在の日本の文…




新幹線開業50年。その開発にあたった技術者群像を描き、高速化への労苦と工夫を多数のインタビューをもとに構成。鉄ちゃんでなくても面白い。2014年11月、タウン紙に発表した書評の再録。
今年(2014)は、新幹線が開業して五十年目にあたる。本年はまた、リニア中央新幹線についての報道も…



自分の人生に指針を与えてくれそうな人を「おじさん」と括って、紹介・論評をくわえた随筆集(2014年10月、タウン紙に発表した書評の再録)
永江朗(ながえ・あきら)は一九五八年生まれ。法政大学文学部哲学科出身のフリーライターである。大学で…




捕物小説の金字塔。芝居・映画・TVでお馴染みの、懐かしの時代劇傑作集(2014年10月、タウン紙に発表した書評を再録)。
「親分、大変(てえへん)だッ」という、ガラッ八の決まり台詞でお馴染みの時代劇、銭形平次の原作選集(全…




アラブ人とイスラム教について、分かりやすく語られた対談集。吉村は元イスラム教徒(エジプト人と長く結婚生活していた)。曽野はクリスチャンで、ユダヤ教など一神教に詳しい。2015年3月執筆の書評。
一月初め(2015年)、ムハンマドの風刺画を掲載した週刊誌の本社を、イスラム過激派のテロリストたち…




歴史探索の手がかり提供ハンドブックとして、良質な中身充実本。2015年4月執筆の書評。
古都、と言えばヨーロッパではローマ、日本では奈良・京都がすぐ思い浮かぶ。それぞれ、世界文化遺産の歴…



司馬遼太郎ファンには耳がいたいかもしれない1冊。歴史観はさまざまだと、教えてくれる。本書評は2015年5月執筆したもの。
NHKの大河ドラマ『花燃ゆ』の視聴率が低い。俳優がどうの、脚本がどうのと批判され、番組の中途打切り…




昆虫に関する、選り抜きの面白い話題がワンサカ! ビックリすること請け合い。
昆虫と言えば、思い浮かぶ人名の第一はファーブルであろう。彼の『昆虫記』は、虫の生態と、それを調べる…




澄明で繊細、微かな芳香さえ立ち上るような歴史ロマン。第三回日経小説大賞受賞作。2014年1月、タウン紙に発表した書評再録。
二〇一一年十月、第三回日経小説大賞を受賞した作品である。受賞を告知する日本経済新聞の記事によれば、…



東京墨田区の下町で、幼馴染みである74歳の爺さんコンビが、ドタバタ暴れる明るい人情譚。2014年2月のタウン紙に発表した書評の再録。
書名のマル囲みの「政」と「源」の装飾文字は、そのままだと誤読しかねないから、表紙カバー(表1)に「…



本書を原作として、山田洋次監督が2014年に映画化した。その封切り直前に執筆、タウン紙に発表した書評の再録。
本紙「ギンザタイムス」2月号(二〇一四年)が出る頃には、映画『小さいおうち』(監督・山田洋次/出演…




幕末、中山道藪原宿で、櫛挽職人の家に生まれた娘が、親の仕事に魅せられ職を継ごうとする。貧しい職人一家の喜怒哀楽を淡々と描いた秀作。本書評発表後、第9回中央公論文芸賞、第27回柴田錬三郎賞をダブル受賞。
社会の底辺で生きる人たちに目を向け、実直にひそやかに暮らす人を描いて定評がある作者の最新作。初出は…




慶應義塾大学文学部で、「昭和の大衆演藝」と題された連続講話をまとめたもの。エノケン・ロッパから吉本興業、志ん生・文楽まで、豊富なエピソードを交えて語った味わい深い作品。
著者・矢野は、演藝の「藝」の字について、「芸」の字を使わない。その理由は「修辞上の美学みたいなもの…




東北に住む作家自身の生活を、小説世界へと、きめ細かく紡ぎ織り上げた短篇群。佐伯を知るための格好の作品集である。
佐伯一麦(さえき・かずみ)は、一九五九年生まれの小説家である。ペンネームの一麦は、「ありふれた麦畑…