女のいない男たち



予定通りの短編集でした。「予定通り」とは、村上春樹氏は「大長編小説→長い目の中編小説→短編小説集」というサイクルを見事に長期にわたって守り続けていらっしゃる方で、つくづく頭の下がる勤勉振りであります。
とりあえず、予定通りの短編集でありました。 「予定通り」と書いたのは、これは有名な話ですが、村…

本が好き! 1級
書評数:245 件
得票数:4011 票
純文学読み始めはや数十年。病膏肓に入る状態。でも純文学以外が嫌いなわけではありません。
5年ぶりに書評をアップしました。純文学への偏愛は変わりませんが、少し柔軟にアップしていきたいと思います。よろしくお願いします。



予定通りの短編集でした。「予定通り」とは、村上春樹氏は「大長編小説→長い目の中編小説→短編小説集」というサイクルを見事に長期にわたって守り続けていらっしゃる方で、つくづく頭の下がる勤勉振りであります。
とりあえず、予定通りの短編集でありました。 「予定通り」と書いたのは、これは有名な話ですが、村…




読書メモを見ていたら私は本作を今回を含め3回読んだことがわかります。しかし、どーも本作は好きになり切れません。そこで思い立って、本当に久しぶりに本書の3回目の読書にチャレンジしました。
読書メモを見ていたら、私は本作を今回を含め3回読んだことがわかります。(1回目なんか、刊行されてす…




村上春樹の新刊小説が出た時、これは買わねばならないな、さあ今度はどう楽しませてくれるかなという気持ちを持てることは、とてもわくわくと嬉しいものです。 そんな作家は、長く日本になかったような気がします。
村上春樹の新刊小説が出た時、これは買わねばならないな、さあ、今度はどう楽しませてくれるかなという気…




鴎外についての本を読んでいますと、「扣鈕(ぼたん)」という詩がいろんなところに出てきます。それを何度となく読んでいると、とても哀感があっていい詩に思えてくるのですが、本当にいい詩なんでしょうかね。
鴎外についての本をあれこれ読んでいますと、「扣鈕(ぼたん)」という詩がいろんなところに出てきます。…




図書館で予約して後日現物を見て、えっ?と思ってしまいました。全集本で400ページあります。ページを繰ってみるとセリフによる改行もあまりなく、ほぼ一面文字だらけの400ページ。…うーん、と唸って……。
図書館で予約して、後日現物を見て、「えっ?!」と思ってしまいました。 「全集本」で400ページ…




20冊近くの主に森鴎外の伝記関係の本を読んでいました。面白かったのは、鴎外の評価が真っ向から分かれていることです。それは結局のところ、陸軍軍医という国家組織の中に生きた鴎外について、彼のかなり……
わたくしの「ひとり鴎外祭り」読書ですが、20冊近くの主に森鴎外の伝記関係の本を読んでいました。 …




鴎外関係の本を読んでいて、面白さは尽きるところがありません。アマゾンなどで調べても、そのたぐいの関連書は星の数ほども出てきます。「文豪」ですからねー。同じく明治日本のもう一人の文豪である漱石について…
鴎外関係の本を読んでいて、面白さはなかなか尽きるところがありません。また、アマゾンなどで調べても、…




このお話は、昔たぶん大学時代に一度読みました。この度全く久しぶりに読み直してみて、少しびっくりしました。異様に高いリーダビリティであります。この見事な文章、全くもって見事な文章であります。
(略)やがてリリーは部屋の隅ッこの方へ行って、壁にぴったり寄り添うてうずくまったまま、身動き一つ…




以前にも触れたことがありますが、何を隠そうわたくしは大学は文学部の出身で、それも日本文学を専攻しており、さらに谷崎潤一郎が卒業論文であったりました。そんなことで冒頭の本書はウン十年前に買った本です。
以前にも触れたことがありますが、何を隠そうわたくしは大学は文学部の出身で、それも日本文学を専攻して…



世界文学の話を前振りにしようとして、しかしそのことに関して私はほぼ何も知らないもので、ちょっと恥ずかしいと思いつつ、少しだけ書きます。ジイドの話なんですが、なぜか私はジイドに馴染んでしまったのですが…
えーっと、世界文学の話を前振りにしようとして、しかしそのことに関して私はほぼ何も知らないもので、ち…




武者小路実篤の幾つかの作品について読書報告をしました。そしてそのすべてにおいて、基本的なトーンは「武者小路実篤はえらい」という少し考えればとても失礼な言い回しでありました。改めて大いに反省いたします。
武者小路実篤の幾つかの作品について、読書報告をしました。 そしてそのすべてにおいて、基本的なト…



この小説のテーマは、たぶん二つです。いえ、この二つはかなり重なっているところがありますから一つと言ってもいいのですが、とりあえず二つにしておきます。これです。精神分析 性
この小説のテーマは、たぶん二つです。いえ、この二つはかなり重なっているところがありますから一つと言…




長く読み継がれる作品あるいは作家というのは、どんな小説なんでしょう。ふとそんなことが頭に浮かんだんですね。つまり『潮騒』は、三島由紀夫は読み継がれるだろうか、ということなんですけれど。
長く読み継がれる作品あるいは作家というのは、一体どんな小説・小説家なんでしょうね。 上記の小説…



東日本大震災から9年が過ぎて、そろそろ評価の定着した文芸作品が出始めてもいいころであります。(個人的にはもう少し先かなとは思いますが。)本作がそれに値するのか、……これはなかなか難しい問題ですね。
この文庫の裏表紙の宣伝コピーに、こうあります。 「震災後文学の頂点」 東日…




とりあえず夫婦というカテゴリーで考えるのですが、自分の連れ合いが死ぬというのはどういったものなんでしょうか。何をいまさら。そんな経験をした方は世間に五万といらっしゃる、そのうちの誰かに尋ねれば……。
とりあえず夫婦というカテゴリーで考えるのですが、自分の連れ合いが死ぬというのはどういったものなんで…




ドイツのことを何も知りません。いえ居直っているわけではありません。我ながら困ったことだなとは思いつつも、何といいますか、なかなかえいやっ!と、改めて西洋史の勉強をしようという気になれないんですね……。
ドイツのことを何も知りません。 いえ、居直っているわけではありません。我ながら困ったことだなあ…





創作を「作曲と演奏」に喩えるのはさほど驚くような比喩ではありませんが、両者の比重が前半と後半で異なるとか、幾度か入れ替わるとかの説明は実践に裏打ちされた観察と理論であり、唸ってしまうほど上手です。
例えばこんな個所を挙げてみます。 最も便利な譬えとして音楽の場合を借りると、創作とは作曲…




何といいますか、世の中には不思議な感心の仕方をしてしまう小説というものがやはりあるものですね。今回報告する小説がそうだと言っているわけですが。「感動」といってしまうのとは少し違う気がしますが……
冒頭早々ですが、えー、何といいますか、世の中には不思議な感心の仕方をしてしまう小説というものが、や…




道造と太宰は顔見知りだったんですね。本作に点景として、爽やかな風のように現れる夭折した浪漫派詩人の姿は、「テリヤの純粋種」と少々揶揄的な表現ながら、本当に一瞬の爽やかな風のように捉えられています。
本作中に、こんな爽やかな場面が、こんな風に描かれています。 太宰はちょうど東大仏文科に在…




この間まで森鴎外の伝記関係の本を何冊かまとめて読んでいましたら、結構おもしろかったものの、20冊近く読んだらちょっともう鴎外はいいかなという気になりまして、じゃ次は誰にしようと考えたのが太宰治でした。
この間まで森鴎外の伝記関係の本を何冊かまとめて読んでいましたら、結構おもしろかったものの、20冊近…