ファーストラヴ
女子大生による父親殺し。犯人の動機を探る臨床心理士・由紀を主人公として、犯人の心の闇を解き明かすのですが、由紀自身の心にも大きな闇が潜んでいます。重層的に悲惨な虐待を描く直木賞受賞作です。
虐待と貧困が家庭の破壊と悲劇を生むことは自明の理で、最近の小説ではこの2つの話をテーマにしたものが多…
本が好き! 1級
書評数:2213 件
得票数:30083 票
「本を褒めるときは大きな声で、貶すときはもっと大きな声で!!」を金科玉条とした塩味レビューがモットーでございます。
女子大生による父親殺し。犯人の動機を探る臨床心理士・由紀を主人公として、犯人の心の闇を解き明かすのですが、由紀自身の心にも大きな闇が潜んでいます。重層的に悲惨な虐待を描く直木賞受賞作です。
虐待と貧困が家庭の破壊と悲劇を生むことは自明の理で、最近の小説ではこの2つの話をテーマにしたものが多…
女の生き方4景。いずれも今は平穏な生活の中に過去のしがらみや、新たな波紋が暗い影を射して主人公の心を揺さぶります。
「天国の蝿」 「でーれーガールズ」同様原田の故郷岡山を舞台にした私小説風の作品です。ろくでもない父…
極度に専門性が高く素人には想像もできない音楽界の話を、素人でもすんなり受け入れられるほどにかみ砕いて示してくれる篠田の筆力はすごい。
後書きで筆者自身が「殺人のないミステリ」を書こうと意図したといっています。その通りに音楽界にはある…
女たちの本当の地獄は終戦後に起きていた。銃後を守り塗炭の苦しみに耐えてきた日本の女性たちの戦争は、終戦後にこそ苛烈を極める。
終戦時日本・本土内にいた女たちは空襲による直接の被害、喪ったり傷ついたりした家族、もちろん食糧事情…
美術小説というジャンルを日本で切り開いた原田さんが、青春ドラマに挑戦です。いつもと違って肩の凝らない軽いタッチ。出身地岡山を舞台にしたご当地小説です。
原田マハは中学生以降を岡山で暮らしているので、その体験に基づく私小説風になっていますが、あくまでも…
バリバリのキャリアウーマンと恋に落ちて結婚した三低男の悲喜劇。そもそもわがままな嫁の妊娠、出産に振り回され、育児に苦しめられる笑えない話にジーンときます。
「百年の恋」とはタイトルこそロマンチックなものの、内容はダメダメ男の育児日記のようで、かなり予想を…
親子関係のもつれで犯罪者になった教師。その姿を自分に重ね合わせて不安に思うイクメン刑事。シリーズ最終話にふさわしい落としどころとなっています。
主人公の大友鉄は妻・菜緒を10年前に交通事故で亡くし、男手1つで息子を育てる大友鉄刑事のシリーズ で…
イケメンでイクメンの刑事が結婚詐欺事件を担当。適材適所と思いきや、そもそものスジヨミが外れていて、大苦戦です。
結婚詐欺の操作をする二課からおとり捜査の依頼を受ける大友。イケメン刑事だから頼まれるのは適材適所で…
ディストピア、終末戦争、家族小説…いろんな切り口から勝たれれるべき篠崎にしてはめずらしいどたばたSF 近未来小説で筒井康隆を彷彿させる好著です。
物語の時代設定は2075年(成慶58年)で、日本は幾多の災害や経済危機を経て高度管理社会となってい…
世界一小さい規模の陰謀小説。それでも十分楽しめちゃうのが米澤なんだなぁ
一応推理小説なのですよ。小さなコミュニティーで次々に起こる奇怪な事件。おかげでこの村には誰も住まな…
信長に攻められ有岡城に籠城する荒木村重。しかし長い籠城中いくつもの怪奇事件が発生し人心を惑わせます。これらを解決する探偵役は、城の地下牢の囚人・黒田官兵衛。最後は官兵衛の深淵なる知略が披露されます。
第166回直木賞、第12回山田風太郎賞、「ミステリが読みたい!2022年版」、「このミステリーがす…
農薬は毒か必要悪かというところから導入して、世界飢饉、農業の未来へと早大に話を広げる対策になっています。飽食日本反省すべし。
物語の発端はドローンによって散布されていた農薬が事故により子供たちの頭上に撒かれて健康被害を起こす…
精神科医師が焼死、その妻が失踪、その患者と弟子の医師がそれぞれ自殺。怒涛の死人の登場と、それを上回る関係者ら登場人物の多さ。京都弁の女刑事が女の勘を武器に真犯人に迫ります。
複雑で幾重にも絡む人間関係がかなり面倒な小説です。特に司法試験浪人で塾講師の日向雄太は物語に頻出し…
古着屋総兵衛影始末シリーズ第十一弾にしていよいよ最終巻。大黒丸による海洋冒険シーンを経て、江戸へ帰還した総兵衛。いよいと宿敵柳沢一党と最後の決戦と思いきや・・・。
長い長いこの娯楽冒険大作もいよいよ最終巻ですが、まだまだ未解決問題が山積していまして、この…
隠密時代劇として読んでいたのですが、微妙に路線が変更されて、いまや海洋冒険小説となったシリーズ第10弾です。
琉球沖の大黒丸遭難で総兵衛不在の江戸の大黒屋では息を潜めるような暮らしが続いた。総兵衛の死が確実な…
前巻で海戦を経験した総兵衛ですが、そこで文明の進んだ海外の武力の強大さを思い知るのでした。そして外国との交易を広げるために琉球へ向かいますがそこにも敵の罠が待ち受けていました。
古着屋総兵衛影始末シリーズ第九弾。前巻で海戦を経験した総兵衛ですが、そこで文明の進んだ海外の武力の…
綱吉亡き後の天下を伺い、甲賀忍者を雇った柳沢吉保。それを阻止しようと暗躍する大黒屋。甲賀忍者たちの妖術に苦戦し、若い手下を失う総兵衛たち鳶沢一族。最後はこのシリーズ初の海戦シーンが登場します。
古着屋総兵衛影始末シリーズ第八弾。完全に悪役である柳沢吉保とその部下たちと総兵衛を頭とする影の旗本…
二千石の大船・大黒丸のあわただしい処女航海と、大黒屋の庇護者である大目付本庄豊後守勝寛の娘・絵津の嫁入りのために江戸から加賀までを警護する総兵衛道行のドラマです。
いつもは屋敷に忍び込んだり、待ち伏せして襲ったりとせめて敵を倒してきた鳶沢一族でしたが、今回は嫁入…
ここまでの飛沢一族の相手は小悪党や武芸者ばかりだったが、本巻では柳沢との全面戦争となり、初めて騎馬軍団との対決です。しかも名門武田騎馬隊の復活で、武田VS徳川の争いが再現されます。
今回は調子に乗って、幕府転覆のクーデターを画策する柳沢親子の暴走を未然に抑える大黒屋面々の手柄話で…
北町奉行所に捕らえられ、総兵衛は苛烈な拷問を受け瀕死の状態に。かつてない危機を救ったのは意外な人物で・・・。敵味方交錯する本巻です。
歌舞伎の名優団十郎が役者仲間から殺された事件から始まる本巻。実は大黒屋総兵衛は団十郎の相談を持ち掛…