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読んでない本の書評を書こう

登録日:2014年10月13日 03時32分
ほんものの魔法使
タイトル:ほんものの魔法使
著者:ポール・ギャリコ
出版社:筑摩書房
発売日:2006-02-09
価格:819円
平均レート:★★★★
テーマ主催者:
NicolBolas さん
NicolBolasさん

テーマの説明

読んでない本の書評をあてずっぽで書く
 ↓
その本を読んだ人が書評を読んで「何言ってんだこいつwww」ってなる
 ↓
世界の幸福度が増す

という流れを目指します。
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  1. 1
    主催者
    NicolBolas
    NicolBolas さん
    「ゲームの中でかけがえのない分身を育てた経験が子供を育てる練習ともなり、結婚に興味を向かわせる」
     政府のバックアップを受けてスタートした超大型オンラインRPG『ユニゾンモンスター』は大流行し、企業アカウントのモンスターデータが株価に影響するまでになった。

     『ユニモン』では自分のモンスターをユニゾン(結婚)させてパワーアップできる。
     主人公、優樹のモンスターはユニゾン前の『ソロモン』。
     そして1月前に告白されて断った愛夏のモンスターが、実は最高のユニゾン相性だと発覚する。

     今時の小学生の間では、初恋の相手とモンスターをユニゾンさせるのは常識。
     ユニモンに夢中な優樹は、愛夏とつきあわなくてはならない。しかしユニゾン目当てではクラス中から総スカンされてしまう。
     愛夏を本気で好きになったと、みんなに信じさせなくてはならない。

     優樹の、脱ソロモンのための偽証が始まった――
    投稿日:
    2014年10月13日 17時42分
    GOOD!1コメントを全件表示1

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    • GOOD!010/13 17:57
       という内容の青春コメディ。
       面白いのはユニモンのシステムで、自分のモンスターはゲーム内でユニゾンしているモンスターペアの子供としてゲームに登録される。子供は親を選べないし、今時のゲームには珍しく詳細な能力値設定なんてできず、すべてランダム。名前すら自分では決められず、親がいい加減ならひどい名前をつけられてしまう。最初のうちはデータも貧弱で、親モンスターに守られていないとすぐに死んでしまう。でも親ゲーマーだって人の子、子供のお守りより自分のゲームを楽しみたい……。
       
       一見コミカルでほのぼのした、ハイテク化されても変わらずに存在するノスタルジックな光景を描く――と見せかけて、ゲームという装置を使ってかなり重い家族小説を書いている。
       もちろんゲームはゲームで、ゲームの中で人を殺したってそれは現実とは関係ない。
       でもユニモンはシステムがあまりに生々しく現実を模しているので、その中に生きた世界を垣間見てしまうのだ。
       この、データの相性が合わなくなってきたからとユニゾンを解消された雌モンスターは、どんな気持ちで子供を育てているんだろう、と。
       
       個人的に気になったのは、クラスでただ一人、授業でやるまでユニモンをやっていなかった倉内くん。
       操作に慣れていなくてうまく歩けずみんなに笑われてたけど、みんなと同じように動けずに笑われているこのモンスターはどんな気持ちなんだろうな、とか。倉内くんはすぐにユニモンやらなくなってしまったけど、ゲーム内に残っている彼のモンスターは寝たきりみたいな生活をしているのだろうか。たまに「ぼけたお婆ちゃんが急にはっきりしたことを言い出す」っていう話を聞くけど、ずっとログインしなかったプレイヤーが久々にログインした瞬間なのかなそういうの、とか。
       いろいろ考えちゃいました。
    • 2
      主催者
      NicolBolas
      NicolBolas さん
      大の日本びいきの作者が、「日本語に翻訳した時に真の姿が現れるように」初めから言葉を選んで書いた実験作。
      主人公・愛梨珠の脳裏にひっそりと存在するファンタジーの世界「闇の国」。これは邪悪な人たちが住む世界ということではなく、「闇」の字源にまで遡った訳語で、「視覚に捉えられない」の意。原語はUnseenだ。

      Unseenの名の通り、この国は愛梨珠が意識して作った世界ではなく、彼女自身も存在を知らない無意識の中に存在し、無意識とともに変容する。
      クラスメイトの「言いまつがい」を聞き違えて「魔使い?って何?」と聞き返した時に、闇の国を守る「いい魔使い」と、それに敵対する存在が生まれた。
      投稿日:
      2014年10月19日 17時40分
      GOOD!1コメントを全件表示1

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      • GOOD!010/19 17:40
        面白いのが、魔使いの勝利のために騒動する闇の国の住人たち。
        愛梨珠のささいな言動や思いつきが大きな影響を与えるので、みんなで必死になって愛梨珠の意識を逸らすように無意識を刺激したりする。村長は古来から伝わる「愛梨珠が小学3年の2学期に階段から落ちた時の動き」を模した踊りを村のみんなで踊る。(もっとも、闇の国の住人たちは愛梨珠の存在を認識していない)そうすると愛梨珠はその時の記憶が蘇って、目の前のことから意識を逸らす、ということだが、これでみんなで一斉に倒れた時の挿絵が、ヴォイニッチ写本のパロディ。他にも秘教司祭は古文書(愛梨珠の小学1年の夏休みの絵日記や、なんでもない一日の記録)を読み漁り、魔使いの敵を弱める連想を導く単語を組み合わせた呪文の詠唱をする。ああなるほど、魔法の呪文が意味わかんないのってこういう……と、コミカルな話なのに深奥に作者の魔術観が横たわっていて読み応えがある。

        最初のうちこそ章単位で2つの世界の話が別々に進行するものの、次第にこれが混じり合ってきてスピード感のある展開に。これが、闇の国も愛梨珠の意識の一部であるので、心理描写としても面白い。
        愛梨珠が部屋の鍵を閉めて布団をかぶると、闇の国のアリスの目の前でカーテンが閉められ女王との謁見は終了に、外から来るノックの音は闇の国のシェドニィの家のドアを鳴らし、シェドニィは謎の訪問者を恐れて決して開けるなと妻に言う。
        闇の国の住人というのは生活の個々のシーンで起きる、意識で捉えられない一瞬の微かな連想の断片、ないしその擬人化なのだが、それが束となって物語としても成立している。

        最後に愛梨珠への誤解が解けることで闇の国を覆っていた黒雲が晴れ、魔使いの敵たちが滅んで行くところは、二つの物語が同時に、しかも互いが互いを補完しあう結末となっていて、とてもカタルシスがあった。
      • 3
        主催者
        NicolBolas
        NicolBolas さん
         主人公の荒川滋が家庭崩壊するところから話は始まります。
         幸せだった家庭に、父親が連帯保証人になった借金から不和が広がり、やがて滋が帰ってくると一家心中……。

         置き手紙には、「お前は血は繋がっていないから、巻き込まれる必要はない」と書いてあります。
         弁護士に「君にまで借金が及ぶことはないから」と言われても納得のできない滋。

         血ってそんなに大事なのか? いっしょに暮らした時間が真実じゃないのか?
         それだけの違いで、立ち上がっておしっこも行けなくなってた婆ちゃんや、何も知らない小学2年生の妹まで死ななければならなかったのか――?

         そんな彼を養子に引き取ったのが小暮大輔、荒川家を心中に追い込んだ借金取りで、実は血の繋がった父であることもわかります。

         滋の「俺は小暮じゃない、たとえ橋の下で拾われても俺は荒川滋だ」の言葉が胸に突き刺さるようでした。
        投稿日:
        2014年11月20日 03時37分
        GOOD!0コメントを全件表示0

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