夏の雨さん
レビュアー:
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有吉佐和子の面白さはここにも
先日CS放送された1974年公開の日本映画「三婆」を観る機会があった。
原作は、最近『青い壺』で再び人気が高まっている有吉佐和子が
1961年に文芸誌「新潮」に発表した短編小説である。
中村登監督の映画は田中絹代ら三人の名女優の競演で面白かったので、
有吉の原作はどんな作品だったのか興味があった。
原作と映画が違うということはよくあるし、それが一概に悪いわけではない。
映画の脚本は戦後の日本映画で多くの作品を手掛けた井手俊郎が手掛けているが、
原作ともっとも違うのが、有島一郎扮する亡くなった金満家の会社に勤める男の存在で、
有吉の原作には男は登場しない。
つまり、原作ではまさに女三人の熾烈な戦いのみが表現されている。
次に映画では小鹿ミキ扮する本妻に仕えている女中の花子が三人の女たちのその後を見届ける重要な役どころであるが、
原作では本妻の住む広い屋敷を借り受けた若い夫婦が三婆のその後を見届けている。
といったようにいくつか映画ならではの変更はあるが、
なによりも大きいのは時代背景だろうか。
有吉の原作は戦後まもない多くの人たちが住宅事情で苦しんでいた時期での話として描かれていて、
本妻小姑妾の三人がひとつの屋敷に住む経緯もそんな時代ゆえということもある。
しかも、高齢の女三人の物語ということもあって、1961年の発表時よりも
映画化がなされた1974年の方が女性問題、高齢化などが現実味を帯びていったといえる。
さらに、時代が進んで現代ではより深刻化していることを考えれば、
有吉佐和子の先見性には舌をまく。
原作は、最近『青い壺』で再び人気が高まっている有吉佐和子が
1961年に文芸誌「新潮」に発表した短編小説である。
中村登監督の映画は田中絹代ら三人の名女優の競演で面白かったので、
有吉の原作はどんな作品だったのか興味があった。
原作と映画が違うということはよくあるし、それが一概に悪いわけではない。
映画の脚本は戦後の日本映画で多くの作品を手掛けた井手俊郎が手掛けているが、
原作ともっとも違うのが、有島一郎扮する亡くなった金満家の会社に勤める男の存在で、
有吉の原作には男は登場しない。
つまり、原作ではまさに女三人の熾烈な戦いのみが表現されている。
次に映画では小鹿ミキ扮する本妻に仕えている女中の花子が三人の女たちのその後を見届ける重要な役どころであるが、
原作では本妻の住む広い屋敷を借り受けた若い夫婦が三婆のその後を見届けている。
といったようにいくつか映画ならではの変更はあるが、
なによりも大きいのは時代背景だろうか。
有吉の原作は戦後まもない多くの人たちが住宅事情で苦しんでいた時期での話として描かれていて、
本妻小姑妾の三人がひとつの屋敷に住む経緯もそんな時代ゆえということもある。
しかも、高齢の女三人の物語ということもあって、1961年の発表時よりも
映画化がなされた1974年の方が女性問題、高齢化などが現実味を帯びていったといえる。
さらに、時代が進んで現代ではより深刻化していることを考えれば、
有吉佐和子の先見性には舌をまく。
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ニックネーム「夏の雨」は、宮本輝さんの「朝の歓び」という作品の中の一節、「あなたが春の風のように微笑むならば、私は夏の雨となって訪れましょう」から、拝借しました。
「本のブログ ほん☆たす」という名前で、本についてのブログを運営しています。
ブログでは書評のほかに、その本を読んだ時の「こぼれ話」や本の話題など掲載しています。
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- 出版社:講談社
- ページ数:288
- ISBN:9784061983007
- 発売日:2002年06月10日
- 価格:1260円
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