紅い芥子粒さん
レビュアー:
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醜い善と美しい悪。作者の怪しい文章に幻惑されながら、宗教とは何であろうと考えた。
蓮如(1415ー1499)は、浄土真宗本願寺派第八世宗主。
本願寺中興の祖といわれる人である。
85年の生涯に五人の妻をもち、27人の子を成した。
一向一揆は、蓮如の代に始まった。
物語の主人公は二人。
ひとりは、堅田の湖賊の娘、乙女。
もうひとりは、蓮如の四女、安寿。
琵琶湖西岸の堅田は、水運で栄える村、支配層の地侍も百姓も本願寺門徒だ。
堅田の人々は、舟を操り、海賊のようなこともする。
乙女は、母と祖母に育てられ、父親はいない。
蓮如上人の私生児らしいが、母からはっきりとそう告げられたわけではない。
応仁の乱が始まったころで、京では戦乱が絶えない。
戦乱は地方にも飛び火して、世の中が騒がしい。
堅田も、しばしば戦場になった。
本願寺と対立していた山門(比叡山)の兵たちが、攻めてくるのである。
そのころ蓮如は、湖西湖南の拠点を転々としていた。
襲撃があれば、蓮如上人は、供のものに囲まれ、まっさきに逃げ出す。
まっさきに逃げるあのお人が、わたしの父か―― 乙女は、いつか母に問いただしたいと思っていたが、母は、いくさで殺されてしまった。
母を亡くした乙女は、お上人様の幼いお子たちの子守で暮らしをたてる。
その中で、ひとつ年上の安寿と知り合った。
安寿は、蓮如上人の四女である。
安寿の母は、蓮如の二人目の妻。第一夫人との間にすでに四男三女があった。
第一夫人の没後に妻となったのが、安寿の母である。
乙女と知り合ったとき、安寿は十一歳で、そのとき五、六人の弟妹がいた。
つぎつぎと生まれてくる子を、蓮如は、さながら戦国大名のように本願寺の勢力拡大に使う。女子ならば有力な寺院や武家と婚姻させる。
門徒からは生き仏のように崇められている父だが、安寿の目には欲の塊のような醜悪な男に映る。
戦乱、天変地異、飢饉、疫病……
下層に生きる乙女には、過酷な時代だった。
人買いにだまされ、売られ、買われ、また売られ……乙女の性は蹂躙された。
「なむあみだぶつ」と唱えさえすれば、殺した者も姦した者も救われるという”御仏の教え”は、乙女にとっては絶望と怒りでしかない。
政治の道具にされはしても、お上人様の令嬢の安寿の人生は、恵まれているといえなくもない。
醜い善と美しい悪。
作者の怪しい文章に幻惑されながら、宗教とは何であろうと考えた。
本願寺中興の祖といわれる人である。
85年の生涯に五人の妻をもち、27人の子を成した。
一向一揆は、蓮如の代に始まった。
物語の主人公は二人。
ひとりは、堅田の湖賊の娘、乙女。
もうひとりは、蓮如の四女、安寿。
琵琶湖西岸の堅田は、水運で栄える村、支配層の地侍も百姓も本願寺門徒だ。
堅田の人々は、舟を操り、海賊のようなこともする。
乙女は、母と祖母に育てられ、父親はいない。
蓮如上人の私生児らしいが、母からはっきりとそう告げられたわけではない。
応仁の乱が始まったころで、京では戦乱が絶えない。
戦乱は地方にも飛び火して、世の中が騒がしい。
堅田も、しばしば戦場になった。
本願寺と対立していた山門(比叡山)の兵たちが、攻めてくるのである。
そのころ蓮如は、湖西湖南の拠点を転々としていた。
襲撃があれば、蓮如上人は、供のものに囲まれ、まっさきに逃げ出す。
まっさきに逃げるあのお人が、わたしの父か―― 乙女は、いつか母に問いただしたいと思っていたが、母は、いくさで殺されてしまった。
母を亡くした乙女は、お上人様の幼いお子たちの子守で暮らしをたてる。
その中で、ひとつ年上の安寿と知り合った。
安寿は、蓮如上人の四女である。
安寿の母は、蓮如の二人目の妻。第一夫人との間にすでに四男三女があった。
第一夫人の没後に妻となったのが、安寿の母である。
乙女と知り合ったとき、安寿は十一歳で、そのとき五、六人の弟妹がいた。
つぎつぎと生まれてくる子を、蓮如は、さながら戦国大名のように本願寺の勢力拡大に使う。女子ならば有力な寺院や武家と婚姻させる。
門徒からは生き仏のように崇められている父だが、安寿の目には欲の塊のような醜悪な男に映る。
戦乱、天変地異、飢饉、疫病……
下層に生きる乙女には、過酷な時代だった。
人買いにだまされ、売られ、買われ、また売られ……乙女の性は蹂躙された。
「なむあみだぶつ」と唱えさえすれば、殺した者も姦した者も救われるという”御仏の教え”は、乙女にとっては絶望と怒りでしかない。
政治の道具にされはしても、お上人様の令嬢の安寿の人生は、恵まれているといえなくもない。
醜い善と美しい悪。
作者の怪しい文章に幻惑されながら、宗教とは何であろうと考えた。
掲載日:
書評掲載URL : http://blog.livedoor.jp/aotuka202
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読書は、登山のようなものだと思っています。読み終わるまでが上り、考えて感想や書評を書き終えるまでが下り。頂上からどんな景色が見られるか、ワクワクしながら読書という登山を楽しんでいます。
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