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ビシャカナ
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SNSの時代に、あえて100字――じわじわ効く小説体験
以前にも投稿した。「ほぼ100字の小説」シリーズの一冊。

今作も、ホラーともシュールともわからないワンシーンを切り取ったような表現が基調となっている。なかには詩のような作品もあり、ときに不思議と胸に残る一編もある。短い文章だからこそ読者の想像力を大きく喚起し、感性にハマると強い。この独特の読後感はシリーズならではだ。

嵐の翌朝、海岸で神様を拾った。 神様は蛸に似ている というか、蛸そのもの。 それでも自分は神様だ、と主張する。 たとえ火あぶりにされようとも 意見を最後まで曲げなかった その態度はなかなか立派だ。 うまかったし。

この作品集では珍しく起承転結がハッキリしている一作だが、人を食ったようなオチに思わずしてやられる。本当にうまかったのだろう。

爪にするか鱗にするか羽にするか、 次までに決めておくように、 と言われたが、 爪も鱗も羽もすでに持っているし、 いったいどういう意味で 尋ねられているのか、 とか考えているうちに次が来てしまって、 こうなった。

「どうなったんだ?」と思わず聞きたくなる。「こんなになっちゃった」と言い出す『ちいかわ』のキメラの姿が思い浮かぶ。可笑しさと恐怖が同居する。

この路線の前から三両目がそうらしい。 本当かどうか知らないが、 私も天井近くにいるのを見たことがある。 蜆ほどの大きさの地味な蝶だ。 今の時期、 地下鉄を利用して公園から公園へとわたる。 そんな蝶の道だと言うのだ。

メルヘンでありながら現実にも接続している一編。蝶には特定のルートを巡回する「蝶道」という習性が実在する。それを踏まえると、この奇妙な情景も現実の延長のように感じられてくる。読者の認識によって印象が大きく変わる作品だろう。

思えば最近、X(旧Twitter)では一投稿140文字という制限がありながらも、自動翻訳機能の実装によって、かつてないほど異文化交流が行われている。世界中の人々がスマホ一つで繋がる時代だ。

その一方で、本という媒体でほぼ100字という制限のなか、作品と読者が一対一で向き合い、想像力と感性を呼び覚ます体験は、むしろ異質だ。これから先、そうした読書体験は、じわじわと希少な意味を帯びていくのかもしれない。

ところで、この書評も、ほぼ1000字に収まっている――はずだ。
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ビシャカナ
ビシャカナ さん本が好き!1級(書評数:631 件)

月に二十冊読むこと、週に一つは長文書評を投稿することが目標。

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