「ホンノワ」テーマ:
『源氏物語』をみんなで読んでみよう!
登録日:2024年01月10日 14時53分
テーマの説明
週1・1帖を基本に『源氏物語』をみんなで読み進めようという企画です。
底本は青空文庫の与謝野晶子訳としますが、参加者の皆さんは、原典でも他の現代語訳でもオーディオブックでも、それぞれ都合の良いもので読み進めてください。
後追いしやすいように1帖ずつスレッドを立てるので、「ここが面白い」「あれはひどい」「この解釈は?」「これは○○の元ネタでは?」などなど、ぶら下がりコメントに感想を書き込んでください。
(書き込みは必ずぶら下がりコメントでお願いします。)
後追いはもちろん、興味のあるところだけのつまみ食い参加も大歓迎!
皆さんのご参加お待ちしております!
※尚、更新は毎週水曜日を予定しています。
底本は青空文庫の与謝野晶子訳としますが、参加者の皆さんは、原典でも他の現代語訳でもオーディオブックでも、それぞれ都合の良いもので読み進めてください。
後追いしやすいように1帖ずつスレッドを立てるので、「ここが面白い」「あれはひどい」「この解釈は?」「これは○○の元ネタでは?」などなど、ぶら下がりコメントに感想を書き込んでください。
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皆さんのご参加お待ちしております!
※尚、更新は毎週水曜日を予定しています。
この読書会は終了しました。
[主催者の終了メッセージ]
長期間にわたりご参加ありがとうございました。おかげさままで楽しく充実した読書会となりました。
尚、新規スレッドは立てられませんが、ぶらさがりコメント欄は引き続きご利用頂けます。
長期間にわたりご参加ありがとうございました。おかげさままで楽しく充実した読書会となりました。
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どの天皇様の御代であったか、女御とか更衣とかいわれる後宮がおおぜいいた中に、最上の貴族出身ではないが深い御愛寵を得ている人があった。最初から自分こそはという自信と、親兄弟の勢力に恃たのむ所があって宮中にはいった女御たちからは失敬な女としてねたまれた。その人と同等、もしくはそれより地位の低い更衣たちはまして嫉妬しっとの焔を燃やさないわけもなかった。夜の御殿の宿直所から退る朝、続いてその人ばかりが召される夜、目に見耳に聞いて口惜しがらせた恨みのせいもあったかからだが弱くなって、心細くなった更衣は多く実家へ下がっていがちということになると、いよいよ帝はこの人にばかり心をお引かれになるという御様子で、人が何と批評をしようとも…
……続きは青空文庫で↓
https://aozora.binb.jp/reader/...
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興味深いお話、楽しみにしています。\(^o^)/
一応、桐壺について書いてみました。
光源氏、すばらしい名で、青春を盛り上げてできたような人が思われる。自然奔放な好色生活が想像される。しかし実際はそれよりずっと質素な心持ちの青年であった。その上恋愛という一つのことで後世へ自分が誤って伝えられるようになってはと、異性との交渉をずいぶん内輪にしていたのであるが、ここに書く話のような事が伝わっているのは世間がおしゃべりであるからなのだ。自重してまじめなふうの源氏は恋愛風流などには遠かった。好色小説の中の交野の少将などには笑われていたであろうと思われる。
中将時代にはおもに宮中の宿直所に暮らして、時たまにしか舅の左大臣家へ行かないので、別に恋人を持っているかのような疑いを受けていたが……
……続きは青空文庫で↓
https://aozora.binb.jp/reader/...
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話としては面白かったのですが、「笑ってはいけない」ような気がしています。
https://www.honzuki.jp/book/321867/review/301209/
眠れない源氏は、
「私はこんなにまで人から冷淡にされたことはこれまでないのだから、今晩はじめて人生は悲しいものだと教えられた。恥ずかしくて生きていられない気がする」
などと言うのを小君は聞いて涙さえもこぼしていた。非常にかわいく源氏は思った。思いなしか手あたりの小柄なからだ、そう長くは感じなかったあの人の髪もこれに似ているように思われてなつかしい気がした。この上しいて女を動かそうとすることも見苦しいことに思われたし、また真から恨めしくもなっている心から、それきり言づてをすることもやめて、翌朝早く帰って行ったのを、小君は気の毒な物足りないことに思った。女も非常にすまないと思っていたが、それからはもう手紙も来なかった。
続きは青空文庫で↓
https://aozora-dev.binb.jp/rea...
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まだ物語は序章にすぎないのですが、すでに混乱してきました(私が)。
女性に対する源氏の全方位的な興味と行為は、若さゆえのエネルギーなのでしょうか。今後に期待しています(何を?)
https://www.honzuki.jp/book/322042/review/301250/
書きました
…(前略)…
秘密な恋をする者の苦しさが源氏にわかったであろうと思われる。
こうした空蝉とか夕顔とかいうようなはなやかでない女と源氏のした恋の話は、源氏自身が非常に隠していたことがあるからと思って、最初は書かなかったのであるが、帝王の子だからといって、その恋人までが皆完全に近い女性で、いいことばかりが書かれているではないかといって、仮作したもののように言う人があったから、これらを補って書いた。なんだか源氏に済まない気がする。
こんな風に締めくくられる「夕顔」の全文は青空文庫で↓
https://aozora.binb.jp/reader/...
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「夕顔」、読みました。
夕顔を突然失ったあとの光君の憔悴ぶりが…。
惟光がいてくれてよかったね。
いろんな台詞や歌があったのですが、
町の男たちの会話が面白かったので、
今回はそれを比べてみましたー
https://www.honzuki.jp/book/322027/review/301230/
いよいよ幕が上がった、という感じですね^^;;
そろそろ人物関係図が必要になってきました…。
https://www.honzuki.jp/book/216708/review/301548/
源氏物語 05 若紫【Kindle】
(前略)顔つきが非常にかわいくて、眉のほのかに伸びたところ、子供らしく自然に髪が横撫でになっている額にも髪の性質にも、すぐれた美がひそんでいると見えた。大人になった時を想像してすばらしい佳人の姿も源氏の君は目に描いてみた。なぜこんなに自分の目がこの子に引き寄せられるのか、それは恋しい藤壺の宮によく似ているからであると気がついた刹那にも、その人への思慕の涙が熱く頬を伝わった。尼君は女の子の髪をなでながら、
「梳かせるのもうるさがるけれどよい髪だね。あなたがこんなふうにあまり子供らしいことで私は心配している。……
ついにあの子が登場!全文は青空文庫↓で
https://aozora.binb.jp/reader/...
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書きました
「あさか山浅くも人を思はぬになど山の井のかけ離るらむ」
が、これなら幼い彼女にもわかるだろうと、
当時の手習い歌としてもっともポピュラーなもののひとつ
「あさか山影さへ見ゆる山の井の浅くは人を思ふものかは」をもじったものであったというのは、
どこかの解説で読んで知っていたのですが、
今読んでいる本で、尼君の返歌
「汲み初めてくやしと聞きし山の井の浅きながらや影を見すべき」が
源氏の君が依ったのと同じ『古今和歌六帖』の「あさか山」の近くに収められている
「くやしくぞ汲みそめてける浅ければ袖のみ濡るる山の井の水」をもじったものだと知って、
おそらく当時の読者の「常識」に裏打ちされているのであろう、
このやりとりを改めて読み返して「うーむ」とうなっています。
いやね、現代小説だって、元ネタを知らないで読み流してしまうことなど、山ほどあるんですけれどね(^^ゞ
源氏物語 06 末摘花【Kindle】
(前略)…すわった背中の線の長く伸びていることが第一に目へ映った。はっとした。その次に並みはずれなものは鼻だった。注意がそれに引かれる。普賢菩薩の乗った象という獣が思われるのである。高く長くて、先のほうが下に垂たれた形のそこだけが赤かった。それがいちばんひどい容貌の欠陥だと見える。顔色は雪以上に白くて青みがあった。額が腫れたように高いのであるが、それでいて下方の長い顔に見えるというのは、全体がよくよく長い顔であることが思われる。痩やせぎすなことはかわいそうなくらいで、肩のあたりなどは痛かろうと思われるほど骨が着物を持ち上げていた。なぜすっかり見てしまったのであろうと後悔をしながらも源氏は、あまりに普通でない顔に気を取られていた。…
全文は青空文庫↓で
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みなさんの感想・書評も、とても楽しく拝見しています!
同時代(平安時代)の人々が、どんなふうにこの物語を読んだのかも、知りたいと思いました。
すっかり式部様の手のひらで踊らされ始めました。。。
https://www.honzuki.jp/book/322738/review/301907/
今回新たに「げんじものがたり/いしいしんじ」を手に取りましたが、これまた全く違った物語。
いやあ、ほんとにいろいろあるなあ。
https://www.honzuki.jp/book/322517/review/302061/
源氏物語 07 紅葉賀【Kindle】
朱雀院の行幸は十月の十幾日ということになっていた。その日の歌舞の演奏はことに選りすぐって行なわれるという評判であったから、後宮の人々はそれが御所でなくて陪観のできないことを残念がっていた。帝も藤壺の女御にお見せになることのできないことを遺憾に思召して、当日と同じことを試楽として御前でやらせて御覧になった。
源氏の中将は青海波を舞ったのである。二人舞の相手は左大臣家の頭中将だった。人よりはすぐれた風采のこの公子も、源氏のそばで見ては桜に隣った深山の木というより言い方がない。夕方前のさっと明るくなった日光のもとで青海波は舞われたのである。
続きは青空文庫で↓
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もうね、しょうがない男の子たちだわあとずっと苦笑。
源典侍のような女房、当時も多かったのでしょうかねえ。
https://www.honzuki.jp/book/322679/review/302860/
GWくらいまではちょっと落ち着かないので遅れがちになりますが、頑張ってついていきます!
夏くらいには追いつけるかなあ。。。
いやなんか、ちょっと想像していたのとは違った趣というか、いい話的なひと花(?)でした。webでも拾い読みできると思うので、興味のある方はぜひ!w
源氏物語 08 花宴【Kindle】
二月の二十幾日に紫宸殿の桜の宴があった。玉座の左右に中宮と皇太子の御見物の室が設けられた。弘徽殿の女御は藤壺の宮が中宮になっておいでになることで、何かのおりごとに不快を感じるのであるが、催し事の見物は好きで、東宮席で陪観していた。日がよく晴れて青空の色、鳥の声も朗らかな気のする南庭を見て親王方、高級官人をはじめとして詩を作る人々は皆探韵をいただいて詩を作った。源氏は、
「春という字を賜わる」
と、自身の得る韵字を披露したが、その声がすでに人よりすぐれていた。次は頭中将で、この順番を晴れがましく思うことであろうと見えたが、きわめて無難に得た韵字を告げた。声づかいに貫目があると思われた。その他の人は臆してしまったようで、態度も声もものにならぬ…
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たしかに! これでもか~という恋愛絵巻に「源氏くん、いいかげんにしろよ…」と思っていたのですが、だんだんと、これって式部様の見た現実のほんの一部で、実際はもっとヒドイ男、エグイ女がいっぱいいたのかも(怖怖怖)…と思い始めました;;
そしてそれを、このように大衆性をもたせつつ、長く残る文学として描いた式部様…。
その力の凄さをまざまざと見せつけられている感がします。
まだ5分の1も読んでないのに圧倒されています。
平安時代の人々の感性や思想や価値観がこういう形で残っていること自体がもう奇跡かもしれない、と思います。
どうしてこんなにコンパクトにまとめられているのかしらん?と思ったのですけど、併読している帚木蓬生さんの『香子』では、紫式部が身重の時に書かれた、ということになっています。史実かどうかはともかく、なるほど、と納得してしまいました。
ちなみに『香子』では、紫式部の人生が描かれるわけですけど、どのタイミングで各帖が書かれたのかも再現されていて、劇中に『源氏物語』の現代語訳が差し挿まれる、という構成になっています。なるほど、全五巻にも及ぶわけだ……。
源氏物語 09 葵【Kindle】
天子が新しくお立ちになり、時代の空気が変わってから、源氏は何にも興味が持てなくなっていた。官位の昇進した窮屈さもあって、忍び歩きももう軽々しくできないのである。あちらにもこちらにも待って訪とわれぬ恋人の悩みを作らせていた。そんな恨みの報いなのか源氏自身は中宮の御冷淡さを歎く苦しい涙ばかりを流していた。位をお退きになった院と中宮は普通の家の夫婦のように暮らしておいでになるのである。前の弘徽殿の女御である新皇太后はねたましく思召すのか、院へはおいでにならずに当帝の御所にばかり行っておいでになったから、いどみかかる競争者もなくて中宮はお気楽に見えた。おりおりは音楽の会などを世間の評判になるほど派手にあそばして、院の陛下の御生活はきわめて御幸福なもので…
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https://www.honzuki.jp/book/323095/review/302558/
源氏物語 10 榊【Kindle】
斎宮の伊勢へ下向される日が近づけば近づくほど御息所は心細くなるのであった。左大臣家の源氏の夫人がなくなったあとでは、世間も今度は源氏と御息所が公然と夫婦になるものと噂していたことであるし、六条の邸の人々もそうした喜びを予期して興奮していたものであるが、現われてきたことは全然反対で、以前にまさって源氏は冷淡な態度を取り出したのである。これだけの反感を源氏に持たれるようなことが夫人の病中にあったことも、もはや疑う余地もないことであると御息所の心のうちでは思っていた。苦痛を忍んで御息所は伊勢行きを断行することにした。斎宮に母君がついて行くような例はあまりないことでもあったが……
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弘徽殿の大后=吉田羊さん、右大臣=段田安則さん。確かに。私もこれからそんなふうに見えそうです(www)
この帖の前半部分にちなむ演目です。六条御息所、ここの別れを思い出として、源氏のことをすっぱり忘れてしまえばよかったのになぁ・・・。でもそうではなかった彼女だからこそ思い入れがあるという読者も多いのかも?
源氏物語 11 花散里【Kindle】
みずから求めてしている恋愛の苦は昔もこのごろも変わらない源氏であるが、ほかから受ける忍びがたい圧迫が近ごろになってますます加わるばかりであったから、心細くて、人間の生活というものからのがれたい欲求も起こるが、さてそうもならない絆ほだしは幾つもあった。
麗景殿の女御といわれた方は皇子女もなくて、院がお崩れになって以後はまったくたよりない身の上になっているのであるが、源氏の君の好意で生活はしていた。この人の妹の三の君と源氏は若い時代に恋愛をした。例の性格から関係を絶つこともなく、また夫人として待遇することもなしにまれまれ通っているのである。
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源氏物語 12 須磨【Kindle】
当帝の外戚の大臣一派が極端な圧迫をして源氏に不愉快な目を見せることが多くなって行く。つとめて冷静にはしていても、このままで置けば今以上な禍いが起こって来るかもしれぬと源氏は思うようになった。源氏が隠栖の地に擬している須磨という所は、昔は相当に家などもあったが、近ごろはさびれて人口も稀薄になり、漁夫の住んでいる数もわずかであると源氏は聞いていたが、田舎といっても人の多い所で、引き締まりのない隠栖になってしまってはいやであるし、そうかといって、京にあまり遠くては、人には言えぬことではあるが夫人のことが気がかりでならぬであろうしと、煩悶した結果須磨へ行こうと決心した。この際は源氏の心に上ってくる過去も未来も皆悲しかった。
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権力闘争に巻き込まれそうになった上に、葵上の死、藤壺の出家、六条御息所の伊勢下向、などなど、懇意にしていた女性たちとの別れが続き、ちょっと鬱気味となったのかしらん。
光君は須磨に来てよかったかもしれないけど、残された女性たちはたまったものではないのでは。紫の上はひとりぼっちになってしまうし、光君と通じてしまった尚侍の君(朧月夜)は〈参内停止の処分を受け、世間の笑い者となってひどく落ちこんでいる〉(角田光代訳)とあるし。
全体にみんなめそめそしていてなんだか重苦しい帖ですけど、そうしたところへ、頭中将が須磨までやってきて、雰囲気を和ませてくれる。こうしたキャラクターの配置、登場のさせ方が絶妙に巧いですね。さすが。
明石の入道も登場し、新たな展開への期待感も高めてくれていて、続きが気になります。どうする?光君?(古いw
源氏物語 13 明石【Kindle】
まだ雨風はやまないし、雷鳴が始終することも同じで幾日かたった。今は極度に侘しい須磨の人たちであった。今日までのことも明日からのことも心細いことばかりで、源氏も冷静にはしていられなかった。どうすればいいであろう、京へ帰ることもまだ免職になったままで本官に復したわけでもなんでもないのであるから見苦しい結果を生むことになるであろうし、まだもっと深い山のほうへはいってしまうことも波風に威嚇されて恐怖した行為だと人に見られ、後世に誤られることも堪えられないことであるからと源氏は煩悶していた。このごろの夢は怪しい者が来て誘おうとする初めの夜に見たのと同じ夢ばかりであった。
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なにかが変わる、というよりも、くぐり抜ける、その経験こそが重要なのかもしれませんね。村上作品で言うところの「壁ぬけ」のような。
そうした「壁ぬけ」を紫式部がどこまで意図していたのかはわかりませんが、いまや世界文学の最先端にいる村上春樹がやっていることを、すでに1000年前にやっていたとしたら……やっぱり紫式部、恐るべし、ですねぇ(笑)
まだ半分も読んでいないのに、これからどうなっていくのでしょう…@@;;!
源氏物語 14 澪標【Kindle】
須磨の夜の源氏の夢にまざまざとお姿をお現わしになって以来、父帝のことで痛心していた源氏は、帰京ができた今日になってその御菩提を早く弔いたいと仕度をしていた。そして十月に法華経の八講が催されたのである。参列者の多く集まって来ることは昔のそうした場合のとおりであった。今日も重く煩っておいでになる太后は、その中ででも源氏を不運に落としおおせなかったことを口惜しく思召すのであったが、帝は院の御遺言をお思いになって、当時も報いが御自身の上へ落ちてくるような恐れをお感じになったのであるから、このごろはお心持ちがきわめて明るくおなりあそばされた。
続きは青空文庫↓で
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やっぱり六条御息所はインパクトありますよね。
林真理子だけでなく、派生作品も結構あるようですし…。
>千世さん
紫式部が仕えた藤原道長の娘彰子も12歳で後宮入りしていますからねえ。
政争の道具とされる女たちの悲哀を描く式部の腕も確かということなのかな。
それでも「蓬生」「関屋」と読むと、かつて関わった女を捨て置かないところは、源氏の君のいいところなのかも…とも思ったりも。
須磨に流され澪標で都への復権。
光の君はここで一皮剥けた感じがします。
いつの世も、欲しいものは”女・権力・金”。
窯変4の光の君もそろそろ30代にかかる頃。
どんどん生々しくなってきました。
源氏物語 15 蓬生【Kindle】
源氏が須磨、明石に漂泊っていたころは、京のほうにも悲しく思い暮らす人の多数にあった中でも、しかとした立場を持っている人は、苦しい一面はあっても、たとえば二条の夫人などは、源氏が旅での生活の様子もかなりくわしく通信されていたし、便宜が多くて手紙を書いて出すこともよくできたし、当時無官になっていた源氏の無紋の衣裳も季節に従って仕立てて送るような慰みもあった。
続きは青空文庫↓で
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※誠に勝手ながら主催者の都合により次週(5/1)分もまとめてアップします。
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なんと!ヴァージニア・ウルフの『灯台へ』が『源氏物語』の「蓬生」などに直接影響を受けているのではないかというお話です。
https://x.com/yukikonosu/status/1845670229827051529
源氏物語 16 関屋【Kindle】
以前の伊予介は院がお崩かくれになった翌年常陸介になって任地へ下ったので、昔の帚木もつれて行った。源氏が須磨へ引きこもった噂も、遠い国で聞いて、悲しく思いやらないのではなかったが、音信をする便すらなくて、筑波おろしに落ち着かぬ心を抱きながら消息の絶えた年月を空蝉は重ねたのである。限定された国司の任期とは違って、いつを限りとも予想されなかった源氏の放浪の旅も終わって、帰京した翌年の秋に常陸介は国を立って来た。
続きは青空文庫↓で
https://aozora.binb.jp/reader/...
※今週(4/24)に2週分アップしたので、次回更新は5/8になります。
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物語序盤に源氏と関りを持った女性空蝉のその後を描いた巻です。とはいえ、空蝉は源氏を拒んだ女性。そこがまた、前帖の末摘花とは違った意味で、数ある女性陣の中で非常な個性を放っていると言えます。
そんな女性と源氏との一抹の邂逅を描いて、短いながら詩的で美しい巻です。
それにしても、ひたすら源氏を待ち続けた末摘花が、源氏の別宅に身を寄せておそらくは幸せと想像される生活を得たのに対して、源氏を拒んだ空蝉は、夫に先立たれ、継子たちには疎まれたりいらぬ懸想をされたりして、出家するよりなかったとは…。
物語としては面白いのですが、なんだかなあと思ってしまいます。
源氏物語 17 絵合【Kindle】
前斎宮の入内を女院は熱心に促しておいでになった。こまごまとした入用の品々もあろうがすべてを引き受けてする人物がついていないことは気の毒であると、源氏は思いながらも院への御遠慮があって、今度は二条の院へお移しすることも中止して、傍観者らしく見せてはいたが、大体のことは皆源氏が親らしくしてする指図で運んでいった。院は残念がっておいでになったが、負けた人は沈黙すべきであると思召して、手紙をお送りになることも絶えた形であった。しかも当日になって院からのたいしたお贈り物が来た。御衣服、櫛の箱、乱れ箱、香壺の箱には幾種類かの薫香がそろえられてあった。源氏が拝見することを予想して用意あそばされた物らしい。源氏の来ていた時であったから、女別当は…
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色々な要素がギュッと詰まった濃い帖でした!
中央復帰した源氏、恋も政治も芸術も…いきいきと活動中;;
そんな中、栄華は長くは続かないことを予感している件もあるのですが、その真意がどこにあるのかは…まだ分かりません。
まだまだ一波乱二波乱(いやそれ以上)ありそうですね;;
https://www.honzuki.jp/book/323831/review/304447/
劇中で交わされる「竹取物語」「宇津保物語」「伊勢物語」評なども興味深かったです。現代人の我々から見たら、それらはすべて「古典」としてひとくくりにされるけれども、紫式部の頃は、竹取物語は古典、宇津保物語は今様、伊勢物語はちょっと前のお話、という感じだったのかもしれませんね。現代に例えるなら、源氏物語、漱石、村上春樹、といった距離感でしょうか。その距離感から発せられる「批評」が面白い。当時の人たちは、それぞれの物語をそう読んでいたのか、と。
それから当時の絵画鑑賞は、もちろん美術品としての素晴らしさを愛でる面もあったでしょうけど、どちらかといえば、アルバム写真や記録映画を観る、という意味合いのほうが強かったのかもしれないとも思いました。エンタメだった。だから楽しそうw
それにしても、なにかと張りあってくる権中納言がおかしいですね。けして嫌なキャラとして描かれていなくて、むしろ「いいやつ」。紫式部はほんとうにキャラの立て方がうまい!
源氏物語 18 松風【Kindle】
東の院が美々しく落成したので、花散里といわれていた夫人を源氏は移らせた。西の対から渡殿へかけてをその居所に取って、事務の扱い所、家司の詰め所なども備わった、源氏の夫人の一人としての体面を損じないような住居にしてあった。東の対には明石の人を置こうと源氏はかねてから思っていた。北の対をばことに広く立てて、かりにも源氏が愛人と見て、将来のことまでも約束してある人たちのすべてをそこへ集めて住ませようという考えをもっていた源氏は、そこを幾つにも仕切って作らせた点で北の対は最もおもしろい建物になった。中央の寝殿はだれの住居にも使わせずに、時々源氏が来て休息をしたり、客を招いたりする座敷にしておいた。
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明石の上が母尼君と姫君と共についに上京します。源氏の度重なる誘いにもためらい続け、結局は源氏がそのために用意した東の院ではなく、そこから離れた大井川のほとりに居を定めることになりました。そんな女の気持を色々想像します。住み慣れた明石や父との別れが寂しいだけではないでしょう。何せ二条の院には紫の上を始め、自分よりうんと身分の高い女たちが大勢いて、しかも誰も子を生んでいないわけですから。嫉妬渦巻く女の園は恐ろしいです。下手をすれば桐壺の更衣の運命です。
常に自信たっぷり、俺様系のはずの源氏が、年下の紫の上を前にすると、なんか気を遣ってもごもごした感じになるのがおかしいです。明石の上と姫君を巡って、何となくぎくしゃくした2人の様子がどこか微笑ましく感じられるのは、2人の絆が確かなことがわかっているから。でも、その裏にいる女たち(紫の上も含まれる)のあれこれは、波風が立たないなんてことは決してなく、嵐のようにすさまじいことでしょう。
姫君を紫の上に育ててほしいと頼む源氏と、姫君のかわいらしさを想像して微笑む紫の上。紫の上の機嫌が直ったのは良かったけれど、娘を取られる明石の上の姿が、源氏の胸にも読者の心にもちらつきます。
それはともかく、娘を思う入道の気持ちについつい環境移入して読んでしまいました。僕も親の一人ではあるので(娘じゃないけどw
源氏物語 19 薄雲【Kindle】
冬になって来て川沿いの家にいる人は心細い思いをすることが多く、気の落ち着くこともない日の続くのを、源氏も見かねて、
「これではたまらないだろう、私の言っている近い家へ引っ越す決心をなさい」
と勧めるのであったが、「宿変へて待つにも見えずなりぬればつらき所の多くもあるかな」という歌のように、恋人の冷淡に思われることも地理的に斟酌をしなければならないと、しいて解釈してみずから慰めることなどもできなくなって、男の心を顕わに見なければならないことは苦痛であろうと明石は躊躇をしていた。
「あなたがいやなら姫君だけでもそうさせてはどう。こうしておくことは将来のためにどうかと思う。私はこの子の運命に予期していることがあるのだから……
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源氏物語 20 朝顔【Kindle】
斎院は父宮の喪のために職をお辞しになった。源氏は例のように古い恋も忘れることのできぬ癖で、始終手紙を送っているのであったが、斎院御在職時代に迷惑をされた噂の相手である人に、女王は打ち解けた返事をお書きになることもなかった。九月になって旧邸の桃園の宮へお移りになったのを聞いて、そこには御叔母の女五の宮が同居しておいでになったから、そのお見舞いに託して源氏は訪問して行った。故院がこの御同胞がたを懇切にお扱いになったことによって、今もそうした方々と源氏には親しい交際が残っているのである。
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読者それぞれが様々な読み方、受け止め方をして、想像力が搔き立てられるからこそ、この物語は名作なのでしょうね!
私は読んでいて、紫の上の源氏を想う気持が深いからこそ、苦しいのかな…と思い、その苦しさの方が印象に残りました。
紫の上の心の内を、源氏にしっかりと受け止めてほしいのですが…。
今後の展開が楽しみなような、怖いような…;;
また次帖、みなさまの感想を楽しみにしております!
引き続き、よろしくお願いいたします^^/
光君はあいかわらずですね。32歳にもなって、いまだ朝顔の君に熱をあげたままの光君は、ほんとうに成長しない。そんな光君へに恋心を抱きながらも、しっかりと一線をキープする朝顔。彼女のほうがずっと大人。
そんなあいかわらずの光君に冷や水を浴びせるかのように、再登場する源典侍が、なんだか妖怪じみていて面白かったです。こうしたトリックスター的な脇役を、絶妙なタイミングで登場させてくる紫式部の才に、またも驚かされるばかり。
夢枕に立った藤壺にも恨み節を言われて、そりゃそうだよな、ちょっとは反省しろよな光君――などと(藤壺ファンの身としては)思わずにはいられませんでした(笑)
源氏物語 21 乙女【Kindle】
春になって女院の御一周年が過ぎ、官人が喪服を脱いだのに続いて四月の更衣期になったから、はなやかな空気の満ち渡った初夏であったが、前斎院はなお寂しくつれづれな日を送っておいでになった。庭の桂の木の若葉がたてるにおいにも若い女房たちは、宮の御在職中の加茂の院の祭りのころのことを恋しがった。源氏から、神の御禊の日もただ今はお静かでしょうという挨拶を持った使いが来た。
今日こんなことを思いました。
かけきやは川瀬の波もたちかへり君が御禊の藤のやつれを
紫の紙に書いた正しい立文の形の手紙が藤の花の枝につけられてあった。
続きは青空文庫↓で
https://aozora.binb.jp/reader/...
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でも実際に六条にあったようですし、源融も天皇の子だし、と思うと興味がわきます。
https://www.yoritomo-japan.com/nara-kyoto/kawarain.html
千世さんが書いていらっしゃるように、六条院のモデルとなったとも言われる、源融の六条河原院を舞台にした作品です。
立派なお邸だったんでしょうねぇ。
(個人的には、平安貴族が「塩焼き」に魅かれるのがなぜなのかがよくわからないっす(^^;))
源氏物語 22 玉鬘【Kindle】
年月はどんなにたっても、源氏は死んだ夕顔のことを少しも忘れずにいた。個性の違った恋人を幾人も得た人生の行路に、その人がいたならばと遺憾に思われることが多かった。右近は何でもない平凡な女であるが、源氏は夕顔の形見と思って庇護するところがあったから、今日では古い女房の一人になって重んぜられもしていた。須磨へ源氏の行く時に夫人のほうへ女房を皆移してしまったから、今では紫夫人の侍女になっているのである。善良なおとなしい女房と夫人も認めて愛していたが、右近の心の中では、夕顔夫人が生きていたなら、明石夫人が愛されているほどには源氏から思われておいでになるであろう、たいした恋でもなかった女性たちさえ、余さず将来の保証をつけておいでになるような情け深い源氏で
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「少女」の帖で光君の栄華がきらびやかに描かれたましたが、ここへきてまさかの夕顔の登場。物語の序盤に登場し、あっという間に急逝したあの女性の話を、どうしてここへ持ってきたのか。なんだか一周まわって、振り出しに戻ったような不思議な感覚があります。まるでエンドレス・サマーの青春物語のよう。もしかして、光君の物語=栄華の無限ループを試みたのかもしれませんね。
しかし一方で新キャラ、玉鬘も登場する。夕顔の忘れ形見。夕顔の死の際を、光君とともにした右近も再登場し、数奇な(ちょっとご都合主義的な?)展開で、光君と玉鬘とが出会う。しかし玉鬘は、自身を「蛭児」に例える。これまた黄泉の国からの使者かのようです。やはり、光君の物語の終わりの始まりを予感さているように思えてなりません。
源氏物語 23 初音【Kindle】
新春第一日の空の完全にうららかな光のもとには、どんな家の庭にも雪間の草が緑のけはいを示すし、春らしい霞の中では、芽を含んだ木の枝が生気を見せて煙っているし、それに引かれて人の心ものびやかになっていく。まして玉を敷いたと言ってよい六条院の庭の初春のながめには格別なおもしろさがあった。常に増してみがき渡された各夫人たちの住居を写すことに筆者は言葉の乏しさを感じる。春の女王の住居はとりわけすぐれていた。梅花の香も御簾の中の薫物の香と紛らわしく漂っていて、現世の極楽がここであるような気がした。さすがにゆったりと住みなしているのであった。女房たちも若いきれいな人たちは姫君付きに分けられて、少しそれより年の多い者ばかりが紫の女王のそばにいた。
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でもなんていうか、絢爛も不穏も含めて、作品の隅々まで趣がありますよね。
ストーリーとは別にそういうところも読み応えがあるように思います。
お言葉ありがとうございます。がんばって皆さんについていきますっ!
源氏物語 24 胡蝶【Kindle】
三月の二十日過ぎ、六条院の春の御殿の庭は平生にもまして多くの花が咲き、多くさえずる小鳥が来て、春はここにばかり好意を見せていると思われるほどの自然の美に満たされていた。築山の木立ち、池の中島のほとり、広く青み渡った苔の色などを、ただ遠く見ているだけでは飽き足らぬものがあろうと思われる若い女房たちのために、源氏は、前から造らせてあった唐風の船へ急に装飾などをさせて池へ浮かべることにした。船下おろしの最初の日は御所の雅楽寮の伶人を呼んで、船楽を奏させた。親王がた高官たちの多くが参会された。このごろ中宮は御所から帰っておいでになった。去年の秋「心から春待つ園」の挑戦的な歌をお送りになったお返しをするのに適した時期であると紫の女王も思うし、源氏も……
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「変態」に限らず、晶子訳はところどころ、硬めの二字熟語が入ってくるんですよね。原文と比べるとちょっと唐突な感じを受けることもあります。
そのあたり、近代、二字熟語(「神経」とか「社会」とかそういうの)が流行語的にわーっと使われたりしたのと若干関係あるじゃないのかなーと思ったりします。何か、時代の空気的なものをちょっと感じたり。
関連あるようなないような本を読んだりしています。
『翻訳語成立事情』https://www.honzuki.jp/book/94255/review/309799/
本題と直接的な関わりがないといえば、私が引っかかっているのは「召人」で、そのうちまた(私の中で勝手に繋がっている)関連本のレビューをあげたいと思っています。
源氏物語 25 蛍【Kindle】
源氏の現在の地位はきわめて重いがもう廷臣としての繁忙もここまでは押し寄せて来ず、のどかな余裕のある生活ができるのであったから、源氏を信頼して来た恋人たちにもそれぞれ安定を与えることができた。しかも対の姫君だけは予期せぬ煩悶をする身になっていた。大夫の監の恐ろしい懸想とはいっしょにならぬにもせよ、だれも想像することのない苦しみが加えられているのであったから、源氏に持つ反感は大きかった。母君さえ死んでいなかったならと、またこの悲しみを新たにすることになったのであった。源氏も打ち明けてからはいっそう恋しさに苦しんでいるのであるが、人目をはばかってまたこのことには触れない。ただ堪えがたい心だけを慰めるためによく出かけて来たが……
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限られた相手と、限られた機会の中で出会って幸せになるのは、きっと至難の業だったのでしょうね…。
これを宿世と呼ばずに何と呼べばよいのか…。
そういう視点で読むと、この物語で描かれた事々のもつ意味も見え方が変わってくるかもしれませんね。
そんな光君を冷徹に突き放す紫式部の地の文が、相変わらず面白いです。〈うっとうしいおせっかい屋〉〈光君はこうしたことにかこつけても部屋に入りかねない人〉〈困ったたち〉などと散々な言い草です。花散里からも、兵部卿宮と比較されて〈弟君でいらっしゃるけれど、ずっと大人びてお見えでした〉なんて皮肉を言われたり。
ほんとうにどうしてしまったのか光君?というぐらい、主人公としての威厳が微塵もない。ここまであまりに完璧な光君を見てきたので、この変わりように驚くばかりです。さて、紫式部の真意はどこに?
源氏物語 26 常夏【Kindle】
炎暑の日に源氏は東の釣殿へ出て涼んでいた。子息の中将が侍しているほかに、親しい殿上役人も数人席にいた。桂川の鮎、加茂川の石臥などというような魚を見る前で調理させて賞味するのであったが、例のようにまた内大臣の子息たちが中将を訪ねて来た。
「寂しく退屈な気がして眠かった時によくおいでになった」
と源氏は言って酒を勧めた。氷の水、水飯などを若い人は皆大騒ぎして食べた。風はよく吹き通すのであるが、晴れた空が西日になるころには蝉の声などからも苦しい熱が撒かれる気がするほど暑気が堪えがたくなった。
「水の上の価値が少しもわからない暑さだ。私はこんなふうにして失礼する」
源氏はこう言って身体を横たえた。
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父親に向かって「便所掃除もやりますよ」などと言い放つさまは、現代のギャル風。早口でまくし立てるように話すその口調は、ギャル語が似合いそうです。明らかに玉鬘の引き立て役なのだけど、どうにも憎めない。トリックスター的存在ですね。頭中将、一家そろってあいかわらずいい味を出してきますね(笑)
源氏物語 27 篝火【Kindle】
このごろ、世間では内大臣の新令嬢という言葉を何かのことにつけては言うのを源氏の大臣は聞いて、
「ともかくも深窓に置かれる娘を、最初は大騒ぎもして迎えておきながら、今では世間へ笑いの材料に呈供しているような大臣の気持ちが理解できない。自尊心の強い性質から、ほかで育った娘の出来のよしあしも考えずに呼び寄せたあとで、気に入らない不愉快さを、そうした侮辱的扱いで紛らしているのであろう。実質はともかくも周囲の人が愛でつくろえば世間体をよくすることもできるものなのだけれど」
と言って愛されない令嬢に同情していた。そんなことも聞いて玉鬘は親であってもどんな性格であるとも知らずに接近して行っては恥ずかしい目にあうことが自分にないとも思われないと感じた。
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角田訳では〈光る君は琴を枕にして姫君とともに添い寝している〉とあったりします。そのあと〈こんな男女の関係があるだろうか〉とため息を漏らす、とある。二人の関係はいったいぜんたい、どこまで進んでいるのか? よくわからないですねぇ。
玉鬘、光君を毛嫌いしてるようでいて、じつはそうでもないツンデレキャラなのかも??
源氏物語 28 野分【Kindle】
中宮のお住居の庭へ植えられた秋草は、今年はことさら種類が多くて、その中へ風流な黒木、赤木のませ垣がきが所々に結われ、朝露夕露の置き渡すころの優美な野の景色を見ては、春の山も忘れるほどにおもしろかった。春秋の優劣を論じる人は昔から秋をよいとするほうの数が多いのであったが、六条院の春の庭のながめに説を変えた人々はまたこのごろでは秋の讃美者になっていた、世の中というもののように。
中宮はこれにお心が惹かれてずっと御実家生活を続けておいでになるのであるが、音楽の会の催しがあってよいわけではあっても、八月は父君の前皇太子の御忌月であったから、それにはばかってお暮らしになるうちにますます草の花は盛りになった。今年の野分の風は例年よりも強い勢いで空の色も…
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「野分」の強い風は、夕霧の心模様を映し出しているよう。養女のはずの玉鬘と父・光君との奇妙な(微妙な?)関係を目の当たりにしてしまい、〈なんとおぞましい〉と嫌悪の情を抱く。一方で、幼馴染の雲居雁への思慕を募らせる夕霧。複雑な家に育ったお坊ちゃまの苦労がしのばれますね。
変な父親に育てられて色々大変かもしれないけど、夕霧、がんばれっ!
大君は頭中将と葵の上の母でもあるわけですが、子育てには失敗気味(?)だけど、孫育てにはなかなかの成功を収めたのではないでしょうか?(^^ゞ
源氏物語 29 行幸【Kindle】
源氏は玉鬘に対してあらゆる好意を尽くしているのであるが、人知れぬ恋を持つ点で、南の女王の想像したとおりの不幸な結末を生むのでないかと見えた。すべてのことに形式を重んじる癖があって、少しでもその点の不足したことは我慢のならぬように思う内大臣の性格であるから、思いやりもなしに婿として麗々しく扱われるようなことになっては今さら醜態で、気恥ずかしいことであると、その懸念がいささか源氏を躊躇させていた。
この十二月に洛西の大原野の行幸があって、だれも皆お行列の見物に出た。六条院からも夫人がたが車で拝見に行った。帝は午前六時に御出門になって、朱雀大路から五条通りを西へ折れてお進みになった。道路は見物車でうずまるほどである。
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探してみますー!
玉鬘の出仕話をきっかけに、内大臣に真実を話す決意を固める光君。なんだかんだで光君の話を受け入れる内大臣。その噂を聞きつけて、すかさず、やいのやいの騒ぎ出す近江の君がグッジョブです。光君と玉鬘の行く末よりも、近江の君の行く末のほうがとても気になります(笑)
源氏物語 30 藤袴【Kindle】
尚侍になって御所へお勤めするようにと、源氏はもとより実父の内大臣のほうからも勧めてくることで玉鬘は煩悶をしていた。それがいいことなのであろうか、養父のはずである源氏さえも絶対の信頼はできぬ男性の好色癖をややもすれば見せて自分に臨むのであるから、お仕えする君との間に、こちらは受動的にもせよ情人関係ができた時は、中宮も女御も不快に思われるに違いない、そして自分は両家のどちらにも薄弱な根底しかない娘である。中宮や女御における後援は期して得られるものでない上に、自分の幸運げな外見をうらやんで何か悪口をする機会がないかとうかがっている人を多く持っていてはその時の苦しさが想像されると、若いといってももう少女でない玉鬘は思って苦しんでいるのである。
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そうですよね。下心のない源氏を「信じる」読者はきっと、今も昔もいらっしゃいますよね。
はなっから信じる気のない私には、目からうろこの言葉でした。
玉鬘の困った顔が目に浮かぶようですけど、『光る君へ』の影響か、彰子を演じている見上愛さんの、あの儚げというか困ったような表情と重なります(笑)
源氏物語 31 真木柱【Kindle】
「帝のお耳にはいって、御不快に思召すようなことがあってもおそれおおい。当分世間へ知らせないようにしたい」
と源氏からの注意はあっても、右大将は、恋の勝利者である誇りをいつまでも蔭のことにはしておかれないふうであった。時日がたっても新しい夫人には打ち解けたところが見いだせないで、自身の運命はこれほどつまらないものであったかと、気をめいらせてばかりいる玉鬘を、大将は恨めしく思いながらも、この人と夫婦になれた前生の因縁が非常にありがたかった。予想したにも過ぎた佳麗な人を見ては、自分が得なかった場合にはこのすぐれた人は他人の妻になっているのであると、こんなことを想像する瞬間でさえ胸がとどろいた。
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荻原規子さんは「玉鬘十帖」はスピンオフ!と言いきっていた(https://www.honzuki.jp/book/322761/review/302534/)けれど、どうなのかしら?
玉鬘に言い寄りつつも、これまでと違って、源氏の君が一歩退いていて、観察者の面と、周りを思うように動かそうとする支配者的な面を打ち出しているようにも。
それがまあ栄華を極めたということでもあるのかなあと。
結局全ては思いどおりにはいかないわけだけれど、このあたりの「栄華」は、モデルのひとりが道長だといわれるゆえんかなあとも。
源氏物語 32 梅が枝【Kindle】
源氏が十一歳の姫君の裳着の式をあげるために設けていたことは並み並みの仕度でなかった。東宮も同じ二月に御元服があることになっていたが、姫君の東宮へはいることもまた続いて行なわれて行くことらしい。一月の末のことで、公私とも閑暇な季節に、源氏は薫香の調合を思い立った。大弐から贈られてあった原料の香木類を出させてみたが、これよりも以前に渡って来た物のほうがあるいはよいかもしれぬという疑問が生じて、二条の院の倉をあけさせて、支那から来た物を皆六条院へ持って来させたのであったが、源氏はそれらと新しい物とを比較してみた。
「織物などもやはり古い物のほうに芸術的なものが多い」
といって……
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明石の姫君が裳着の時を迎え東宮も元服。入内までまもなくというところ。源氏は39歳。
裳着を前にした薫物の調合のいどみ合いが面白いです。薫物のことなど私は全く無知ですが、本当に不思議な香りが漂ってくるような気がして、こうした描写も作者はうまいなあと感心してしまいます。宇治十帖に向けて、読者に薫りを印象付ける布石のような気もしました。
そして残る源氏のもう1人の子、夕霧の運命はいかに、といったところで、これまた読者をやきもきさせる上手なしめ方。
源氏が息子に一生懸命恋愛について指南しているところが笑えます。彼なりに、自ら反省することが多々あるのでしょうね。ただ、私から言っておきます。息子はあなたとタイプが違います。警戒する相手を間違えていると思います。
ここで仕切り直し、というか、キャラたちの整理を試みたようにも思えます。華やかな宴の場面に主要キャラたちを呼び寄せ、読者にもう一度、紹介し直しているよう。
「須磨の日記」に触れている箇所などもそう。そうした自身の過去を踏まえつつ夕霧に説教する光君。お前が言うか、と突っ込みたくなりますね(笑)
源氏物語 33 藤のうら葉【Kindle】
六条院の姫君が太子の宮へはいる仕度でだれも繁忙をきわめている時にも、兄の宰相中将は物思いにとらわれていて、ぼんやりとしていることに自身で気がついていた。自身で自身がわからない気もする中将であった。どうしてこんなに執拗にその人を思っているのであろう、これほど苦しむのであれば、二人の恋愛を認めてよいというほどに伯父が弱気になっていることも聞いていたのであるから、もうずっと以前から進んで昔の関係を復活さえさせればよかったのである。しかしできることなら、伯父のほうから正式に婿として迎えようと言って来る日までは昔の雪辱のために待っていたいと煩悶しているのである。雲井の雁のほうでも父の大臣の洩もらした恋人の結婚話から苦しい物思いをしていた。
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初っぱなから語りすぎたかな…まだ足りないのですが…(^^ゞ
初めての方の参加ハードルを上げてしまったかも……。
源氏物語 34 若菜(上)【Kindle】
あの六条院の行幸のあった直後から朱雀院の帝みかどは御病気になっておいでになった。平生から御病身な方ではあったが、今度の病におなりになってからは非常に心細く前途を思召おぼしめすのであった。
「私はもうずっと以前から信仰生活にはいりたかったのだが、太后がおいでになる間は自身の感情のおもむくままなことができないで今日に及んだのだが、これも仏の御催促なのか、もう余命のいくばくもないことばかりが思われてならない」
などと仰せになって、御出家をあそばされる場合の用意をしておいでになった。皇子は東宮のほかに女宮様がただけが四人おいでになった。その中で藤壺の女御と以前言われていたのは三代前の帝の皇女で源姓を得た人であるが…
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またまたキナ臭く?なってきましたね…;;
たしかに千世さんおっしゃるように「ハッピーエンドなんかでは終わらせない」筋行きです。
ここまで読んできて、個人的な「推し」はあるものの、どの人にもそれぞれ幸せになってほしい…という気がしてきました。
本筋とは違うのですが、明石の入道、凄まじいな…と思いました。
ついに第二部に突入。ここからがクライマックスといえますが、光源氏の物語も終盤が近づくようで寂しい気がしてきました。
以下、感想です。
この年、源氏の四十の賀が盛大に取り行われました。
息子の夕霧は権中納言から右大将に昇進。娘の明石の女御は待望の皇子を出産しました。
源氏の一族はますます繁栄の一途を辿るかに見えます。
ただ一点の黒い影のように見える女三の宮の降嫁も、表面上はおめでたいことなのでしょう。
自らの出家に際し、身寄りのない姫を信頼できる確かな男に託したいと考える朱雀院の親心は、痛いほどわかります。源氏を選んだのも、まだその人物をよく知らない若者よりも、長年にわたり親しくしてきた異母弟であり、社会的な地位もトップの源氏であれば、一番安心できると思ったのでしょう。紫の上がいるとはいえ正式な正妻ではなく、女三の宮はさらに身分が上。まして関わった女性たちを誰しもきちんと庇護する源氏のやさしさを思えば、きっと大切に守ってくれるだろうとも。
それにしてもよりによって…。朱雀院が出家したと知った途端、朧月夜の尚侍に会いに行くような男ですよ。全くこの院はどれだけ人がいいのだろうと思ってしまいます。だいたい、源氏の須磨明石の流浪のことではいつも自分自身を責め、その直接の原因となった尚侍のことで源氏を全く責めようとしないのは理解できません。
この朱雀院の決断が、後にどれだけの悲劇を生むことになるか…。
どんなにつらくても、女三の宮のことを受け入れようとする紫の上は素晴らしい。
お正月に自分で源氏の四十の賀を祝った玉鬘は、大人のいい女性になったと思います。
明石の女御が皇子を生んでも、常に謙虚さを忘れない明石の上も好きです。
源氏は、こんなにも優れた女性たちに慕われているのですね。
源氏物語 35 若菜(下)【Kindle】
小侍従が書いて来たことは道理に違いないがまた露骨なひどい言葉だとも衛門督には思われた。しかももう浅薄な女房などの口先だけの言葉で心が慰められるものとは思われないのである。こんな人を中へ置かずに一言でも直接恋しい方と問答のできることは望めないのであろうかと苦しんでいた。限りない尊敬の念を持っている六条院に穢辱を加えるに等しい欲望をこうして衛門督が抱くようになった。
三月の終わる日には高官も若い殿上役人たちも皆六条院へ参った。気不精になっている衛門督はこのことを皆といっしょにするのもおっくうなのであったが、恋しい方のおいでになる所の花でも見れば気の慰みになるかもしれぬと思って出て行った。賭弓の競技が御所で二月にありそうでなかった上に…
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私も玉鬘は幸せそうに見えるんです。
源氏との関りは浅い方が女性は幸せだと思います。
人生わからないものね、と作者が言っているようです。
>源氏との関りは浅い方が女性は幸せ
千世さん、その発想はなかったww
源氏物語 36 柏木【Kindle】
右衛門督の病気は快方に向くことなしに春が来た。父の大臣と母夫人の悲しむのを見ては、死を願うことは重罪にあたることであると一方では思いながらも、自分は決して惜しい身でもない、子供の時から持っていた人に違った自尊心も、ある一つ二つの場合に得た失望感からゆがめられて以来は厭世的な思想になって、出家を志していたにもかかわらず、親たちの歎きを顧みると、この絆が遁世の実を上げさすまいと考えられて、自己を紛らしながら俗世界にいるうちに、ついに生きがたいほどの物思いを同時に二つまで重ねてする身になったことは、だれを恨むべくもない自己のあやまちである、神も仏も冥助を垂れたまわぬ境界に堕ちたのは…
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https://www.honzuki.jp/book/325741/review/309793/
柏木推しの私としては…残念至極な帖であり、源氏め~(怒∞)と思っていたのですが…人間の心とは、かくも複雑なものかと思いました。
やっぱり源氏物語は凄い作品だと、あらためて思わされました。
https://www.honzuki.jp/book/325741/review/310044/
源氏物語 37 横笛【Kindle】
権大納言の死を惜しむ者が多く、月日がたっても依然として恋しく思う人ばかりであった。六条院のお心もまたそうであった。御関係の薄い人物でも、なんらかのすぐれたところを持っている者の死は常に悲しく思召す方であったから、柏木の衛門督はまして朝夕にお出入りしていた人であったし、またそうした人たちの中でも特に愛すべき男として見ておいでになったのでもあるから、一つの問題は別としてお心に上ることが多かった。四十九日の法事の際にも御厚志の見える誦経の寄付があった。何も知らぬ幼い人の顔を御覧になってはまた深い悲哀をお感じになって、そのほかにも法事の際に黄金百両をお贈りになった。理由を知らぬ大臣はたびたび感激してお礼を申し上げた。
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作者がいつ頃から物語の全体像を描いていたのか、色々考えますよね。
横笛もそうですが、薫の美しさをあれだけ強調しているのは、いかにも次の主役だよと言っている感じがします。
あと、源氏の須磨明石のへの流嫡と、明石の上の出産は早くから決めていたように思います。そのためには、最初から他に源氏の子が生まれない設定をしておく必要がありますから。
一番気になるのは、若菜上以降をいつ考えたかです。本当は藤裏葉で終わるつもりだったのか、最初から罰を与える趣向だったのか。
考えてもわからないのですが、想像するのは面白いですね。
https://www.honzuki.jp/book/325742/review/309938/
個人的に、ものすごく面白く、興味深い帖でした。
源氏&夕霧親子のやりとりが絶品。
これぞ物語、これぞ日本文学、と思いました。
直接書かれていない部分の匂わせがすごい。
さすが、式部様…!
源氏物語 38 鈴虫【Kindle】
夏の蓮の花の盛りに、でき上がった入道の姫宮の御持仏の供養が催されることになった。御念誦堂のいっさいの装飾と備え付けの道具は六条院のお志で寄進されてあった。柱にかける幡なども特別にお選びになった支那錦で作られてあった。紫夫人の手もとで調製された花机の被いは鹿の子染めを用いたものであるが、色も図柄も雅味に富んでいた。帳台の四方の帷を皆上げて、後ろのほうに法華経の曼陀羅を掛け、銀の華瓶に高く立華をあざやかに挿して供えてあった。仏前の名香には支那の百歩香がたかれてある。阿弥陀仏と脇士の菩薩が皆白檀で精巧な彫り物に現わされておいでになった。
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これで新潮日本古典集成の5巻が終わりです。4巻と違って1帖が長いのであっという間。寂しいです(>_<)
以下、感想です。
入道の姫宮(女三の宮)の持仏開眼供養が贅を尽くして営まれ、若くして出家した姫宮のことを源氏は「かかるかたの御いとなみをも、もろともにいそがむものとは思ひ寄らざりしことなり」と泣きます。
秋好む中宮は、母御息所の死霊の噂を聞いて出家を望みますが、源氏は懸命に思いとどまらせます。
自らは「わが子」薫という重荷を背負っている中、自分より若い女性たちが出家していくのを寂しく思う気持ちはわかります。もちろん、全て源氏のせいだと思っているわけではありません。でも、自業自得だろ。
冷泉院と対面する源氏には様々な思いがあることでしょう。読者としては、なぜ柏木と薫にはそれができないのか、一方は帝となりその父は生きているのに、柏木は死ななければならなかったのかと思いが乱れます。
入道の宮の庭に放たれる虫。音感に訴えかける描写が素晴らしく、秋の虫の声が聞こえてくるかのようです。
https://www.honzuki.jp/book/353223/review/310290/
源氏物語 39 夕霧一【Kindle】
一人の夫人の忠実な良人という評判があって、品行方正を標榜していた源左大将であったが、今は女二の宮に心を惹かれる人になって、世間体は故人への友情を忘れないふうに作りながら、引き続いて一条第をお訪ねすることをしていた。しかもこの状態から一歩を進めないではおかない覚悟が月日とともに堅くなっていった。一条の御息所も珍しい至誠の人であると、近ごろになってますます来訪者が少なく、寂れてゆく邸へしばしば足を運ぶ大将によって慰められていることが多いのであった。初めから求婚者として現われなかった自分が、急に変わった態度に出るのはきまりが悪い、ただ真心で尽くしているところをお認めになったなら、自然に宮のお心は自分へ向いてくるに違いないから時を待とうと…
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「夕霧一」の「一」が漢数字だということに、昨日気づきました(笑)。
https://www.honzuki.jp/book/325747/review/310565/
私がメインのテキストにしている谷崎訳では「夕霧」は一帖なので、最初は一、二通しで感想を書いていたのですが、自分の感想も長すぎるので(分けても十分長いのですが…スミマセン)、与謝野訳に合わせて、急遽「夕霧一」の所までの感想としてアップさせていただいました。
二まで読んでいるので、その部分の感想もちょこちょこ入ってしまっていますが…ご容赦ください。
それにしても…個人的には、この帖、かなり悲しかったです…;;
源氏物語 40 夕霧二【Kindle】
恋しさのおさえられない大将はまたも小野の山荘に宮をお訪ねしようとした。四十九日の忌も過ごしてから静かに事の運ぶようにするのがいいのであるとも知っているのであるが、それまでにまだあまりに時日があり過ぎる、もう噂を恐れる必要もない、この際はどの男性でも取る方法で進みさえすれば成り立ってしまう結合であろうとこんな気になっているのであるから、夫人の嫉妬も眼中に置かなかった。宮のお心はまだ自分へ傾くことはなくても、「一夜ばかりの」といって長い契りを望んだ御息所の手紙が自分の所にある以上は、もうこの運命からお脱しになることはできないはずであると恃むところがあった。九月の十幾日であって、野山の色はあさはかな人間をさえもしみじみと悲しませているころであった。
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やっぱりこの物語の主旋律はそれぞれの女性たちの表に出し難い想いなのかも…と思ったりしているところです^^
この「夕霧」の帖は特にそれがはっきりと語られている帖だと思いました。
新潮日本古典集成では「かわいそうな」と訳していますが、色んな思いが込められている「あはれ」を現代語訳するのは、本当はとても難しいことなのかもしれません。
でもこの「あはれなるべきものはなし」にこそ、紫の上の、あるいは作者自身の、女性への深い思いが溢れているように思えます。
源氏物語 41 御法【Kindle】
紫夫人はあの大病以後病身になって、どこということもなく始終煩っていた。たいした悪い容体になるのではなかったが、すぐれない、同じような不健康さが一年余りも続いた今では目に立って弱々しい姿になったことで、院は非常に心痛をしておいでになった。しばらくでもこの人の死んだあとのこの世にいるのは悲しいことであろうと知っておいでになったし、夫人自身も人生の幸福には不足を感じるところとてもなく、気がかりな思いの残る子もない人なのであるから、こまやかに思い合った過去を持っていて自分の先に欠けてしまうことは、院をどんなに不幸なお心持ちにすることであろうという点だけを心の中で物哀れに感じているのであった。未来の世のためにと思って夫人は功徳になることを多くしながらも…
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紫の上は本当に素晴らしい女性だと思います。
源氏にとって、許されない恋でありほとんど顔を見ることもかなわなかった藤壺の宮と、正妻格として長年、いつもそばにいた紫の上とでは、愛情の形がまた違うのではないかと思います。
紫の上。美しく、賢く、心やさしい、この類まれな女性の人生は、果たして幸せだったでしょうか。幸せだったと言ってほしいというのが、一読者の切実な思いです。
自らの死に際して彼女は、何かにつけて「あはれ」を思います。後に残される源氏の悲しみをあはれと思い、自分が育てたまだ幼い三の宮と姫宮をあはれに思い、いつもならさほど目にとめることのない下々の人の顔まであはれに見渡されます。
一方の源氏はひたすら、自らの悲しみに溺れるばかり。そのためついに、紫の上の出家を許すことはありませんでした。そして源氏自身の出家も、紫の上を思う心と世間体を気にする心で、その生前も死後もなかなか決断することができません。
源氏と最も長い年月を共に過ごし、最も源氏に愛された女性。多くの人に慕われ、その死に際して悲しまない人はなかったというほどの女性。
この女性の死こそ、作者が源氏に与えた最大の罰だと思います。
https://www.honzuki.jp/book/325870/review/311233/
ついにこの帖がきてしまった…という感じです。
もう~どうしてこんなに良い人なのー?! 紫の上…;;
それに対して源氏の心中は、あいかわらずな感じですな。
単に、紫の上が居なくて淋しい、としか伝わってこないような。
ちょっと厳しすぎる観方ですかね。
亡くなって間がないから仕方がないのかもしれませんが…。
少し日が経ったほうが、悲しみが深まるのかもしれませんね。
次帖、どうなるのか…頼みますよ、源氏くん。
源氏物語 42 まぼろし【Kindle】
春の光を御覧になっても、六条院の暗いお気持ちが改まるものでもないのに、表へは新年の賀を申し入れる人たちが続いて参入するのを院はお加減が悪いようにお見せになって、御簾の中にばかりおいでになった。兵部卿の宮のおいでになった時にだけはお居間のほうでお会いになろうという気持ちにおなりになって、まず歌をお取り次がせになった。
わが宿は花もてはやす人もなし何にか春の訪ねきつらん
宮は涙ぐんでおしまいになって、
香をとめて来つるかひなくおほかたの花の便りと言ひやなすべき
と返しを申された。
続きは青空文庫↓で
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※「若菜」と「夕霧」の影響でで与謝野版と他の版では帖数がずれてきているようですが、このまま与謝野版に準じて進めさせて頂きます。ご了承ください。
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この帖は確かに、漢文も和歌も、紫式部が好きなものを存分に集めて書き切った趣がありますね。物語の終りということでしょうか。
以下、私の感想です。
紫の上の死。それこそ、作者が源氏に与えた最大の罰だと思います。
愛する紫の上に悲しまれながら看取られる、あるいは出家する人生の結末を、源氏自身は思い描いていただろうと想像します。
しかし先に紫の上に死なれた源氏の晩年は、ひたすらその悲しみに涙し、自邸の奥に閉じこもるという悲惨なものとなりました。出家をしようにも、妻に死なれた悲しみからと世間で思われるのが恥ずかしく、また悲しみのあまり仏道にも専心できないのではと考え、思い切ることができません。
さすがに気の毒にとは思いますが、この期に及んでも源氏の関心はひたすら世間体と自身の悲しみだけだとも感じます。そしてこれが、作者が光源氏という主人公に与えた結末でした。
源氏の出家が近いことを匂わせ、この帖はとじられます。当時の読者も源氏の物語の終りを悟ったことでしょう。私も寂しいです。
https://www.honzuki.jp/book/325996/review/311548/
あ~ここで光源氏様とはひとまずお別れか…と思うと、
やっぱり淋しいですね。
(キーキーと非難ばかりしていたのに…;;)
物語はまだ終わってはいませんが、ここまで読んだ限りでは、
やっぱり千年も読み継がれてきた所以も分かる気がします。
平安時代の、たとえごく一部の貴族社会の人々ではあっても、
かの時代の人の心というものが残っているのは、
この物語が残っているからなのですね…。
もうしばらく、第三世代の活躍の物語を楽しみにしています^^
源氏物語 43 雲隠れ【Kindle】
かきくらす涙か雲かしらねどもひかり
見せねばかかぬ一章 (晶子)
※「雲隠れ」の帖は冒頭の晶子詞のみで本文はありません。他の版ではどのような扱いになっているのかなど、ぜひぜひコメント欄で情報共有してください。
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ただこの巻が、作者自身によって置かれたものか、周囲の読者によるものか、後の読者によるものかはわからないとのこと。
私が思うのは、一千年も前にこんなことをやられたら、誰もまねはできないということです。最近の作家がこれをやったら、普通に源氏物語のパクリかと思いますよね。少なくとも私は。
前帖で光源氏の物語が終わることを予感した読者が、次はこの巻名だけで本当に終わってしまったのだと確信する。素晴らしい演出だと思います。
源氏物語 44 匂宮【Kindle】
光君がおかくれになったあとに、そのすぐれた美貌を継ぐと見える人は多くの遺族の中にも求めることが困難であった。院の陛下はおそれおおくて数に引きたてまつるべきでない。今の帝の第三の宮と、同じ六条院で成長した朱雀院の女三の宮の若君の二人がとりどりに美貌の名を取っておいでになって、実際すぐれた貴公子でおありになったが、光源氏がそうであったようにまばゆいほどの美男というのではないようである。ただ普通の人としてはまことにりっぱで艶な姿の備わっている方たちである上に、あらゆる条件のそろった身分でおありになることも、光源氏にやや過ぎていて、人々の尊敬している心が実質以上に美なる人、すぐれた人にする傾向があった。紫夫人が特に愛してお育てした方であったから…
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https://www.honzuki.jp/book/326007/review/311780/
まー、第三世代、やってくれそうですね…。
単なるスピンオフかと思って、気楽に楽しんで読もうと思っていたのですが、イヤイヤ…もう最初から、全部薫さまに持っていかれた感じです。
匂宮くんも、ぜひ特技発揮して、バチバチ対決してもらいたいものです!
あの二人の友情(?)に心ときめかした読者としては、孫世代の小物ぶり(?)はちょっと残念な気がしないでもありませんが、プライド高い負けず嫌いでくしゃれっ気たっぷりのプレイボーイの匂君がかつての頭中将を思わせ、鬱屈したあれこれを抱えている薫が源氏のそれを思わせるのは、巧い仕掛けだと思ってしまう私は、読者としてはちょっとひねくれていますかね?w
源氏物語 45 紅梅【Kindle】
今按察使大納言といわれている人は、故人になった太政大臣の次男であった。亡なき柏木の衛門督のすぐの弟である。子供のころから頭角を現わしていて、朗らかで派手なところのある人だったため、月日とともに地位が進んで、今では自然に権力もできて世間の信望を負っていた。夫人は二人あったが、初めからの妻は亡なくなって、現在の夫人は最近までいた太政大臣の長女で、真木柱を離れて行くのに悲しんだ姫君を、式部卿の宮家で、これもお亡くなりになった兵部卿の宮と結婚をおさせになった人なのである。宮がお薨れになったあとで大納言が忍んで通うようになっていたが、年月のたつうちには夫婦として公然に同棲することにもなった。子供は前の夫人から生まれた二人の娘だけであったのを…
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「紅梅」感想、アップしました~^^;;
いやー式部様、またややこしい男女関係を展開され始めましたね…。
もう、誰が誰の御子やら、どの姫が何番目の誰やら、
すっかり混乱しています。
たしかに按察大納言が宮の君の顔を見たさに?しつこく琴の合奏をもちかけるところなど、なんかほんのり下心を感じてしまいました。
ワタクシも源氏脳になってしまっているのでしょうか…(乳母恥)。
次帖も読み始めましたが、もう…さらにややこしそうですね…;;
あの若君が大きくなって、いまや娘達の良縁のために奔走しているとは!みたいな反応を読者からも引き出せるようにうまく組み立てられていて、そこから在りし日の源氏の君の姿を登場人物達とともに読者もまた懐かしんでしまえる…いやー式部様巧いわあ。
源氏物語 46 竹河【Kindle】
ここに書くのは源氏の君一族とも離れた、最近に亡くなった関白太政大臣の家の話である。つまらぬ女房の生き残ったのが語って聞かせたのを書くのであるから、紫の筆の跡には遠いものになるであろう。またそうした女たちの一人が、光源氏の子孫と言われる人の中に、正当の子孫と、そうでないのとがあるように思われるのは、自分などよりももっと記憶の不確かな老人が語り伝えて来たことで、間違いがあるのではないかと不思議がって言ったこともあるのであるから、今書いていくことも皆真実のことでなかったかもしれないのである。
玉鬘の尚侍の生んだ故人の関白の子は男三人と女二人であったが、どの子の未来も幸福にさせたい、どんなふうに、こんなふうにと空想を大臣は描いて…
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たぶん若い頃の私は、物語の本筋と離れた玉鬘の話にあまり興味がなかったのだと思います。年齢を重ねて読んだ今、玉鬘という女性の魅力にやっと気づいたようです。以下、感想です。
髭黒太政大臣亡き後の玉鬘を描いた、宇治十帖前のスピンオフ的な巻です。
髭黒との間に3人の息子と2人の娘を生し、その娘の夫を誰にするかと思い悩む玉鬘。亡き夫の意思を尊重し、娘の幸せを思い、自ら奔走する玉鬘は、母として本当にたくましく、立派な女性になったと「34.若菜上」に続いて思います。
結果上の大君を冷泉院にさし上げ、下の中の君は自身の尚侍の職を譲る形で帝にとなりますが。
息子たちにもとやかく言われながら、それが一番いいと思って決断したことでも、宮中の女の争いはなかなかすさまじく難しいものですね。もし玉鬘自身も、髭黒と結ばれる前に冷泉帝に仕えていたらと、大君の運命と引き比べて色々と考えたことと思います。何がどう転んで運命がいつ幸せに転じるかもわからない女たちのあはれな人生。今は辛くとも、大君の人生も変わることがきっとあるでしょう。
面白いのは夕霧の息子で大君に思いを寄せる蔵人の少将。見た目は一族の例にもれずはなやかなようですが、思いが叶わないとなると、母の雲居の雁にすがるくらいしかできないお坊ちゃま。玉鬘の「見苦しの君たちの、世の中を心のままにおごりて、官位をば何とも思はず、過ぐしいますからふや」の言葉に、玉鬘に共感する作者の思いが込められているように思います。「かかるすさびごと」に心乱すとは「ことさらめいたり」。
その点、自分の力で何が何でも奪っていった源氏や柏木の強引さや情熱は、本気度が違って魅力的だったと改めて思います。
一方の薫は冷めた雰囲気でスマートに大君への思いを表現。ミステリアスな雰囲気を醸したままいよいよ次からは主役。「宇治十帖」へ。
https://www.honzuki.jp/book/326047/review/312430/
玉鬘家の姫たちのお嫁入がテーマなのに、テーマ外の部分が気になって気になって…;;
ちょっと場違いな感想ですが、ご容赦ください。
源氏物語 47 橋姫【Kindle】
そのころ世間から存在を無視されておいでになる古い親王がおいでになった。母方なども高い貴族で、帝の御継嗣におなりになってもよい御資格の備わった方であったが、時代が移って、反対側へ政権の行ってしまうことになった変動のあとでは、まったく無勢力な方におなりになって、外戚の人たちも輝かしい未来の希望を失ったことに皆悲観をして、だれもいろいろな形でこの世から逃避をしてしまい、公にも私にもたよりのない孤立の宮でおありになるのである。夫人も昔の大臣の娘であったが、心細い逆境に置かれて、結婚の初めに親たちの描いていた夢を思い出してみると、あまりな距離のある今日の境遇が悲しみになることもあるが、唯一の妻として愛されていることに慰められていて、互いに信頼を持つ相愛…
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宇治十帖に入って、いきなり物語も人物設定も複雑になったように感じました。
この時代に、これほど人の心の機微を描き出すとは…今さらですが、やっぱりすごいなーと嘆息しながら読みました。
源氏物語 48 椎が本【Kindle】
二月の二十日過ぎに兵部卿の宮は大和の初瀬寺へ参詣をあそばされることになった。古い御宿願には相違ないが、中に宇治という土地があることからこれが今度実現するに及んだものらしい。宇治は憂き里であると名をさえ悲しんだ古人もあるのに、またこのように心をおひかれになるというのも、八の宮の姫君たちがおいでになるからである。高官も多くお供をした。殿上役人はむろんのことで、この行に漏れた人は少数にすぎない。
六条院の御遺産として右大臣の有になっている土地は河の向こうにずっと続いていて、ながめのよい別荘もあった。そこに往復とも中宿りの接待が設けられてあり、大臣もお帰りの時は宇治まで出迎えることになっていたが、謹慎日がにわかにめぐり合わせて来て…
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私も、大君のような女性には、源氏のように力ずくでいってしまった方が良かったように思うのです。
ジッドの『狭き門』みたいと思いながら、次の「総角」も読んでいます。
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なんだか源氏のぐいぐいを懐かしく思い出す今日この頃です。
あの四人の組み合わせとしては、薫と中姫君、匂宮と大君のほうがまだ未来があるのかも…と思ったり。ほんとに余計なお世話なのですが。
薫と大君では同じ沼に別々に沈んでいくしかないような、悲劇の予感しかありません…;; だからこそ、読者を惹きつけてやまない物語なのでしょうが。
ジッドの『狭き門』! 幸せになることを自ら赦さない女性の苦悩…;;
十代の頃、旺文社文庫で読んだ記憶があるのですが…きっとさっぱり理解していなかったと思います。今読むとまた、感じ方が違うのかもしれませんね。読んでみたくなりました。
源氏物語 49 総角【Kindle】
長い年月馴れた河風の音も、今年の秋は耳騒がしく、悲しみを加重するものとばかり宇治の姫君たちは聞きながら、父宮の御一周忌の仏事の用意をしていた。大体の仕度は源中納言と山の御寺の阿闍梨の手でなされてあって、女王たちはただ僧たちへ出す法服のこと、経巻の装幀そのほかのこまごまとしたものを、何がなければ不都合であるとか、何を必要とするとかいうようなことを周囲の女たちが注意するままに手もとで作らせることしかできないのであったから、薫のような後援者がついておればこそ、これまでに事も運ぶのであるがと思われた。
薫は自身でも出かけて来て、除服後の姫君たちの衣服その他を周到にそろえた贈り物をした。その時に阿闍梨も寺から出て来た。
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それにしても宇治は遠いですね。ただ物理的に遠いこと以外、大した障害はないように思うのですが、恋愛に疎い若者たちは困ったものです。
以下、感想です。
自らの複雑な出自をその人格として内包する薫という男は、2人の父をそれ故反面教師としたのかもしれません。でもそれこそが、この物語の不幸の原因と言えないでしょうか。
母に早く死なれ、宇治という都から離れた田舎で、世を捨てたような父とひっそりと暮らしてきた姫君たち。その父までも突然亡くなってしまい、彼女たちに適切なアドバイスのできる身近な大人はいなくなってしまいました。
要するに大君は何も知らなかっただけなのです。男女のことなど全く無知で、ただ恐れるしかない世間知らずの姫には、体を張って力ずくで、その喜びを教えてあげるべきだったのではないでしょうか。薫の育ての父のように。『狭き門』のアリサもこっそり日記に書いていました。女は時に「それを待っている」と。現に妹の中の君は、匂宮と結ばれたことで少しずつその幸せを知るようになります。わかっていないのは姉の大君だけ。
それができないのなら、薫自身が後に後悔しているように、大君の望む通り中の君と結ばれてしまえば良かったのです。かつて源氏が、べらべらと出まかせを言いながら見事に軒端の萩をものにしてしまったように。匂宮への言い訳など後で何とでもなります。源氏ならそれもうまくやりおおせたことでしょう。
華やかだった源氏の物語に比べ、「宇治十帖」の暗さや重さを思います。登場人物の心情もじっくりと丁寧に描かれます。祖父に似てお気楽なところがある匂宮も、彼なりに苦しんでいると思うと、詳しく描かれていないだけで、源氏にもこうした悩みはあったのだろうと考えました。
https://www.honzuki.jp/book/326245/review/313496/
いやもう、薫が可哀想で…と思って読んでいたら、匂宮に中の君を紹介したこと、後悔してましたね…;;
たしかに、ひっそりと二人の姫の元に薫一人で通っていたら、大姫君も心労でこんなに早くに亡くならなかったのかも…と思ってしまいますね。
なかなか上手くいかないもんです。
匂宮が一番得をしたのかな?!
これは…まだまだ二人のイカン男はしのぎを削り合いますね!
源氏物語 50 早蕨【Kindle】
「日の光林藪しわかねばいそのかみ古りにし里も花は咲きけり」と言われる春であったから、山荘のほとりのにおいやかになった光を見ても、宇治の中の君は、どうして自分は今まで生きていられたのであろうと、現在を夢のようにばかり思われた。四季時々の花の色も鳥の声も、明け暮れ共に見、共に聞き、それによって歌を作りかわすことをし、人生の心細さも苦しさも話し合うことで慰めを得ていた。それ以外に何の楽しみが自分にあったであろう、美しいとすることも、身にしむことも語って自身の感情を解してくれる姉君を、そのかたわらから死に奪われた人であったから、暗い気持ちをどうすることもできず、父宮のお亡かくれになった時の悲しみにややまさった悲しさ恋しさに……
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私、若い頃はなぜかあまり宇治十帖に興味がなかったのです。今読みながら、こんなに面白かったんだと思っています。年を取って好みが変わったということなのでしょうか。
以下、感想です。
匂宮によって、晴れて都へ迎え入れられる中の君。しかし物語はそのような晴れやかさよりも、大君を失った悲しみ、宇治を離れる寂しさに重きを置いて描かれます。
特に胸にしみいるのは出家し、宇治に残ることとなった弁と薫の語らいです。「ここには、なほ時々は参り来べきを、いとたつきなく心細かるべきに、かくてものしたまはむは、いとあはれにうれしかるべきことなむ」と薫。
輝くばかりに若く美しい女性ではなく、こうした老女の思いを丁寧に描いた作者の筆の変化に、作者も老いたのかもしれないと想像しました。
薫と匂宮の間には、ライバル心むき出しだった源氏と頭中将とはまた異なる、心の通い合った友情を感じます。
残念なのは相変わらず夕霧。今や並ぶ者もない重鎮でしょうに、娘の結婚をうまくまとめられず、恋愛の不器用さがここでも目立ちます。
https://www.honzuki.jp/book/326264/review/313552/
いや…傷心の薫くん…痛々しい限りです;;
考えても仕方ないと分かっていても、心はそこへと舞い戻る。
それに引きかえ匂宮、なんか思い通りにコトが進んで…面白くないわ…!
ぜひ次帖以降では、薫にも幸あれ、と強く願う乳母でした(悲)。
源氏物語 51 宿り木【Kindle】
そのころ後宮で藤壺と言われていたのは亡き左大臣の女の女御であった。帝がまだ東宮でいらせられた時に、最も初めに上がった人であったから、親しみをお持ちになることは殊に深くて、御愛情はお持ちになるのであったが、それの形になって現われるようなこともなくて歳月がたつうちに、中宮のほうには宮たちも多くおできになって、それぞれごりっぱにおなりあそばされたにもかかわらず、この女御は内親王をお一人お生みすることができただけであった。自分が後宮の競争に失敗する悲しい運命を見たかわりに、この宮を長い将来にかけて唯一の慰安にするまでも完全な幸福のある方にしたいと女御は大事にかしずいていた。御容貌もお美しかったから帝も愛しておいでになり…
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大君を忘れられない薫。亡くなった人のことを思っても仕方がないのに何をいつまでも、とは思います。一方、まじめで不器用なその性格を気の毒にも感じます。自らの出自を知っていたのは、立場は違えど冷泉院も同じ。気にせず堂々と生きるということは、薫の性格では難しいのでしょう。
しかし、だからと言って大君の代わりを求めるのは間違っていると思います。中の君と匂宮の間を不穏にするような行動を起こすべきではありません。それでなくても、匂宮が正妻を迎えたことで、中の君の心は不安定になっているというのに。
匂宮が正妻のところにいる間は「宇治に帰ろう」と思うのに、側にいるとたちまち心がほどけていく中の君の女心がいじらしいです。
「今朝しも常よりことにをかしげさまさりて見えたまふに、あいなく涙ぐまれて、しばしうちまもりきこえたまふを、はづかしくおぼしてうつ臥したまへる、髪のかかり髪ざしなど、なほいとありがたかりけり。」
源氏と女たちの恋の場面は、恋愛ドラマのようなゾクゾクする大人の魅力がありましたが、匂宮と中の君のこうしたシーンには、少女漫画のような愛らしさを感じます。
源氏が紫の上を求めたのは、藤壺の宮に似ているからではありました。しかし源氏はその後、紫の上をその人として愛していました(浮気は多々ありましたが)。薫が中の君や浮舟を、大君の身代わりとしてしか愛せないのなら、それは女の思いを無視したあまりに身勝手な愛情です。そして、正妻となった女二の宮もあまりにあわれです。
薫が放つその香の怪しい魅力は、読者を不思議と不安にさせます。源氏が生きていたあの頃の、数々の不幸にも関わらず、失われることのなかった明るい華やかさを思い出します。
https://www.honzuki.jp/book/326426/review/313929/
なんかもう…疲れました。他人事の色恋ながら、
薫のグズグズぶりには、もうガッカリです;;
根は優しくて真面目なんだろうけれど…(だから「推し」)。
女二宮にビシッと何か喝を入れてほしいのですが。
また浮舟にフラフラするんだろうな~やめてほしいな~;;
源氏物語 52 東屋【Kindle】
源右大将は常陸守の養女に興味は覚えながらも、しいて筑波の葉山繁山を分け入るのは軽々しいことと人の批議するのが思われ、自身でも恥ずかしい気のされる家であるために、はばかって手紙すら送りえずにいた。ただ弁の尼の所からは母の常陸夫人へ、姫君を妻に得たいと薫が熱心に望んでいることをたびたびほのめかして来るのであったが、真実の愛が姫に生じていることとも想像されず、薫のすぐれた人物であることは聞き知っていて、この縁談の受けられるほどの身の上であったならと悲観を母はするばかりであった。
常陸守の子は死んだ夫人ののこしたのも幾人かあり、この夫人の生んだ中にも父親が姫君と言わせて大事にしている娘があって、それから下にもまだ幼いのまで次々に五、六人はある。
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https://www.honzuki.jp/book/326633/review/314167/
やれやれ、また大変な争奪戦が始まりましたね…。
薫と匂宮のライバル恋模様は、最初はなかなか面白いのではないかと期待したのですが、なんだか、やっぱりこいつら自分のことしか考えてないんだなーということばかりで、ちょっと残念。
最後、どうなるのか…新しい世界を見たいものですが。
ついに、残り一冊です。
https://www.honzuki.jp/book/354515/review/314315/
源氏物語 53 浮舟【Kindle】
兵部卿の宮は美しい人をほのかに御覧になったあの秋の夕べのことをどうしてもお忘れになることができなかった。たいした貴族の娘ではないらしかったが婉嬋とした美貌の人であったと、好色な方であったから、それきり消えるようにいなくなってしまったことを残念でたまらぬように思召しては、夫人に対しても、
「何でもない恋の遊戯をしようとするくらいのことにもあなたはよく嫉妬しっとする、そんな人とは思わなかったのに」
こんなふうにお言いになり、怨をお洩らしになるおりおり、中の君は苦しくてありのままのことを言ってしまおうとも思わないではなかったが、妻の一人としての待遇はしていないにもせよ軽々しい情人とは思わずに愛して、世間の目にはつかぬようにと宇治へ隠してある妹の…
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以下、正直な感想です。
「源氏物語」における男たちの身勝手な罪については、時代性も考慮して寛大な気持ちで見てきたつもりでした。しかし、この帖における匂宮のことはどうしても許せません。いくら何でもあんまりでしょう。だからやっぱり薫は、中の君をこの男に譲るべきではなかったのです。
源氏も柏木も、自分より目上の男の正式な妻を奪い、その罪の重さに苦しんできました。何よりも、それほどの罪を犯さざるを得ないほどの情熱が感じられました。それに比べ匂宮には、匂宮だから許されるといった傲岸さが見えます。本気で浮舟のことを思ったとは思えません。友人の薫に先を越されたことがただ悔しかっただけではないでしょうか。
女はあくまでも犠牲者であって罪はないのでしょう。2人の男を同時に愛してしまい、どちらも選ぶことができないのなら(優柔不断だ)、自ら命を絶つより他に道はないのでしょう。しかしこの場合、どちらに操を立てるべきかは明らかです。形代としか思われなかったと言われればそれも確かです。でもここには薫だけではなく、中の君もいます。姉として、あれほどやさしく接してくれたものを。中の君自身も苦しかったに違いないのに。
匂宮の見た目の美しさと、見せかけの情熱に見事にだまされてしまったあわれな女。
小さなボタンのかけ違いによって起こる偶然がもたらす悲恋の物語。見事です。
https://www.honzuki.jp/book/326635/review/314390/
あわれ浮舟~何も身投げしなくても…;;
それにしても、源氏亡き後の男たちは、夕霧もそうでしたが、
なんだか小粒な感じになってきました。
その分、たしかにリアリティは増したと思うけど、なんだか…残念。
ともあれ、結末まで後少し!
源氏物語 54 蜻蛉【Kindle】
宇治の山荘では浮舟の姫君の姿のなくなったことに驚き、いろいろと捜し求めるのに努めたが、何のかいもなかった。小説の中の姫君が人に盗まれた翌朝のようであって、このいたましい騒ぎはくわしく書くことができない。
京からの前日の使いが泊まって帰らなかったため、母夫人は不安がってまた次の使いをよこした。まだ鶏の鳴いているころに出立たせたと言っている使いにどうこの始末を書いて帰したものであろうと、乳母をはじめとして女房たちは頭を混乱させていた。何のわけでどうなったかと推理してゆくことができずに、ただ騒いでいる時、浮舟の秘密に関与していた右近と侍従だけには最近の姫君の悲しみよう、煩悶のしようの並み並みでなかったことから、川へ身を投げたという想像がつくので…
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浮舟を喪って傷心、からの~次なる恋への切り替えが早いように思うのは、気のせいでしょうか。二人とも。
いや、浮舟、よかったよ。こんなイカン男たち、まともに相手にしていたら、たしかに身が持たないよ…。
さて、次は浮舟のターン。彼女の運命や、如何に。。。
源氏物語 55 手習【Kindle】
そのころ比叡の横川に某僧都といって人格の高い僧があった。八十を越えた母と五十くらいの妹を持っていた。この親子の尼君が昔かけた願果たしに大和の初瀬へ参詣した。僧都は親しくてよい弟子としている阿闍梨を付き添わせてやったのであって、仏像、経巻の供養を初瀬では行なわせた。そのほかにも功徳のことを多くして帰る途中の奈良坂という山越えをしたころから大尼君のほうが病気になった。このままで京へまで伴ってはどんなことになろうもしれぬと、一行の人々は心配して宇治の知った人の家へ一日とまって静養させることにしたが、容体が悪くなっていくようであったから横川へしらせの使いを出した。僧都は今年じゅう山から降りないことを心に誓っていたのであったが…
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浮舟、思い切って出家しましたね~出家後の彼女の気持ちと行動の表現が、「胸がすうっとしたような心持」とか、晴れ晴れとして遊び事をしたり、碁を打ったり、とかいうように、今までにないほどに平穏で明るくなっているので、やっぱりこれしか方法はなかったのかな、と思ったり。
美しすぎることも、女性にとっては生き辛いということか…同じ女性からは反感をかいそうな話ですが。。。
いよいよ次が最終巻ですね。またそれが宇治十帖の他の帖と違って短いこともあり、ついにこれで終わりかと思うと読むのがもったいない気がしています。
以下、「手習」の感想です。
生きていた浮舟。川に身を投げることすらできなかった浮舟。しかし彼女は命を助けられたここでも、形代として思いをかけられる運命でした。
横川の僧都の妹尼は浮舟を、亡き娘の身代りとして、初瀬の観音に授けられたと大切にし、さらには娘の婿だった中将を浮舟と結ばせようとします。親切なようでいて、実は残酷な行為だとは、当の妹尼は全く気付いてはいないのでしょう。
ただふらふらと流されるまま、自分の意思を決めることができず、結局身投げすらできなかった浮舟が、ここでは自分の身分を決して明かすことなく、妹尼の目を盗んでついに出家の本懐を遂げたことは、不幸な運命とは言えよくやったと思います。
無知な浮舟には、まだまだ母の庇護が必要だったのでしょう。その母が目を離した隙に匂宮が現れ、その美しさに一瞬にして恋をしてしまいました。それが運命をどんな方向にねじ曲げてしまうか考えることもできず、教えてくれる人さえ側にいないままに。
正直なところ、浮舟は見た目が美しいだけでそれ以外の魅力はない女性のように見受けられます。美しくなければ、もっとまともな人生が待っていたかもしれないと思うと、美しすぎるというのも苦労の多いことです。誰にも本音を語ることができず、手習にひっそりと思いをつづる姿がいじらしい。
横川の僧都から明石中宮というルートを辿って、ついに浮舟が生きていることを知るに至った薫。匂宮に知らせるべきではないと判断した明石中宮の判断にほっとしますが、母宮にそうまで心配されるとは、匂宮はどれだけ女癖が悪いのだろう、本当にこの男は次の東宮として最適なのかと疑ってしまいます。
一方の、体裁ばかりを気にして女に手を出すのがやたら遅すぎる薫は、この後どう行動するのか。いよいよ次が最終巻です。
源氏物語 56 夢の浮橋
薫は山の延暦寺に着いて、常のとおりに経巻と仏像の供養を営んだ。横川の寺へは翌日行ったのであるが、僧都は大将の親しい来駕を喜んで迎えた。これまでからも祈祷に関した用でつきあっていたのであるが、特に親しいという間柄にはなっていなかったところが、今度の一品の宮の御病気の際に、この僧都が修法を申し上げて著るしい効果を上げたのを見た時から、大きな尊敬を払うようになって、以前に増した交情を生じたために、重々しい身でわざわざこの山寺へ訪ねて来てくれたとしてあらんかぎりの歓待もてなしをした。ゆるりと落ち着いて話などをしている客に湯漬けなどが出された。あたりのやや静かになったころ、
「小野の辺にお知り合いの所がありますか」
と薫は尋ねた。
続きは青空文庫↓で
https://aozora.binb.jp/reader/...
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ありがとうございました。
あとは、全巻を通してのレビューを書きたい思いがふつふつとわいてきているのですが、1冊に対して1回しか掲載できないルールがあるので、どうするか考えているところです。
書影には、こちらのコミュニティで底本として使われた与謝野晶子版をお借りしました。
https://www.honzuki.jp/book/321601/review/315756/
源氏物語 完全版
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『愛する源氏物語』(俵万智著)https://www.honzuki.jp/book/216594/review/120224/
文庫版もあります。
https://www.honzuki.jp/book/90154/
https://www.honzuki.jp/book/356015/
その帚木さんへのインタビュー記事が、3/15朝日新聞の夕刊(東京)一面に出ています。
精神科医らしく、源氏物語で多用される「心」という言葉に注目された点が面白いと思いました。
読みたい。読まないと。
源氏物語 あさきゆめみし 完全版(1)
お気に入りのシーン、忘れがたい場面など、ぜひ教えてください。
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菅原万亀様。
光源氏のそういうところなんですよね。イカン男のくせに人を惹きつけてしまうところがうまいことやるなあと。うまいのは式部様ということでしょうか。本心から憎めないというか…。
他の男性たちも、それなりに魅力的な部分もあるのですが、やはり一人選ぶとなると、光源氏。
生涯を共にするのは大変そうですが(紫の上…;;)、たとえ泣かされても(笑)ほどよく関わらせていただければ望外の喜び…と思うようになってしまいました。
皆さんと一緒に読むことが出来て、楽しかったです!
最後になりましたがコミュニティを立ち上げて下さったかもめ通信様、
ほんとうにありがとうございました^^
源氏の男はみんなサイテー
登場人物についてあれこれ語ってみませんか?
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私は結構、いいと思うんですけれどね。花散里ポジション。
まあ、その筆頭は光源氏ですが…。
まあ、小粒ではありますが、個人的に内大臣─柏木親子には少し同情するかもしれません…。
夕霧は父を反面教師にしてイイ線いくかと思っていたのに、ちょっとガッカリでした。どうせなら、最後まで良い尋常人でいてほしかった。
そうなんですか…寂聴さん、嫌いなんですか、花散里。
源氏物語の女性の内で、誰かになれるとしたら、私は花散里がいいなー…と密かに思っていたのですが、嫌われてしまいましたか(悲)。
私も、花散里ポジション、いいと思います!