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ぱせりさん
ぱせり
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貧しい人や苦しんでいる人によりそう七つの民話風の短編と、四つの小さな話
岩波少年文庫100冊マラソン12冊め


貧しい人や苦しんでいる人によりそう、トルストイによる七つの民話風の短編と、四つの小さな話(ショートショート)が収められている。どれも、わりと知られた民話ふうの物語で、生き方について問いかける人生論のようでもある。


表題作『イワンのばか』がいちばんおもしろかった。
三兄弟の三番目が「ばか」といわれるイワンだ。「ばか」の弟からごっそりまきあげようとする二人の小利巧な兄に、イワンは、もっているものの大半を気前よく譲り渡してしまう。
兄たちの職業が軍人と商人で、イワンが百姓だというのも、寓意があるかな。
イワンは、後に王さまのお姫様と結婚するのだが、この姫は、自分の婿さんが「ばか」だと言われていることを知り、自分もさっさと「ばか」になってしまうところが、私は好きだ。
また、忘れてはいけないのが、イワンは三人兄弟ではない、ということ。イワンの下には、口のきけない妹がいるのだから。
イワンがつつがなく「ばか」でいられるのは、あの妹のおかげなのだということを忘れてはいけない、と思う。


『人は何で生きるか』は、少しでも多く土地をもらおうと欲をかいたために、あんなことになってしまうお話だが、このお話を読むたびに惜しいなあ、半分ぐらいに、いいや、せめて三分の二くらいにしておけば今頃は……と思ってしまうくらいには、私も欲深だ。
お金が好きだし、人をねたんだり羨んだりもするのだ。
それでもいいんだ、と開き直っているけれど、『三人の隠者』みたいに「いつもにこにこして、まるで天使のように、はれやかなお顔」で暮らせたら、どんなにかいいだろう、とも思う。
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ぱせり
ぱせり さん本が好き!免許皆伝(書評数:1742 件)

いつまでも読み切れない沢山の本が手の届くところにありますように。
ただたのしみのために本を読める日々でありますように。

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