すずはら なずなさん
レビュアー:
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童心に戻って楽しく読了。読者へ向けてちょくちょく差し挟まれる文章が「語り聞かせ」の雰囲気で楽しめます。イマドキの子供向けの注釈が時代の変遷を実感。
江戸川乱歩、初読みです。
本が好きな母なのに 息子は本を読んでくれず、中学、高校の感想文の提出はほぼ内容はそのまま同じ「ホームレス中学生」で、しかも母の誘導でやっと書き上げたもの。もっと細部を指摘したかったけれど、本人がこれで良し、とした状態で提出。
とまあ、こういう息子に興味を持てそうな本を、と色々試した中の1冊です。結局 彼が読んだのかも不明。
私の父の時代の少年たちが心躍らせ 読みふけったものだというだけに、レトロな舞台と語り口、それを楽しみとして読みました。
最初の章では明智探偵は海外に行っていて不在。明智探偵の弟子、助手として、代理の小林少年が活躍します。読者の少年たちには ぐっと感情移入して読むことができます。二十面相に狙われるお屋敷の息子である少年も 自身が庭に仕掛けた罠で 二十面相を困らせるのに一役買っています。後日、彼の発案で小林少年をリーダーに少年探偵団が結成されるところまでが この本で読めます。
小林少年の探偵の七つ道具もさり気なく紹介されるあたり、読者の「真似したい」気持ちを掻き立てるのでしょうね。きっと色々な玩具の探偵グッズを欲しがったり、それに見立てたモノで遊んだりしたことと思います。
すでに少年少女ではない読者にしたら、段々と作者の(二十面相の)手口が解ってきて、次の事件あたりでは新たな登場人物を疑ってみたり、これは相手を騙すためのあえての〇〇だろうとか 先に色々状況を読み、それが解った上で、名探偵と顔を変え変装した大泥棒との騙し合い、緊迫した場面にぐいぐいと引き込まれるわけです。
これは「実は」を解った上で読むのも 騙されたままで読むのも きっと面白いはずで、そういうところが上手いなぁと思うのです。年少の素直な読者たちでも きっとマニアックに読み漁っているうちに 推理の名手になって、怪人の変装や探偵の仕掛けた罠などもちゃんとわかりつつ楽しむようになるのだと思います。
素直に騙されてドンデン返しで驚くのも良し、推理を働かせて状況を掴みながらハラハラするのも良し、掴み切れず、ああ、やられた、と悔しがるのもまた 良しというところでしょうか。
本編とは別に、今時の子供向けに注が添えられていて、お金の価値なんかは勿論のことですが、「赤帽」とか「ルンペン」とかの説明や「その頃は電話のある家は少なかった」なんていうのを欄外の注釈で読むと 時代が変わっても読み継がれるには 「そのまんま」という訳にもいかないものだなぁと思います。
作者が時折顔を覗かせて、読者に語り掛けるのもまた、「語り聞かせ」(父に言わせれば「講談」みたい)に耳を傾けているような気持ちになり、楽しい読書の時間でした。
本が好きな母なのに 息子は本を読んでくれず、中学、高校の感想文の提出はほぼ内容はそのまま同じ「ホームレス中学生」で、しかも母の誘導でやっと書き上げたもの。もっと細部を指摘したかったけれど、本人がこれで良し、とした状態で提出。
とまあ、こういう息子に興味を持てそうな本を、と色々試した中の1冊です。結局 彼が読んだのかも不明。
私の父の時代の少年たちが心躍らせ 読みふけったものだというだけに、レトロな舞台と語り口、それを楽しみとして読みました。
最初の章では明智探偵は海外に行っていて不在。明智探偵の弟子、助手として、代理の小林少年が活躍します。読者の少年たちには ぐっと感情移入して読むことができます。二十面相に狙われるお屋敷の息子である少年も 自身が庭に仕掛けた罠で 二十面相を困らせるのに一役買っています。後日、彼の発案で小林少年をリーダーに少年探偵団が結成されるところまでが この本で読めます。
小林少年の探偵の七つ道具もさり気なく紹介されるあたり、読者の「真似したい」気持ちを掻き立てるのでしょうね。きっと色々な玩具の探偵グッズを欲しがったり、それに見立てたモノで遊んだりしたことと思います。
すでに少年少女ではない読者にしたら、段々と作者の(二十面相の)手口が解ってきて、次の事件あたりでは新たな登場人物を疑ってみたり、これは相手を騙すためのあえての〇〇だろうとか 先に色々状況を読み、それが解った上で、名探偵と顔を変え変装した大泥棒との騙し合い、緊迫した場面にぐいぐいと引き込まれるわけです。
これは「実は」を解った上で読むのも 騙されたままで読むのも きっと面白いはずで、そういうところが上手いなぁと思うのです。年少の素直な読者たちでも きっとマニアックに読み漁っているうちに 推理の名手になって、怪人の変装や探偵の仕掛けた罠などもちゃんとわかりつつ楽しむようになるのだと思います。
素直に騙されてドンデン返しで驚くのも良し、推理を働かせて状況を掴みながらハラハラするのも良し、掴み切れず、ああ、やられた、と悔しがるのもまた 良しというところでしょうか。
本編とは別に、今時の子供向けに注が添えられていて、お金の価値なんかは勿論のことですが、「赤帽」とか「ルンペン」とかの説明や「その頃は電話のある家は少なかった」なんていうのを欄外の注釈で読むと 時代が変わっても読み継がれるには 「そのまんま」という訳にもいかないものだなぁと思います。
作者が時折顔を覗かせて、読者に語り掛けるのもまた、「語り聞かせ」(父に言わせれば「講談」みたい)に耳を傾けているような気持ちになり、楽しい読書の時間でした。
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電車通勤になって 少しずつでも一日のうちに本を読む時間ができました。これからも マイペースで感想を書いていこうと思います。
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- 出版社:ポプラ社
- ページ数:245
- ISBN:9784591084120
- 発売日:2005年02月01日
- 価格:630円
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