ことなみさん
レビュアー:
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国立博物館の帰り道は大和郡山回り。そこの駅前商店街で本屋さんを見つけた、見えたら入らないと帰れない、店内を一回りした正面に、本屋大賞超発掘本「プラスティック」が積んであって、おいでおいでをしていた。
どんな本?書店員さんたちが選ぶ「超発掘本」って。知らなかったのは私だけ?。「発掘」されるくらいだから今とは距離があるかも。それに「超」がつく、売りたい読ませたい本。奥付を見ると1994年発刊。発掘かも。作者は井上夢人、見たことはあっても読んだことがない作者。
お買い上げ。土日は休日なので何をおいてもと即読んでみた。何しろ稀にみる「超」なのだから。
ある女性がワープロで日記を書いている。まだ練習中でうまくいかないけれど、夫が帰ってくるまでに上達して驚かそう、などと無邪気に頑張っている。
それをフロッピーディスクに入れる。
「フロッピーディスク」って使っていたな、ワープロの「文豪」や「書院」があった頃、すぐにパソコンに変わったけれど年賀状作りは便利だったな。そんな時代の話。
夫が出張から帰ってこない、会社に電話してみると「あなた誰?知らない声だけれど」と言われた。社内結婚なのに。
図書館で貸し出しカードを作ろうとしたら「二重受付はしません」と言われた。初めてなのに。
私は誰?それよりもう一人の私、あなたは誰?
まだマンションに移ったばかりの新婚で知人もいない。向かいの部屋の静かな女性(本多初美)と知り合いになってうちに招いてみる。
本多初美は、打ち解けない人だった。
とここで殺人事件。殺されたのはその日記を書いていた新婚の向井洵子で判別できないくらいに顔を切り刻まれ押し入れに全裸で押し込まれていた。
夫も行方不明で、フロッピーはマンションの同じ階に住む小説家、奥村のドアポストに入っていた。彼はそれを読んでこの事件に巻き込まれる。
向井夫婦は社内結婚で電話をかけた声が違うというのはどういうことか。図書館でもおかしなことが起きている。
フロッピーを読む限り、向井洵子が奇妙な出来事に巻きこまれているようで、奥村の推理が始まる。
顔を切り刻んだのは何か意図があったのか。
この事件が発端なのだが、関わった人たちはなぜかつながっている。
向いの部屋の怯えているくらいおとなしい静かな女性、本多初美も勤め先では違う人間だったり、事件後その女は札幌に逃げたり。
男が警察で、部屋に押し入って女を殺した。向井洵子だかどうだか、名前など確かめていないという。
向井洵子は初美の部屋で気が付いた。なぜ私がここに?
そこにマンションの部屋の合い鍵があった。三本のうち無くなった3つ目の鍵だ。
新聞で知った。殺されていた女の名前が、私、向井洵子?
夫が重要参考人?
作家(奥村恭輔)はこの事件にどっぷり漬かってしまう。作家の好奇心と探求心。なぜを明かしたい、最初から彼だけは犯人ではない。という立ち位置。
登場人物はそれぞれ何らかのつながりがある。同じ故郷、同級生。元夫だったり彼の暴力から逃げたのは若尾茉莉子だったり当時の名前は違ったり。
向井洵子の夫も死体で発見され、それぞれの過去から朧な真相が見えてくる。
あら、そうなのか。途中の違和感は、登場人物の違和感で、読み方の違和感で作者の巧みさで。
というところで落ちは、今となると結論はどこかで読んだようでちょっと微妙だが。読みやすい巧みなストーリーに連れまわされて、これが結論という締めくくりは納得。
当時は(今でも)アリかもしれないが。あっさり解決をするような作品ではない、と言って謎解きには一言いいたくなるような。調査方法も進歩した、時代の流れを感じるところかな。
しかし面白い。当時なら(今でも)おっと思うところはある。
発掘された話題作に挑んでみる?一気読みできるミステリではある。
発掘本って何?と調べてみた。発掘部門は本屋大賞の中にあっておすすめ本らしい。2024年での全リストアップは125冊。読んでいたのはたった7冊、それもとても面白かった。ミステリだったりほっこり系だったり、読んでよかったという感想で、行き詰ったときにお助け本になるかも、という並びで読書の喜びが味わえそうだ。昨年の超発掘本「破船」は山に埋もれていた、読んでみなくては。なんか一度読んでいるような気がする記憶のややこしさ(・_・;)。
お買い上げ。土日は休日なので何をおいてもと即読んでみた。何しろ稀にみる「超」なのだから。
ある女性がワープロで日記を書いている。まだ練習中でうまくいかないけれど、夫が帰ってくるまでに上達して驚かそう、などと無邪気に頑張っている。
それをフロッピーディスクに入れる。
「フロッピーディスク」って使っていたな、ワープロの「文豪」や「書院」があった頃、すぐにパソコンに変わったけれど年賀状作りは便利だったな。そんな時代の話。
夫が出張から帰ってこない、会社に電話してみると「あなた誰?知らない声だけれど」と言われた。社内結婚なのに。
図書館で貸し出しカードを作ろうとしたら「二重受付はしません」と言われた。初めてなのに。
私は誰?それよりもう一人の私、あなたは誰?
まだマンションに移ったばかりの新婚で知人もいない。向かいの部屋の静かな女性(本多初美)と知り合いになってうちに招いてみる。
本多初美は、打ち解けない人だった。
とここで殺人事件。殺されたのはその日記を書いていた新婚の向井洵子で判別できないくらいに顔を切り刻まれ押し入れに全裸で押し込まれていた。
夫も行方不明で、フロッピーはマンションの同じ階に住む小説家、奥村のドアポストに入っていた。彼はそれを読んでこの事件に巻き込まれる。
向井夫婦は社内結婚で電話をかけた声が違うというのはどういうことか。図書館でもおかしなことが起きている。
フロッピーを読む限り、向井洵子が奇妙な出来事に巻きこまれているようで、奥村の推理が始まる。
顔を切り刻んだのは何か意図があったのか。
この事件が発端なのだが、関わった人たちはなぜかつながっている。
向いの部屋の怯えているくらいおとなしい静かな女性、本多初美も勤め先では違う人間だったり、事件後その女は札幌に逃げたり。
男が警察で、部屋に押し入って女を殺した。向井洵子だかどうだか、名前など確かめていないという。
向井洵子は初美の部屋で気が付いた。なぜ私がここに?
そこにマンションの部屋の合い鍵があった。三本のうち無くなった3つ目の鍵だ。
新聞で知った。殺されていた女の名前が、私、向井洵子?
夫が重要参考人?
作家(奥村恭輔)はこの事件にどっぷり漬かってしまう。作家の好奇心と探求心。なぜを明かしたい、最初から彼だけは犯人ではない。という立ち位置。
登場人物はそれぞれ何らかのつながりがある。同じ故郷、同級生。元夫だったり彼の暴力から逃げたのは若尾茉莉子だったり当時の名前は違ったり。
向井洵子の夫も死体で発見され、それぞれの過去から朧な真相が見えてくる。
あら、そうなのか。途中の違和感は、登場人物の違和感で、読み方の違和感で作者の巧みさで。
というところで落ちは、今となると結論はどこかで読んだようでちょっと微妙だが。読みやすい巧みなストーリーに連れまわされて、これが結論という締めくくりは納得。
当時は(今でも)アリかもしれないが。あっさり解決をするような作品ではない、と言って謎解きには一言いいたくなるような。調査方法も進歩した、時代の流れを感じるところかな。
しかし面白い。当時なら(今でも)おっと思うところはある。
発掘された話題作に挑んでみる?一気読みできるミステリではある。
発掘本って何?と調べてみた。発掘部門は本屋大賞の中にあっておすすめ本らしい。2024年での全リストアップは125冊。読んでいたのはたった7冊、それもとても面白かった。ミステリだったりほっこり系だったり、読んでよかったという感想で、行き詰ったときにお助け本になるかも、という並びで読書の喜びが味わえそうだ。昨年の超発掘本「破船」は山に埋もれていた、読んでみなくては。なんか一度読んでいるような気がする記憶のややこしさ(・_・;)。
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徹夜してでも読みたいという本に出会えるように、網を広げています。
たくさんのいい本に出合えますよう。
この書評へのコメント
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- 出版社:講談社
- ページ数:400
- ISBN:9784062748612
- 発売日:2004年09月14日
- 価格:680円
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